希望する時へ戻れると言われた、子供に悩む母親4人。その条件は『外見は戻った時の姿。体内年齢はタイムスリップする前』『人として行ってはならないことはしない』 果たして子供の育て直しは?
街はクリスマス一色。テレビの中も煌びやかなイルミネーションを楽しむ人々を映している。
我が家でツリーを飾らなくなったのは何時からだろう。沙織と祐樹が中学までは飾っていた。確か、祐樹がイブの日に暴れてツリーを倒したのが最後だから、20年前。
今日はカウンセリングで仲良くなった人達とランチ。20年前、どうして良いかわからなかった私は学校の先生のすすめで親の会に参加し、同じ悩みを持つ母親達と仲良くなった。
悲しいかな、今日集まった4人はまだ悩みが解決していないのも安心できてる一因かも。
いつも行く喫茶店には奥まったテーブル席があり、人目を気にせず愚痴を吐き出せる。カウンセリングルームの近くにあり、15人位の参加者がそれぞれ同じ悩みの人同士で集まり、一番早く行ったグループがこの席を確保できる。
20年前から続く店は古びて侘しい。
4人の中で私と後藤さんは息子の引きこもりで、鈴木さんと渡辺さんはお嬢さんの引きこもり。4人とも、時々家庭内暴力。
毎週のカウンセリングで先生に悩みを吐露し、皆で励ましあってここまで頑張ってきたけど、20年間出口が見つからずに体力もなくなってきた。
先の見えない私達の悩みは深く、4人でいても帰宅してからのことを思うと、ついため息が出るのだった。その時、きれいな女性が席にスッと座った。
「あなた達、陰気なムード全開ね。今が辛いなら希望する時までのタイムスリップを叶えてあげるわよ」
突然現れた女性に驚く私達を意に介さず、彼女は話し続けた。
「タイムスリップを希望するなら、何歳の時に戻りたいかを考えて、明日ここに来て。誰かにこのことを話したら希望は叶えられないし、この記憶も消え去る」
そしてもう二つの条件を付け加えた。
「希望する年齢まで戻って見た目は若返るけど、体内年齢は今のまま。そして、人として行ってはいけないことをしたら、現実に戻るし、この記憶はなくなる」
そう言い残すと、彼女は店を出て行った。
「ウソ! 夢みたい」
「みんな見たよね、女の人!」
「時をかける少女? バックトゥザフューチャー?」
「私、泣いちゃう!」
それぞれが興奮し、ウキウキした気分で店を後にした。何時の年齢まで戻るか、考えるのが楽しみだった。
でも彼女が言った「見た目は若返るけど体内年齢は今のまま」という条件が気になった。どういうことだろう。私は現在64才。アチコチにガタが来ている。見た目だけじゃなく、体も若返ってほしい。いや、この状況が変わるなら、それくらいどうってことない!
真っ暗な将来が急に明るくなったようで、私は久しぶりにクリスマスケーキを買った。鼻歌を口ずさみながらチキンも焼いた。
家にいた夫がいつもと違う私を不審がるので、「もうすぐ私達の悩みが消えるのよ」と、あやうく話すところだった。危ない危ない!
この人も苦労して、とても老けて見える。有名大学を出て一生懸命働き家も買い、沙織と祐樹がそれぞれ中学受験で希望校に合格。この地方では裕福な暮らしで順風万般に見えていたはず。それが、祐樹の不登校からの家庭内暴力。私達の何がいけなかったのだろうと二人で悩んだ。
それもこれも明日で終わり!何才に戻ろう!
祐樹が中学2年で不登校になったから中学2年?
いえいえ、中学受験が失敗だったから小学6年?
いやいや、そしたら456年の塾通いが無駄だから小学3年?
