国の方針
ー国会議事堂ー
「静粛に!静粛に!」
議長の声により、動物園の如く様々な声が響き渡る議事堂内の声は徐々に収まっていった。若干の野次もあったが、大部分は大胆な法案が通った、日本の頭が痛くなる問題がやっと解決する等、肯定的な声が多かった。
「賛成多数により、地下空間開発法案を可決します」
この声を聞き、総理大臣の田中は机の下で拳を握り小さく「よしっ!」と言い、
副総理の麻倉は目を瞑り、満足げに頷く。
ー地下空間開発法 概要ー
1.地下空間にある土地は国有財産とし、統治権、所有権は日本の物とし、地下空間においても地上と同じく日本国憲法は適応される。
2.自衛隊の基地を建設する。
3.地下及び地下から地上にかけ貨物用の鉄道施設を建設を行う。
4.地下に道路を敷設を行う。
5.農業、採掘、工業施設を建設し、それに伴い労働者用の住宅地を建設する。
法案が可決され、次々と議事堂を出て行く議員。一人議事堂で椅子に座ったまま動かない男が居た。総理大臣の田中だ。
田中は達成感に浸っていた。
この田中という男、貧しい家に生まれながら、国民の声に誠実に応え町長、市長、議員、総理大臣となった真に国を想う政治家である。
「これで、日本の雇用問題、食糧自給率も改善される。自分が在職中にこんなチャンスが来るとは…色々あったがやってきて良かった。」
そう言って、日本の未来に光明を感じつつ議事堂を後にした。