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② ラグナロク;リブーテッド

【前回のオレオー】

ラグナロクは光の民リョースヴェルルの企みだった。東雲オーディンはスキールニルとの戦いに挑む。果たして勝つのは――――

「ゥウォリィヤァァァァァッッッ!」


 オレは剣をヤツの肩口目掛け叩き込んだ。唸りを上げて振り込んだ剣身は


すかっ


 何に当たるでもなくヤツの体を素通りし、剣先だけが大地を穿った。

「な、何ィ⁈」

「キミは愚か者なんだな。さっきキミはボクに暴力を振るった。だったらボクは当然それに対処するよね。ボクは次元を上げたんだ。だからキミはもうボクを殴ることはできないし、剣で斬ることもできない。それ、ミスティルティンだろ? ヴァンの民から奪ったんだね。でもキミはその剣が何なのかを知らなかった。ミスティルティンは『闇の剣』。光を斬り裂くことができる。キミと同じ次元での物理攻撃、それにミスティルティンの属性攻撃があったらさすがにボクも危なかった。自分が与えた剣で斬られたりなんかしたらとんだ笑い者だ。キミが愚かで助かったよ」

 しまった! だったらさっさとクシ刺しにでもしとくんだった! オレの中の平和主義者がこんなところでアダになるとは!

「最初に手を出したのはキミの方だからね。これは仕方のないことだよ」

 スキールニルは表情一つ変えることもなく、すっと右腕を上げ、それを静かに前へ倒した。


ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


 同時にヨトゥンの兵たちが怒号のごとき雄叫びを上げ、怒涛のごとき進軍を始めた。

「くそ… トール! 頼むぞ!」

「おうよ父上! 皆の者! 進軍開始じゃあッ!」


ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


 トールがミョルニルを前へ振り翳すのに合わせてアース(こちら)の軍も前進、まもなく会敵し、戦闘が始まった。男どもの野太い雄叫び声と武器同士がぶつかり合う音が、四方八方サラウンドで飛び交う。

 大将とやらのスキールニルは何をするでもなく、ただオレと対峙していた。冷ややかな笑みを浮かべながら。



 激しい戦いの音は徐々にオレの前から聞こえるように。見回せはアース神族の軍勢がヨトゥンを押しているのが目に入る。もっとも…目立つのはその大きさからフェンリルとヨルムンガンドで、フェンリルはボールにじゃれ付くように巨人たちを弾き飛ばし、ヨルムンガンドは尻尾の一振りで巨人たちをなぎ倒す。こりゃチートだな…と思ったりもするが、ともかくこちらが優勢なのは間違いない。ヨトゥンだって人だ、できれば死傷者を最低限に抑え、こちらの勝利で終わらせたい。戦争とは武力による交渉だ。目的を達すれば人命を奪う必要はない。戦況から目の前の末生り瓢箪が折れれば話は終わるんだ。

「スキールニル。ご自慢の軍勢はブリキの兵隊か? どう見たってアース側優勢、ヤツらが白旗を上げるのは時間の問題だ。その時お前はどうするつもりだ? 今すぐ降伏すれば命だけは」

 だが、ヤツはオレの言葉を遮って、呆れたようにこう言った。

「やれやれ。何も分かってないな、キミは。彼らが降伏するって? 何の冗談だい。ボクは彼らに『囁いて』いるんだよ? 死ぬまで戦えってね。彼らはボクの『囁き』のままに戦い続ける。腕が捥げようと、脚が捥げようとね。死んだところでどうせしばらくすれば増えてくるんだ、気にする必要なんかないのさ」

 冷徹と言えばそうなんだが、むしろ…話が通じない。なんかこう、違った意味で通じない。多分…コイツの頭の中には『結果』しか存在していない。それは『勝利』という言葉なんかじゃない。オレたちアース神族の絶滅。この世界にある『運命』の『結果』。ヨトゥンもカッターナイフの替刃程度にしか思っていない。しかし…