そうだ、沙織はうまく行ったから中学受験させなきゃ。
悩んだ末、私は祐樹が5年生、沙織が中学1年の頃に戻ろうと決めた。年齢は41才!41才って今より23も若い。ウキウキが止まらない。
眠れない夜が明け1階に降りると、テーブルに置いていたチキンの骨が残っていた。夜中に祐樹が食べたのだった。こんな暮らしも今日で終わり。
時間より早く着いて私達が待っていると、彼女がスッと現れた。やはり天海祐希に似ていてオーラがある。私達は一人ひとり戻りたい年齢と理由を言った。
娘に悩んでる鈴木さんが「娘にされたことは忘れられない。主人との結婚生活も苦労ばかり。結婚前に戻りたい」と言った。その瞬間、鈴木さんが消えた。
「人として行ってはいけないことをしたら、希望は叶いません。お嬢さんには生きる権利がある。この世に生を受けたんだから。他人にばかり責任を押し付ける人の希望は叶いません」と言い、驚いている私達に彼女は時計を一本ずつ渡した。
「あなた達が希望する年に戻っても、この時計は今の時間を刻み続けます。この時計のカレンダーを見て、毎月第2火曜日の午後2時にここに来ること」
時計の使い方をお互いに教えあっているうち、彼女は消えていた。不安と期待でいっぱいの私達は無口になっていた。
帰宅しても祐樹は引きこもっている。何も変わっていなかった。「ああ、夢だったんだ」と辛さが増した。
翌朝起きたら、いつもと様子が違う。布団が違う。パジャマが違う。夫が若い!
「昔に戻ってる!ホントだった!」
すぐに子供部屋に行った。
恐る恐る祐樹の部屋のドアノブに手をかけた。いつも鍵がかかっていて、もう10年以上祐樹の部屋に入ってない。ガチャッ。
「鍵がかかってない!」
私は、まだ眠っている小学生の祐樹を前にして涙が溢れた。夢から覚めるかもしれないと思うと、抱きしめるのが怖かった。私は、泣きながら祐樹の頭をなでた。気配を感じた祐樹が目を覚まして驚いている。
「ママ、どうしたの?またパパとケンカしたの?」
ああ、そうだった。あの頃は夫と絶えずケンカをしていて、家の中は険悪な雰囲気だった。これも祐樹の自信のなさにつながっていたのか。
「ううん、パパとケンカしてないよ。もうケンカしない。ごめんね、心配かけて」
「僕が大きくなったら、パパをやっつけるからね」
何てことをしていたんだろう。祐樹にこんなことを言わせていたなんて。引きこもりは祐樹の性格とばかり思っていたけど、私達にも原因があった。
「ママ、お腹空いた」
「そうそう、ご飯作らなきゃ」
その時私は、沙織のことをすっかり忘れていた。中学受験も大学受験も第一志望に合格し、祐樹のことで自分の人生を邪魔されたくないと東京に出た沙織は、良い意味で自立していた。安心していた私の心に沙織はいなかった。
台所に立つ私の横に来た祐樹が、「ママ、僕背が伸びた!昨日はママのここだったのに、今日はここだよ!」と大声を出した。そばにいた沙織も、「ママ、裾が床についてる。背、縮んだんじゃない?」と言った。
まさか、こういうこと!見かけは若返るけど体内はあの時のまま!
「そんなことないよ」と、私は目いっぱい背伸びをしてごまかした。
食事をしている小学生の祐樹を見つめて、私は叫びたい衝動に駆られた。頬をつねった。夢ではない。身が震えた。何という幸せだろう。祐樹の人生を取り戻してやれる。今度は失敗させない。私は心に誓った。
みんなが出かけて一人になった途端、不安が襲ってきた。
「見かけは若返るが、体内は元のまま」
数年前の健康診断で要注意の箇所が気になった。もういつ死んでも良いと、投げやりな気もちで放置していたが、今の私は死ねない。祐樹のために長生きしなければ。病院に行った。
受診の結果は・・・
ステージ3のガン!天国から地獄に落ちた。それでも先生の表情がおかしく、ちょっと笑った。
「大変失礼ですが、41才にしては細胞自体が弱ってますね」と言われたからだ。
「当たり前です。先生、私64才です」と言いそうになった。
調べてもらったら身長も縮んでた。母が年取って縮んだから私の背も縮むと覚悟してたけど、まだ64才なのに5cmも縮んでたなんてショック!祐樹は背が伸びたと喜んでたけど、ホントは私が縮んでる。背中も丸まってるし、見た目と中身が違い過ぎ。ほんと中身は元のまま。ヤバイ!
背より問題はステージ3のガンだ。先生の話だと、手術後の抗がん剤の副作用がきついらしい。祐樹の世話ができないなら、今に戻ってきた意味がない。
「祐樹君のママ?」
突然話しかけられ振り向くと、多分祐樹の友達のお母さんだろう人が立っていた。誰だっけ?
