4 限定発注 〇カちゃん人形について考える
今回は事実を基にしたフィクションです。
普段から敬語という訳ではないです。
◇◇◇
眼鏡をかけた猫のおっさんの配偶者の方(以下 猫配と記します)の母校(高校)が少子化のあおりでなくなることになりました。
「統合」などと言われてますが、統合先の高校名が新高校名だし、校舎も統合先の学校のものを使う……
「廃校」みたいなものです。
それでも100年を超える歴史があるとかで、同校出身の映画監督が学校でドキュメンタリー映画を撮ったりしてるとか。出来上がったら市民会館で上映されるそうで、猫配さんも見に行くそうです。
さて、そんなある日、眼鏡をかけた猫のおっさんは猫配さんからとある封書を見せられました。
「これなんだけど……」
見ると、わあお、高校がなくなってしまうということで、その高校のセーラー服をまとった〇カちゃん人形を同校OGにだけ特別販売でご提供。受注生産なので今回限り、はあはあ成程。
「世の中、色んなものが出来ますな。まあ、欲しければ買ってもよろしいのでは……」
「いや、あなたが欲しがるかと思って……」
「へ? なんでまた?」
「いや、こういったものに造詣が深い方は、こういうものも欲しがるかと……」
猫配さんが指差した先の本棚には、マンガとゲーム攻略本とラノベとその他の本がそれぞれ25%ずつ
入っておりました。
「いやっ、いやいやいや、それはですね」
「はあ」
「マニアックというか、オタクといわれる部門も大変広うございます。私、マンガ、ゲーム、アニメ、ラノベにある程度、精魂を傾注していることは認めますが、お人形さんは守備範囲外です」
「そういうものなの?」
「そういうものなのです。プロ野球のタイトルホルダーが幕内力士になれる訳ではありません」
「例えがよく分からないけど、分かった。で、これは買った方がいいか、マニアの視点から意見を」
「私は違いますが、世に〇カちゃん人形コレクターは確かにいるようです。こち亀にも出てきます。上手くするとそういった方にヤフオフとかで高く売れるかもしれません」
「うーん。そういうのは慣れてないし、ちょっと怖いかも」
「トラブルが起こる可能性もありますしね。後はあなたが欲しいかどうかですが…… 買ったらどこに保管します?」
「ガラスのついた本棚に飾って……」
「あそこですか…… あそこに飾ってあった香港製のタクシーのミニカーとプラスチック製のオペラグラス、今どこにあるか知ってます?」
「え? あそこにないの?」
「我が家の猫娘さんのおもちゃ箱の中に転居しています」
「え? あそこからどうやって出したの?」
「踏み台を用いたようですね。いや、男子三日会わざれば刮目して見よと言いますが、女児もそうですね。で、先日、確認したらミニカーは塗装が剥がれて、廃車状態。オペラグラスはレンズにヒビが入ってました」
「むむむ」
「あそこに〇カちゃん人形を展示した場合、早晩、猫娘さんの『かわいがり』の対象になることは避けられないかと思われます。駄目と言ってもやる時はやるでしょう。そして、『かわいがり』の仕方によっては、『セーラー服凌辱』状態になることも考えられます」
「むむむ。かと言って見えないところに置いといても意味ないし……」
その家では限定版の〇カちゃん人形を購入するかどうか、まだ、決まっていないとのことです。