「それじゃ『囁き』とやらをほざいたヤツを殺せば終わるってことか?」

「できるものなら、ね」

「できるかどうかじゃねぇッ! やるんだよッ!」

 新入社員だった安達を叱ったときの言葉そのままに、オレは剣で斬り込んでいく。だがやはり…

「ムダだってことが分からないのかな?」

「クッソーッ!」

 光を斬ると与えた本人お墨付きの剣はまるで空気を切るように手応えがない。

「オーディンッ!」

 不意にスキールニルの背後からロキが突っ込んできて槍を突き立てるが

「何なんだコイツはッ⁈」

 オレ同様なんの手応えもなかったようだ。

「ロキッ! コイツに構うな! コイツは並みの戦い方じゃ倒せねぇ! オレに任せろ! お前はみんなと一緒にヨトゥンの勢力を削ってくれ!」

「ぬぅっ、分かった! ここは頼んだ!」

「おう! 任せとけよ!」

 総大将って立場上そう言わなきゃならないんだが、一体どうすりゃいいんだよ…

「彼、行っちゃったけど、いいのかい?」

「構わねぇ。オレがお前をブッ倒す!」

 オレはスキールニルに向けて剣を構え直す。

「まったく。それは効かないって分かってるだろ? それでもやるって言うなら、ボクから行くよ」

 ヤツはオレに向けて右腕を伸ばして手のひらを翳し、たった一言だけ唱えた。

(ライゾー)


カッ


「グワァッ⁈」

 どこからともなく稲妻が走り、オレの体を貫いた。うっかりコンセントを触っちまったなんてレベルじゃない電気の痺れが身体中を駆け抜けた。立つ力を奪われ、オレは膝から崩れる。が、こんなことでブッ倒れてらんねぇ、剣を杖にして立ち上がった。

「ク…クソォ…」

(ライゾー)

 また⁉ 電流が体を駆け巡る。これもどうにか持ち堪える、が…

「へぇ。これでも倒れないか。でも調整が難しいんだよね、中途半端な次元だと」

「調整…だと? 手加減してる…ってのか?」

「その通りさ」

「ひと思い()れッ!」

「そうはいかないよ。だってキミを殺すのがボクであってはいけないからね」

「…なんだと…」

「だって、アース神族が滅びることでラグナロクは完成するんだ。だからキミ、オーディンはボク以外の誰かに殺されなければならない。そのためには生かさず殺さずの状態でその辺に転がしておけば、ヨトゥンがくし刺しにでもしてくれるだろう。彼らにやりやすいよう、キミの力は削ぎ落としておかなきゃならない。(ライゾー)

「ガァッ!」

 クソォ! クソォ! クソォ! なんだ、何もできないまま終わるのか? フェンリルに食われる運命から逃れられたってのに、それでも誰かに殺されなきゃならないシナリオを変えられないのか? ラグナロクは白紙になったんじゃないのかよ⁉

 …そうか。オレは所詮編集者だった、ってことか。他人が創ったプロットやストーリーに口出しすることはできても、新しいストーリーを創ることはできないんだ。かーっ、なんてこった。オレの人生、振り出しに戻ったってことだよ… だが編集者として。できる限りのことはやってやる。読者が納得する最高のエンディングってヤツを模索してやるさ! 編集者のプライドに賭けて!

 何か、何かないのか? この形成を逆転できる何かが。ラノベならここで主人公が『秘められし力』にでも目覚めて覚醒するイベントでも挟まるところだが、あいにくそれが期待できない。オレは主人公じゃないらしい。でも何かできるはず…思い出せ、今まで付き合ってきた作品の数々を!

 …ああ、こんなときにこんなの思い出しちゃうのか。花塩のプロットにあった、セイズの魔術の呪文のメモ。スクッギ相手にセイズは使えた、同じ北欧神話舞台なんだから今だって使えるはず。そして効くはずだ。それなら!

