9 実家の猫の大仕事について考える
えーっ、猫ってやつは、みなさんご承知のとおり、暗くて狭いところが大好き。押し入れの中なんてところも大好きで、ほんのちょびっと襖が開いてるとみりゃ、頭突っ込んで、中に入っちまうてなもんで。
入ってみりゃ、中は布団があったりするとなりゃ、暗くて、狭くて、更にふかふか。ここは天国かニャーてなもんです。
まあ、そんな天国みたいなところにずっといても、やがては腹も減るし、飽きてもくる。そろそろ出るかと思ったら、なんと襖が閉まって出られない。
人間の方にしてみりゃ襖がちょびっと開いてたりするのはどうも気持ちがよろしくない。ピシリと閉めちゃったわけですね。
猫びっくり。初めは鳴く訳ですよ。「なーんなーん。おーいおい」と。だけど、近くに人間がいなけりゃ襖は開かない。さて、どうしたものか。
そこで、彼女は決意した訳です。「人間は当てにニャらん。ここは己が力で脱出せん」と。
両前足の爪を全開に、そして、襖を突き破り、見事、引田天功(古)もビックリの大脱出劇を成功させたわけです。
実家じゃ「しょーがねーなー。いい加減、この襖も古いし、この際、全部交換するか」だそうです。