「やっぱり祐樹君のママ!前かがみでお婆さんみたいに歩いてるから別人と思ったわ。具合悪いの?自転車でなく歩きだなんて」
立て続けに話しかけるこの人の話を聞いて、「ああそうだ。出かける時に自転車が電動じゃなかったから歩きにしたんだった。もうこの坂は登れない」
「明日は塾のテストね。浩介はまた下のクラスだわ。良いわね、祐樹君は優秀だから」
ああ、浩介君のお母さん!確か引っ越して行ったはず。
え?祐樹が優秀だった?そんなはずはない。中の中くらいの成績だけど、沙織と比べてたから、もっと出来るはずと知らず知らずに追い込んでいたかも。
適当に相槌を打ちながら、私は出来るだけの情報を彼女から仕入れ、昔のことを思い出そうとした。祐樹のクラス、担任、習い事など。
別れ際に彼女から、「病院に行った方が良いわよ。腰が曲がってるみたいだから」と言われ、改めて体内年齢は元のままを実感した。
家に着いてガンについて検索しようとスマホを探したがない。どこに置いたかなとひとしきり探して気付いた。この頃、私は携帯も持ってなかった。スマホなんか、もちろんなかった。夫は仕事でパソコンを使ってたけど、家にはなかった。どうやって調べたら良いんだろう。
64才の時、テレビ番組でのガン特集を見たりして、高齢者はガンの進行が遅いと聞いていたので、私は治療をしないと決めた。祐樹のために戻ってきたんだから、残りの時間を祐樹に全てかけようと決めた。
今日診てくれた医者からの大学病院への紹介状を、私は破り捨てた。
ボンヤリとソファーに座っていたら祐樹が学校から帰ってきた。3時!早い!学校ってこんなに早く終わってた?
「ママ、お腹空いた!おやつは?」
おやつ?うっかりしていた。まごまごしていたら、祐樹が棚からポテトチップを出してきて、「これ、食べていい?」と聞いた。
塾のお弁当!
少しずつ思い出してきた。こんな生活をしていたんだ。それにしても体がついていかない。中学受験は嫌々だったはずなのに、祐樹は塾に楽しそうに出かけた。
この頃までは全てが順調だった?塾が楽しそうな祐樹に、塾をやめさせる?
わからなくなった。悩む。
希望の私立中学に入学したばかりの沙織が帰宅し、手を洗っている。コロナは流行ってないはず。そうだ、外から帰ったら手を洗いなさいとうるさく言ってきたから、沙織と夫は手を洗う。祐樹は洗わない。
コロナの時、祐樹は洗ってたのかな?夜中の外出姿を見てないから不明だ。
「ママ、今日のお弁当、何あれ。恥ずかしかった!」と沙織が文句を言った。
今朝は突然のタイムスリップに驚き、また最近まともに料理をしていなかったのでアタフタし、悲惨な弁当だった。それにしても私に対する沙織の口調がきつい。やっぱり、昔から沙織はきつかったんだ。
この暮らしに慣れるまで時間がかかりそう。不思議だ。自分がしてきたことなのに、すっかり忘れてる。それに64才の年のせいか、同じことがグルグル回って思考がまとまらない。だけど一番にすることは祐樹に塾をやめさせ、中学受験をやめさせること。 絶対これはしなければ!