「種子よ、(めざ)めよ。眠りを破れ。潜在の力、芽爆(がばく)となりて顕現せよ。芽爆(がばく)(せい)!」

 …スゲェ…花塩はコレを術者の潜在能力を引き出す呪文って言ってたが、その通りだった。体の奥の何かが目覚めて、身体中に不思議な力が漲っていくのが実感できる。これなら…行ける!

 オレは立ち上がり


カラン…


 剣を捨てた。そして目の前のヤツがしていたのと同じように、右腕を前に翳す。

「火よ、吼えろ。太陽の芯、我が胸に燃えよ。咆哮となりて焼き尽くせ。焔芯(えんしん)(ほう)!」

 翳した手のひらから炎が噴き出し、それはスキールニルを目指す。

(イングズ)

 だがヤツの足元から土の壁が生え上がり、炎は防がれてしまった。

「へぇ。セイズにルーンを組み合わせてガルズルを短縮したのか。なかなかキミは器用だね」

「お褒めにあずかり光栄だよ」

 クソッ。呪文を考えた花塩が褒められたようで癪に障るが今は存分に役に立ってんだ、文句は言ってられない。ただ問題はある。スキールニルの魔術に比べてこちらはどうやら命中精度が低いらしい。今の炎も拡散しちまってる。術者の集中力の問題なのか? ああ、だから魔術師や魔法使いは杖を持ってるのか。なるほどと今さら気付いたが、あいにく杖はない。だが集中力さえ高められるなら…イメージしろ。今俺の手の中には銃がある。そうだな、せっかくだ、デザートイーグルくらい行っとくか。そいつをこう構えて、人差し指をターゲットへ向けて…花塩(アイツ)の呪文は一旦詠唱すれば呪文名でショートカットできるって設定だった。

焔芯(えんしん)(ほう)!」


ボシュッ


 今度は圧縮されたように真っ赤な火の玉が人差し指の先から弾丸のように放たれ、スキールニルへ向かう。

(ラグズ)


バシュッ…


 …水滴に消された…

「大したものだね。このわずかな時間でそこまで成長を見せるなんてまるで…ん? そうか、そういうことか。なるほど、ウルズの言う通り今までとは違うわけだ。でもそんなことはボクには関係ない。キミが誰であろうと、ボクは必然的意思(ウィルド)に則ってキミを消し、アース神族を消せばいいんだからね。ここまで手こずらせられるとは思わなかったよ。少々手荒いことになってしまうけど、仕方ないね。それが『運命』だった、ってことだから」

 スキールニルはもう一方の、つまり左手もオレに向けた。

(ガル)(テイワズ)


ヴォッ


「ガァッ⁉」

 オレは無様にも地面へイモムシように転げた。

「ガァアアアアッ⁉」

 それは一瞬だった。一瞬のうちに…オレの右脚、膝から下が消え飛んだ。痛ェ。ハンパなく痛ェ。痛ぇがまだ終わっちゃいねえんだ。アイツを、スキールニルを仕留めるまでは!

「槍よ、放て…天威を宿せッ…ひ、必中の貫、我が敵を穿てェ! 貫槍(かんそう)(しん)ッ!」

(カルク)


ガッ…


 それは…オレが放った魔術は目に見えない槍だった。そして間違いなく当たったハズだ。しかしヤツは…何事もなかったかのようにまだ立ってやがる…

「やれやれ。脚1つではまだ抵抗するのか。それなら両腕両脚、全部消してしまわなきゃならないね。(ガル)(テイワズ)(ペルス)

 スキールニルが短い呪文を詠唱し終わるとオレの目の前は真っ暗になった。…また死んだのか?と思ったが真っ暗になるのが早すぎる。違う…これ、この真っ暗なやつ、毛むくじゃら…傍にあった剣を引き寄せ、杖代わりに立ち上がってその毛むくじゃらを見渡す。

