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15 私的読書感想文・作文について考える

 久々の「徒然猫草」です。


 今回のテーマは「私的読書感想文・作文について考える」です。


 あくまで「私的」なので異論は全く無問題です。


 ◇◇◇


 さて、世の人は「小説家になろう」に6年以上もいて、153万字も文字書いて、投稿して、1990件もイチオシレビューを書いている(2025.4.30現在)。


 さぞや子どもの頃から「読書感想文・作文」が得意で好きだったのではと思われるかもしれません。


 しかし、子どもの頃から紙に何やら文章を書くのは好きでしたが、学校の「読書感想文・作文」は全然でした。


 唯一の賞らしきものが高校二年の時、安部公房氏の「第四間氷期」の読書感想文で佳作になったくらいです。


 今になって思うことは評価されるような文章を書いてなかったんですね。


 ◇◇◇


 今考えると評価されるポイントというのは以下の二点ではなかったかと。


 ①テーマに基づき、伝えたい主張がぶれずに明確であること。


 ②主催者側が書いてほしいことが書かれていること


 ◇◇◇


 まずは①から。今になって「読書感想文必勝法」みたいなものを読むと、「あらすじをだらだら書くな」「主張を絞れ」とか書いてあって、いやこれは昔からそんなことは言われていたようです。


 にもかかわらず、それを従わなかったのは②でお話しする「読書感想文への嫌悪感」があって、「あらすじで文字数を埋めて、とっとと出しちまえ」という認識があったんですね。


 んじゃ何で高校二年の時は賞がもらえたか?


 これは種明かしすると、この作品の文庫本には安部公房氏自身があとがきで、「過去」「現在」「未来」と配置される時間同士の残酷さを書きたかったと言っていたのです。


 すなわち「過去」は絶対「現在」に勝てないし、「現在」は絶対「未来」には勝てない。


 それをテーマに読書感想文書いたら賞もらえちゃったんですよ。


 ここに至り、やっと私は「テーマを絞る」ことの意味を体感したのです。


 まあ、高校三年は「読書感想文」の宿題が出ませんでしたから、この「開眼」は一年限り有効で終わっちゃいましたwww


 このことは知人の高校教員も「テーマを絞る」ことは重視していると言っていたので信憑性はあるかと。


 ◇◇◇


 さて、②の方です。これは①と比べ、かなりブラックな話になります。不快に感じられた方はブラウザバックをお願いします。


 小学校高学年のことでした。クラスメイトが読書感想文で最優秀賞を取り、担任のおばあちゃん先生はご満悦。その理由は教え子が最優秀賞を取ったことだけじゃありませんでした。


 素材となった作品は少年向け歴史小説。これからあらすじを書きます。


 主人公は戊辰戦争で敗者になった側の藩の一人の少年。その藩は新政府側に過酷な扱いを受けます。


 それを見た別の藩の藩主が同情して、敗者の藩の少年たちを留学生として自藩の藩校に受け入れます。少年はその中の一人です。


 少年は留学先の藩の食事が合わず、故郷のものが食べたいと母に手紙を書きます。それに対し、母は「藩を代表して留学させてもらっているのに、そんなことを言うとは何事だ」と叱責の返事を送ります。


 これに反省した少年は自戒の印としてその母の手紙を肌身離さず持ち歩きますが、ある日、それを落として、留学先の藩の少年に読まれて、笑われてしまいます。


 屈辱にまみれる少年は剣道の試合で笑った少年をぶちのめします。しかし、留学先の藩の少年をぶちのめしたとならば、大恩ある主君に迷惑がかかる、少年は責任を取ると言って、その晩、切腹します。


 ……


 さて、みなさんはこの話をどう思われますか。最優秀賞の読書感想文は「よく今の子どもは甘えていると言われるが、本当にそうだ。昔は同い年くらいの子どもがこんなに立派だった」とか書いて受賞しました。


 おばあちゃん先生がご満悦だったのは、教え子の受賞もさることながら、普段からの口癖「今の子どものおまえたちは甘えてる」が見事に反映された読書感想文だったからです(おばあちゃん先生、ずっとそれを言ってました)。


 ◇◇◇


 しかし、当時の私はまだ小学生だったので言語化できませんでしたが、違和感ありありで、すなわち「こういう作品が最優秀賞? 読書感想文って何か好きになれないな」と思ったわけです。


 今思えば無茶苦茶です。「そんな大事な手紙なら持ち歩くな」「その手紙に誇りを持っているなら、読まれて笑われても堂々としてろ」「私怨で留学先の少年をぶちのめして、当てつけのように切腹したんじゃ、かえって主君に迷惑かけるだろ」


 ただ、その当時はそういうふうに気持ちが整理できず、ぼうっとした「読書感想文への嫌悪感」だけが残ったのです。


 ◇◇◇


 その辺の裏も分かってきたのは、逆に大人になってから「作文コンクール」の下読みをしたことからです。


「もっともだ」と思うことを書いてあっても、それが主催者側の望む内容でないと通せないのですね。


 一部の学校では「相手の望むものをくみ取り、それに沿った作文を書くよう」指導しているところもあるようですが、当時私がそういう指導受けたら、かえって反発して書きたいものを書いた可能性大ですwww


 ◇◇◇


 こういう話は今でもあって、自分の書きたいようにだけ書いていたんではポイント取れませんよと言われたりしますよね。


 私もよく言えば大人になった。悪く言えば尖ったところがなくなったので、何とか自分の書きたいものと望まれるものの折り合いをつけていきたいですね。


 うーん。何とか成果でてほしいなあ。自分が楽しいと思うものを多くの人が「楽しいね」と言ってくれたら、やっぱりいいですよね。


挿絵(By みてみん)

イラストレーション砂礫零様

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