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Brave soldier  作者: ノベル
12/16

変わりゆく日本ー④

 そして佐藤は現在に至る。


 ー地下空間アパート前ー

 前にいるものが続々と鍵を貰い、自分の番が回ってきた。自衛官が自分の名前を呼ぶ。

「佐藤さんですね。3階の301号室になります。」

 そう言って佐藤に鍵を渡す。

 佐藤は「ありがとうございます。」と言い、軽く会釈をしアパートに向かう。

 階段を上がりながら

「佐藤だから三階なら310号室かと思ってたのにな」とくだらない冗談を言いながら階段を上がる。

 そして自分の部屋の前に着いた。

 鍵を開け中に入る。

 家の中は非常に簡素だった。

 廊下は人二人がギリギリ通れるくらいの広さで、右側にトイレと浴室、左側にはコンロと炊事場。突き当たりのドアを開けるとリビングがあり、リビングの上に小さなロフトがある。

 リビングの中央を見てみると梱包された段ボールが置いてある。これが支給された日用品の事だろう。

 ちなみに家電だが、生活していく中で必要な物は予め設置されている。至れり尽せりだ。

 あとは、ベランダだ。

 佐藤はカーテンを開け、窓を開ける。

 ベランダの外には青々とした木々が等間隔で並び、枝の上では小鳥たちの歌が聞こえる。

 佐藤はベランダの手すりに寄りかかり、目を閉じた。佐藤は今は亡き祖父母の事を思い出していた。


「ばあちゃん家もこんなだったな〜…」

 佐藤はしばらく思い出に浸ったあと、部屋に戻る。


 部屋の真ん中に座り込んだ佐藤はボーっと外を眺める。すると徐々に今までの事が胸の奥から、湧き上がり、やがてそれは涙に変わっていった。佐藤は勢いよくその場で正座し、頭を下げる。

 そしてベランダの外の地下空間に対して、

「ありがとうございます。ありがとうございます…」と何度も何度も感謝の言葉を言い続けた。


 気がつくと夕方になっていた。

 佐藤はゆっくりと立ち上がり、整理に取り掛かった。


 そして、夜。

 梱包されたままの段ボールがいくつかある部屋に佐藤は布団を敷き、灯りを消す。

 佐藤は目を閉じる。完全な暗闇の中で寝るのはいつぶりだろうか。辺りは耳鳴りがするほど、静寂に包まれている。

 佐藤はここから再スタートするという強い気持ちを持ちつつ、眠りについた。


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