「ッ⁉ フェンリルッ⁉」


《間に合ったね、オーディン…大丈夫だった…?》


「大丈夫って…お前ッ⁈」

 …フェンリルの体には至る所穿たれた跡があり、そこからは血が、真っ赤な血が流れていた…

「フェンリルっ! お前、なんでこんな…オレなんかを…」


《…ママに言われてるんだ…やられたらやり返しなさい。やさしさにはやさしさで返しなさいって。きみはぼくをしばりつけていたものを取ってくれた。お鼻もなでてくれた。だからお返ししなくちゃって。ぼくはちゃんとお返しできたかな…?》


「お前…そんなことで…」


《そんなことじゃないよ。きみがぼくを自由にしてくれたおかげでぼくはまたママに会えた。新しいお母さんにも会えたんだ。こんなにしあわせなことってないじゃない。だからオーディン、ありがとう》


「礼には及ばんさ。オレたちが間違ってんだからな…」


《ねぇオーディン。ぼく、ねむくなってきちゃった…》


「え…眠るな…眠るなフェンリル! 眠っちゃダメだっ! フェンリル! … フェンリルッ⁉ フェンリルゥゥゥッ⁉」

 …フェンリルは返事をしなかった。もう…



 周りを見回した。オレがスキールニルとの魔術対決に気を取られている間にすっかり戦況が変わっちまっていた。

 向こう側のヨトゥンの兵は、もはや誰一人として武器を持っていない。その代わりに石を投げている。普通に考えればすべての武器を失って、もう石を投げるしかないって状況なんだろうが、どうにも様子がおかしい。その石は、なんだか薄らぼんやりとした緑色の光に包まれていて、投げたときの初速は普通なんだがその速さを維持したまま。そして物理法則を無視して放物線を描かずに飛び続け

「グワァッ⁉」

 おおよそこぶし大の石とは思えないエネルギーで体にめり込む。骨があればそこで止まり、無ければそのまま貫通しちまう。腹に当たったヤツなんかは胴体にぼっかりと穴をあけ、血を流しながらその場に倒れこんじまった。

「スキールニルゥゥゥッ⁉」

「武器に細工をするくらい当然のことだよ。彼らが投げている石にはルーンが刻んである。剣や槍よりよっぽど強力だよ」

「クッソォォォッ!」

 アイツは⁈ ヨルムンガンドは⁈



《もういいよ、トール…僕のことはいいから、早く逃げなよ…》


「何を言うか! 我らアース神族、最後まで勇敢に戦わねばならぬ! むしろお主こそここから早く退けっ! お主はまだ子供ではないかっ!」


《僕はもうダメみたい。僕が壁になっているから、早く…トール…君と分かり合えてよかっ…》


「しっかりいたせっ、ヨルムンガンドッ! な…ヨルムンガンドーッ!」



「やれやれ。厄介だった動物たちがやっと消えてくれたね。そうか、もう一人。念のため、あのお嬢ちゃんも処しておかないとね」

 抑揚なくスキールニルはそう言うとヘルのいる方を見ると、さっきまでオレに向けていた両手をそちらへ向けた。

「やめろスキールニル…ヤメロォォォォォッ!」

(ガル)(テイワズ)(ペルス)

 スキールニルの両掌から無数の何かが発せられ、それらは真っすぐにヘルへと向かった。



「ガァアアアアッ」

「お父様ッ⁈」

「ガ、ア…ヘ、ヘル…無事…か…?」

 ヘルへ向けられたスキールニルの魔術攻撃。ヘルの前に立ちはだかったロキが、それをすべて一身に受けその場に倒れ伏せた。右腕は付け根から吹き飛び、左脚も膝から下が消え飛んだ。そして身体中が無数に穿たれ、赤い血を溢れさせていた。