祐樹の中学受験について話し合いたいと思っていたが、仕事が忙しく夫の帰りが遅い。64才の私は家事と子供の世話でクタクタ。夫を待って話し合う余裕がない。体内年齢が64才はきつい。
何の進展もないまま、あの女性から渡された時計で第2火曜日が近づいてきた。行かなきゃ。
64才の別れ際、少し早く集まり近況報告する約束をしていたので正午に着いた。
お嬢さんもご主人もいない結婚前に戻りたいと言って消えた鈴木さん以外の3人は、お互いの若返った姿を褒め合い、夢のような毎日と混乱ぶりも打ち明け合った。
みんなも思っていた昔と、少し違うようだ。
息子の引きこもりに悩む後藤さんが、「ねえ、私、金を買ったのよ。私は2000年に戻ったから、金価格が1000円!噓みたいでしょ。貯金全部でゴールド購入!2024年になったら売るつもり」と話した。
その瞬間、後藤さんが消え、びっくりしている私達の前に彼女が現れた。
「人として、行ってはならないことをしたら現実に戻るし、この記憶はなくなると言いましたね」
彼女はそれだけ言うと、再び消えた。
私と渡辺さんは背筋が凍った。彼女に聞かれている。迂闊なことは言えないと思った。
奥まった私たちの席の向こうに、暗い顔をしたグループがいる。64歳の私が通っていたカウンセリングルームの母親達だ。
「大変ね」と、一瞬優越感を抱いた。ついこの前まで私もあの中にいて、同じ暗い表情をしていたのに。そう気付くと、自分の身勝手さが恥ずかしくなった。
40才のお嬢さんの引きこもりで悩んでた渡辺さんは、元々70才。20年前に戻ったから50才。私と同じく、若くて腰が曲がってるのは目立つ。二人で「体も若くなりたいね」と、欲を言って笑った。
癌と判明したけど治療しないと打ち明けると、「祐樹君のために治療したら?」と。切って終わる癌手術ならするけど、いつまで続くかわからない抗がん剤治療だから、どんなに言われても治療はしない。この数年で祐樹の人生は決まるから、全力で祐樹を守る。
また来月の第2火曜日を約束して、私達は別れた。
それにしても、彼女に渡された時計が次の月の第2火曜日をさすまで、41才に戻った私の生活では1週間しか経ってなかった。渡辺さんは2か月も経っていたらしい。
一体どうなってるんだろう。
でも、天海祐希似の彼女のご機嫌を損ね、この幸せなやり直し人生を取り消されたら大変!
天海祐希似の彼女に消されないよう、人として行ってはならないことはせず、余計なことは言わずで暮らそう。
しかし、もうすぐある事件が起こるはず。とても衝撃を受けたから、私は日時を覚えている。「気をつけて」と、どうにかして伝えたいが、これをしても消されるのだろう。
そう言えば、これから起るであろうことを言って預言者のようなヒーローになるタイムスリップ映画があったような。私はヒロインになることなど求めてないが、大事件大事故が起こることを見逃すのは辛い。でも我が子の幸せのため、知らない振りをするしかない。
やっと夫と話し合う時間が持てた。
「祐樹の中学受験をやめさせたいの」
「楽しく頑張ってるんじゃないのか?」
「あの子は、自分の本当の気持ちを言えないで無理してる」
「祐樹が嫌というなら考えるが、祐樹が言ってないなら続けさせろ」
「あの子は嫌が言えない性格なの」
父親を尊敬している祐樹は、父親に絶対服従でもあった。私達のケンカの後、泣く私に優しい言葉をかけたが、夫のいる前では絶対に知らんぷりだった。この1週間、夫は帰りが遅かったので喧嘩にはならなかったが、朝食時の不機嫌さを見て、昔を思い出してしまった。
沙織は、本人が友達と一緒に中学受験塾に行きたいと言い始めた。上司の子供が中学受験をしたらしく、影響を受けていた夫は賛成だった。公立育ちの私も知らない世界を見る楽しみがあり、また成績の良い沙織のお蔭で楽しい受験だった。沙織は苦労せず、第一志望校に合格した。
当然弟の祐樹も中学受験を選択したが、姉の沙織と比べて成績は振るわず中の中だった。夫の機嫌は悪かったが、塾の勉強の予習復習を教えてやることはなく、「お前の仕事だろ」のひと言で私に押し付けられた。しかし、勉強が得意でない私は、「あなたが見てやってよ」といつも夫に不満があった。
成績が振るわなくても、祐樹は週4日の塾通いにお弁当を持って楽しそうに行く。不登校になってからは中学受験が間違っていた、嫌々塾に通っていたと、私は思っていた。しかし、楽しそうな祐樹を見て、私は記憶を塗り替えていたのかもしれないと思うようになった。
ひょっとして中学受験ではなく中学選びが間違っていたのかもしれない。夫の反対と祐樹の様子で、塾通いは当分続けることにした。私は勉強を見てやるようにしたが算数が難しい。沙織に教えてやってと頼んでも「こんなに簡単なのがわからないの?」と相手にしない。
64才から戻った時の目的の一つ、祐樹の中学受験をやめさせるを無しにした代わりに、しっかり愛情をかけて見守ろう。問題は何の心配もなかった沙織。当時は気にならなかったが、それは私が沙織中心に動いていたから。今は祐樹中心だから、沙織の苛立ちがすごい。
沙織は生来気が強いが、当時はあまり感情をぶつけてくることはなかった。今、私の関心が祐樹にしかないことを敏感に覚り、自分が中心でないことに苛立ってる。驚く程突っかかる。
外面が良く、「沙織ちゃんは良いね。穏やかで」と、友達のお母さんに羨ましがられてた程なのに。
夫や子供の世話と家事で体内年齢64才の私は疲れ果て、41才に戻って来た時の情熱が失せそうになるのを一生懸命引き留めている。34才の祐樹を幸せにしなければと!
