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Brave soldier  作者: ノベル
11/16

変わりゆく日本ー③

ネットの掲示板をだらだら見ながら、佐藤は行ってみたいと思いながらも、どうせ自分では無理だと思いスレを閉じようとしていた。

その時に

【速報 地下空間で作業員募集中だってばよ!】

の見出しと共に求人情報が掲示板に書かれた。


内容を見ているうちに画面に釘付けになる佐藤。だが給与の所で「ゴミかよ」と言い椅子にもたれ掛かる。他の人の反応が気になり、スクロールするとまだ待遇の項目があった。待遇を読み佐藤はネットカフェに居るのも忘れて「マジかよっ!」と叫んでしまう。

ノータイムで隣の個室からパーテーションを無言で壁ドンされる。

「すみません…」小さく言った後に釣りではないのか、職業安定所のHPを見る。そこには掲示板に書かれている情報が確かに記載されてあった。


「マジだった…」と小さく呟き、佐藤は即座に決断する。元々失う物なんて何も無い。佐藤はレジに行き、外出する旨を伝えてコンビニで履歴書を買いに行った。

戻ってきた佐藤は履歴書と悪戦苦闘しながらも書き終え、狭いネットカフェの個室で薄いブランケットに包まれながら眠った。


【次の日】

職業安定所には情報を聞きつけた人で溢れかえっていた。自分と同じ作業着姿の人間も少なくない。

結構待たされたが、無事に担当と話をして面接日時と面接会場が言い渡される。


【面接日】

家なしの佐藤は当然スーツなんて持ってなく、綺麗目な服を着て面接会場にやって来た。

受付の人は私服に関して特に何も言わずに、

「ではこちらの椅子にお掛けになってお待ち下さい」と言い他の人の受付にあたる。

それもそのはず、作業服そのままで普通に来ている者も割といたのだ。その中でも猛者が居た。鳶職の若い兄ちゃんで、足袋を履いたまま来ていた。恐らく近くの現場で働いていて、空き時間にそのまま来たのだろう。

最初に筆記試験があったが、中学生レベルの問題で大した事はなかった。

その後に個人面接で自分の番が回ってきて、面接を受ける。大した質問は無く、国の管理下の職場なのにあっさりと面接は終わった。

数日間受かっている事を願いながら、佐藤は日雇いの仕事を続けた。


【数日後】

仕事が終わって、ネットカフェにいつものように戻るとレジで郵便物を渡された。面接結果の通知だ。

店員は奥に引っ込み、またヒソヒソ話を始めている。今度は合格か不合格かで賭けをしているのだろう。

ドキドキしながら、受付を済まして部屋に行く。その後いつもより念入りにシャワーを浴びて部屋に帰る。目の前の封筒をしばらく見つめた後、恐る恐る封筒を開け、内容を読んだ。


合格だった。


「オラァきたぁー!!」

佐藤はネットカフェに居る事も忘れて叫んだ。幸いまだ隣の住人は帰ってきておらず、壁ドンは回避された。


佐藤は個室に設置された受話器を取り、オーダーを取る事にした。

佐藤はいつもより少し弾んだ声で

「焼肉定食大盛りで、ビールも」と言った。

その後、佐藤はつまみとビールをお代わりし、久しぶりにいい気分で眠るのであった。


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