青空のち夕暮れ
また、私は朝5時に起きてしまった。もうこんな生活嫌だ。目覚ましは8時にセットしてあるのに。昨日のこと今日のこと色々なことを考えているとあっという間に時間が過ぎ、目覚ましが鳴った。簡単な朝ごはんを作り身支度をした。久しぶりに誰かと休日に出かけるからだろうか、いつもよりメイクも服のコーディネートも準備する全てが楽しい。さぁ、時間だ。出かけよう。黒の薄手のニットにベージュのパンツ、黒のパンプス、ポイントにと思ってボルドーカラーのバック。昼を過ぎて寒くないように薄手の上着も持った。少しだけおしゃれをしてみた。
10時53分に待ち合わせ場所に着いてしまった。11時に集合だから少し待つことにした。少し影に入るとひんやりとした。慌ただしくしていたり、心にゆとりがなかったから季節を感じることを忘れていたがもう10月になっている。早いものだ、この間まで暑くって半袖を着ていたはずなのに。そんなことを少し思っていた。
「ごめん。待ったかな。はい、これ。」
全然待っていない。10時56分に瀬戸さんは来たのだから遅刻でもない。差し出されたのは、小さいペットボトルのミルクティーだ。私は突然の事でわからなかった。
「ありがとう。これ、どうしたの?」
「休日に突然呼び出してしまったから、それのお詫び?と来てくれた感謝のプレゼント。プレゼントってほどのものじゃないけどね。」
どこまでこの人は、紳士なんだ。出かけようと誘ってくれたのは、昨日の私を見て気分転換にと思ってしてくれたのに。こんな事をされたのは、初めての事でとてもきゅんとしてしまった。
「そんなの、よかったのに。でも、嬉しい。ありがとう。」
「いえいえ、どういたしまして。とりあえず、どこに行こうか。お腹空いてる?」
「朝軽くしか食べてないから、少し空いてきてるかな。」
食べたいものを聞かれたので、パスタと答えるとおすすめのお店に連れて行ってくれた。瀬戸さんのおすすめなだけあって、とても美味しかった。食べながら、仕事の話をしたり休日の過ごし方を話したりした。そのあとは、本屋に行ったりひたすらぶらぶらした。何も目的を持たずゆっくりとした時間を過ごす事がとても楽しかった。
少し歩き疲れカフェに入った。瀬戸さんは、嫌な顔ひとつせずにこやかな顔をずっとしている。気分転換に連れて行ってもらっていて、昨日の出来事を1ミリも話さないまま解散するのは、違う気がして話す事にした。
「今日は、本当に楽しいよ。ありがとう。昨日、私がなんであんな状態になってしまったのか話してもいいかな。突然ごめんね。」
思い出すのもつらいから、本当は言いたくない。この後、空気が悪くなるのも怖い。でも、言わないと。
「言うの怖いよね。別に無理して言わなくてもいいんだよ。人には、言いたくことがあってもいいと思うし。」
穏やかな顔で言ってくれた。この言葉にもう甘えるわけにはいけない。言おうと決めたのだから。
日が落ち始め、空がオレンジ色だ。