そうこうするうち、現実はまだ10日しか経っていないのに時計が2か月後の第二月曜日を示した。明日は集まる日だ。
正午に着き、また渡辺さんと近況報告をし合った。一人娘で気が優しいお嬢さんに寄り添い、昔はなかった情報、自己肯定感を高めるように努力しているとか。渡辺さんの表情が生き生きしていてまぶしい。
それに比べて、沙織の悩みが出てきて、私は気が重い。
ふと向こうの席を見ると、カウンセリング帰りのグループがいる。何とそこに、鈴木さんと後藤さんがいたのだ。しかし、二人共、私達と視線が合っても気付かない。私達が見えてないようだ。このタイムスリップはどうなっているのか、やはり不思議で仕方ない。
今日は店の入り口から、あの女性が颯爽と歩いて来た。みんなが振り返るオーラがある。本当に天海祐希に似ている。
「渡辺さん。伺いたいことがあるわ」
「はい?」
「あなたの弟さんはシステムエンジニアね」
「あ、はい」
「彼、手芸サイトを立ち上げた?」
女性は続けた。
「私は見えるの。渡辺さんが弟さんにミンネのアイデアをさり気なく教えたことが。勘の良い弟さんは、素人の手作り品販売サイトを構築中ね。成功するしないは関係ないの。人として行ってはいけないことを、あなたはしたの」
「私はアクセサリーを作るのが趣味なんです。友人に頼まれたら材料費を貰うこともあるので、多くの人に広まったら良いなと話しただけです。ミンネの仕組みは話していません」と渡辺さんは言い訳したが、フッと消えた。そして、向かいのテーブルに、元から居たように座っていた
私は怖くて震えた。私も消されるかもしれない。
「大丈夫よ。人として、行ってはならないことをしなければね」と言い残し、彼女は消えた。
ぼんやりと帰宅していると、沙織の同級生のお母さんに声をかけられた。
「久しぶりね。沙織ちゃん、私立でも優秀なんでしょ?」
「そんなことないわよ。恵ちゃんは元気?」
「楽しそうに行ってるわ。でも私立と違って英語や数学の授業数が少ないから心配よ」
「え?授業数が違うの?知らなかった。沙織が受けたいと言ったから受験しただけだから、そんなこと、知らなかった」
「呑気で良いわね」
「沙織ちゃん、早速ボーイフレンドができたのね。昨日、一緒に歩いてるとこ、恵が見たって」
「え!?」
「恵によると、高校生みたいだって言ってた」
「まさか!」
私は、その高校生に覚えがあった。電車通学で一緒になる3学年上の子で、中学に入った後、確か告白されたはず。
でもあの時沙織は、今は勉強に向き合いたいと相手にもしなかった。何故、今度は付き合い始めたのか、私は頭が真っ白になった。そう言えば、沙織はこの頃帰りが遅い。部活の後、友達と話して遅くなったと言ってるけど、男の子と会ってた?こんな展開は予定外だ。
沙織は、当時と同じ歩みをするのでは?まさか、違うのだろうか。
確かに、当時は沙織中心に家は回っていたけど、沙織は当時も自立していた。今、私が祐樹に一生懸命になっているから、多少は腹を立てて苛立つかもしれないけど、変わらず自立し、夢に向かって頑張ってるはず。
私が祐樹にかかりっきりだから?
私に不満?
寂しくて男の子の優しさに心が揺れた?