「私は…お父様!」

「すまん、ヘル。父親らしいことを何もしてやれなかった…」

「そんなことは…お父様⁈ お父様⁉」

 ヘルの叫ぶ問いかけに、ロキが応えることはなかった。



「あーあ、ジャマが入っちゃったね」

「スキールニルゥッ! テメーはッ!」

「何をそんなに怒ってるんだい? アレはアース神族とはいえ元はヨトゥンだろう? それならボクの手違いにはならないから大丈夫だよ。心配いらないさ」

「そんなことを言ってんじゃねぇっ!」

「だったら何だって言うんだ? 不満があるならボクを止めてみればいい。できるものなら、だけど」

「スキールニルゥゥゥ!」


「…許さない…絶対に許さないッ! フェンリル兄さまを、ヨルムンガンド兄さまを傷付けた人、絶対に許さないッ! お父様を傷付けた人、絶対に絶対に許さないッ!」

 背後から声。振り返ればヘルが…おの穏やかな笑顔がかわいかったヘルが…鬼のような形相で立っていた。

 …にわかに冷たい風が吹き抜ける。この冷気…おぼえがある…


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


 轟音とともに、暗闇から現れた白い波のようなものが大地を滑って覆っていく。氷…これは…氷河雪崩?

「すべて飲み込まれてしまえッ!」

 氷河雪崩はヨトゥンたちへ向かって滑っていき、次々と彼らを飲み込んでいった。

「やれやれ。こまったお嬢さんだ。ニヴルヘイムをこんなところに呼び出すとはね」

 その声は上の方から聞こえた。その方向…スキールニルが宙に浮いていた。

「いいよ、それならボクもそれに応えてあげよう。おいで、スルト」


ゴオッ


 氷河雪崩の進む先に大地から炎の柱が天へと伸び上がる。その炎の中にヒトの姿が現れた。巨人。炎の巨人。この巨人は文字通り巨人だ。背丈で10mはある。

「あれは…私の…勝利の剣…」

 退避してきたフレイがその巨人を見て立ちすくんでいた。たしかに…巨人は右手に剣を持っている。コイツ…ミーミルが言っていたスルト…か?

「それじゃスルト。みんなに本物の、世界を終わらせる力を見せてあげて」


ゴアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア…


 スキールニルの言葉に応え、炎の巨人スルトは雄叫びとともに剣を振り下ろした。剣から発せられた炎は野を焼き進んで氷河雪崩と衝突、氷を溶かし猛烈な霧を発生させる

「いいよスルト。その調子だ。そのままこの世界を焼き尽くしてしまおうか」

 次々とスルトの剣から炎が迸り、氷を溶かしては大地を焼いていく。

 スルトが現れて大地が炎に包まれて…これは…ラグナロク…世界の終焉…終わるのか、やはり…この世界は終わらなくてはいけないのか…運命ってヤツは思い通りにならなきゃ気が済まないワガママなヤツなのかよッ!


ゴ  ゴ ゴゴゴ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


 何だ? 足元に揺れ! 地震か! いや、違、地震だけどそれだけじゃねぇッ⁉

 大地の向こうから地割れが真っすぐこっちに向かってきている! 氷河が溶けてできた霧を切り裂きながら進んでくる!

「ギンヌンガガプだとッ?」

 スキールニル、驚愕の声。コイツの驚いた声は初めて聞いたぜ…

 けど地割れだけでは済まなかった。

「なぜだッ⁈ なぜユミルがッ⁈ まさか…世界が始まるとでもいうのか… …ウ、ウワァァァァァッ!」

 またスキールニルの叫び声。

 地割れの奥からオレンジ色がかった何かが溢れるように現れ、何もかもを飲み込んでいく。むしろみんな吸い込まれるように。

 ヨトゥンも。

 アースも。

 フェンリルもヨルムンガンドも。

 スキールニルも。

 そして。

 オレも。

 …温かい。怖くない。なんだか…全身が溶けてオレンジ色の物体に取り込まれていくような――――

あとがきはこちらにまとめました。

→「なぜ?なに?オレオー!」(N7423LN)

各エピソードで使用したネタとその解釈なんかを書いています。

本編と併せて読むとより面白く!

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