表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/26

⑪ アングルボザの窓⑥「ヨルムンガンド」

【前回のオレオー】

やっと身籠り産んだ子は異形となり育った。アース神族に我が子を連れ去られたアングルボザの悲しみは深く――――

 あれから1年ほどが過ぎ…アタシは心にぽっかり空いてしまった穴を埋めたくて、ロキに体を求めた。ロキは優しく抱いてくれる。この瞬間(とき)だけは、心が満たされる気がする。でも、終わってしまえば虚しさがこみ上げてきて、次の日も、また次の日も求めてしまう。そんな毎日が続いていた。

 ロキは相変わらずアースガルズへ。行ったきり帰ってこない日もある。そんな時は捨てられてしまったんじゃないかと絶望感が心に立ち込める。それでも帰ってきてくれた時は嬉しさのあまり泣いたこともあった。そして満たされない心と体を癒したくて、ロキに甘えるのだ。

 そんな日々が続く中、変わった来客。

「ちーっす。予言いかがっすかー?」

 とても軽薄な言葉遣いの女が訪ねてきた。青くて体にピッチリと貼りついたようなワンピースを着て、年はアタシと同じくらい?

「予言って、アナタ、ヴォルヴァ?」

「そんなとこー。あたし、ユグドラシルの方から来たんだけどー」

「ユグドラシルって、世界樹?」

「そーそーそれそれー。そういうヤツー」

 やっぱり言葉は軽薄だけど、ユグドラシルの方から来たっていうなら本物かもしれない。

「それで、何を予言するの?」

「あなたねー、もうじき赤ちゃん生まれんだわ。マジでマジで」

「えー…!」

 ヴォルヴァがそういうなら間違いない。前もそうだったし。

「あー、そうそう、おまじないね。念のためやっとこうかね。んじゃこれ見てー」

 と、彼女がアタシの前に出したのは、とても磨かれてピカピカになった黒くて平たい石。でも、見ろというから見たものの、別にどうということはなく…

「ハイおっけー。ほんじゃ用が済んだし、あたし帰るわ」

「あのヴォルヴァ様。お水でも」

「あー、あたしそういうのいいから。ほんじゃねー」

 とヒラヒラ手を振って、最後まで軽薄なまま水も飲まずに帰ってしまった。



「あーもう、なんで上はこういう面倒なことやらせるかねぇ。ま、いっか、連絡しとこ。しもしもー、スキールニルちゃーん? あたしー。ウルズなんだけどー」



 それから間もなく私は身籠った。そしてまたロキがいないまま産むことになった。2度目だから要領は分かっていても、苦しいものは苦しい。

 生まれた子は男の子。名をヨルムンガンドと名付けた。世界を束ねるほどの、大きな人になって欲しい。そんな願いを託して。



 ヨルムンガンドもまた元気にスクスクと育った。我が子がスクスク育つのは母親としては嬉しい限り。でも…やはりよぎる。この子は大丈夫なのか…またあの悪夢が訪れるのでは、と。



 でも…悲しみはまたもや訪れた。母親であるアタシの願いとは裏腹に、1か月を過ぎたころから手足が育たなくなり、むしろオタマジャクシがカエルになるように縮み、逆に胴は細く伸びていって、しまいには…ヘビになってしまった…

 ロキに相談したらまたもやアースガルズから使者がやってきた。ヨルムンガンドを預かる、と。ヘビになってしまった我が子を、アタシは言われるままに差し出した…



「お前さ、前にオーディンからもらったヤツ、ちゃんと飲んだんだろうな?」

「え…あの…あの…うん…」

 アタシの煮え切らない態度から、ロキも察したのだろう。

「…チッ。またオーディンからもらってっから、今度はちゃんと飲めよ」

「…うん…」

「っていうか、今ここで飲め。俺、見てっから」

 手渡されたのはまたもや赤い石。ロキが見ているのなら、もはや逃れられない。これを飲むしか…だから、言われるままに飲み込んだ。不思議なことに、お腹の奥…子宮のあたりが軽くなったような…不思議な感じがした。


あとがきはこちらにまとめました。

→「なぜ?なに?オレオー!」(N7423LN)

各エピソードで使用したネタとその解釈なんかを書いています。

本編と併せて読むとより面白く!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