まさか!沙織はそんな子ではない。私は必死に打ち消した。何かの間違いだ。沙織が帰宅した。
「沙織。ボーイフレンドができたの?恵ちゃんが男の子と一緒のとこを見たって」
「うるさいな」
続く
・・・・・・これ以降、ChatGPTの文章です。
↓
私は、祐樹の引きこもりと問題行動を克服するために、全力を尽くしてサポートしました。祐樹は私の支援のおかげで徐々に社会とのつながりを取り戻し、自信を取り戻していきました。そして、大学進学を目指すようになりました。
しかし、祐樹の成長と同時に、沙織に問題が浮上してきました。沙織は高校生になってから、突然反抗的な態度を示し始め、学校での成績も急激に低下していきました。私は沙織の悩みを聞き出そうとしましたが、彼女はなかなか心を開いてくれませんでした。
心配しながらも、私は沙織の支援に全力を尽くしました。私は彼女に、自分の感情を素直に表現することの大切さや、人生の困難に立ち向かうための強さを教えました。そして、少しずつですが、沙織も自分の問題に向き合う勇気を持ち始めました。
一方で、私の体調は日に日に悪化していきました。ステージ3のがんは私を苦しめ、時には祐樹と沙織の前で強がっている自分を見せることもありました。しかし、私は二人の子供たちの未来のために、決して諦めることはありませんでした。
そして、私の最後の願いは、祐樹と沙織が幸せになることでした。私は彼らに愛を込めた言葉を残し、静かにこの世を去りました。しかし、私の精神は彼らの傍にあり、彼らの人生を見守り続けることを誓いました。
↑
・・・・・ここまではChatGPTで、ここからは自分で考えたものです・・・・・
↓
母の葬儀を終えた沙織と祐樹は、母が二人に宛てた手紙を見つけた。
そこには、二人の成長を見守れない詫びと、それが34才の祐樹の引きこもりに悩んでいた時からタイムスリップして戻り、育て直しを選択したが故であると書かれていた。
手紙を読んだ沙織と祐樹が顔を見合わせた瞬間、あの喫茶店の奥まったテーブル席に座る母親達が現れた。
その一人は祐樹34才の引きこもりに悩む64才の母親であり、他の三人も、それぞれ成人に達している息子娘に悩む母親達であった。
カウンセリングに通い始めた20年前から続く店は、古びて侘しい。
ふと私は、「こんなとこで何をしているのだろう」と思った。何故かわからないけど、そう思った。
「私、もうここには来ない。20年間、愚痴を吐き出せて助かった。みんなありがとう。これからは祐樹と向き合う」
息子の引きこもりで悩む後藤さん、お嬢さんの引きこもりで悩む鈴木さんと渡辺さん。彼女達の表情も何故か明るい。
「私もそう思ってた。娘と向き合う」
「この前、息子と怒鳴り合ったけど、あの子の本心を聞けて良かった」
私達は、20年間逃げてたのかもしれない。
娘に悩んでる渡辺さんが、「この前から、子ども食堂の手伝いに行ってる。そこに来る子の勉強を見てほしいと言われ、家に呼んだ。算数が難しいので娘に聞いたら、何と娘がリビングに出てきて子ども達に教えてた。娘が『あの子達、今度いつ来るの?』と聞いて来た」と嬉しそうだ。
やはり娘に悩む鈴木さんも、「自助グループの人が、悩んでる子同士をネットで繋いてくれた。うちの娘は最初嫌がってたし無視だったけど、居間のPCにネットを繋いだままにして出かけ、娘一人にした。何度も何度もそうしてたら、この前娘が参加した」と嬉しそうだ。
息子の引きこもりに悩む後藤さん。息子さんは、祐樹と同じく、多分いじめを受けて自信をなくしたのだと思われる。先生によると、いじめたと思う生徒達は軽い気分ではやし立てただけと言うらしい。しかし、面白半分ではやされたら、繊細でない普通の子も傷付く。
その結果が長期の引きこもり。あまりに代償が大きい。
よく引きこもりの原因である苛めをした友人達に復讐するドラマがあるが、当事者は身につまされる。しかし、復讐で一時は気が済むかもしれないが、法治国の日本では罪に問われ、もっと人生が悲惨になり報われない。