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還咲の桜  作者: 占地茸
第一章  旅立ち編
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理不尽な思い

どうも占地茸です。

初投稿かつ完全処女作品なので拙い文章で申し訳ありませんが、気に入っていただいたら幸いにございます。

感想の方も受け付けているので、ダメ出しや改善点なども感じられましたら、自身の文質も上がるので気軽に書いてくれるとありがたいです。


どうぞよろしくお願いします。


「助かったぜおっさん。あのまま家にいたら、かったるい仕事しなきゃなんなかったし」

「…」

子供の発言に少し引っかかるが平静を保つ為に、スルーを決め込む黒服の男。

「それに、あのまま家に居たら、親父に嘘がバレてたかも知れねぇしな」

「いや、それはない」

「えっ」

しかし直ぐに畳み込まれたツッコミ満載の発言には、流石にスルーをすることができなかった黒服の男。


ここに来てまだ半刻も経っていないのに、彼は疲れを覚えていた。

(なんだかコイツらに関わっていると乱されている気がする)

他の奴らもこんな奴らに出会って、変に乱されていないかと不安になる。



そんなことをいざ知らず、横で歩いているその元凶の一つはペラペラと喋り続けている。

「へへ、あいつの必死こいた逃げる様、ぶははっ、思い出すだけで笑えてくるぜ、ンフ、ンハハハ」

「ん?喧嘩したやつ?」

少し喋った内容が気になり問いただす。

子供はこちらを向き、男を少し見定めするとニヤリとして提案を持ちかける。

「んーそうだな、さっきのは嘘。親父たちに話さないって約束するんなら話してやらんこともねぇぜ?」


(…これは…まさか)

男は勘で彼らに関わることだと感じ、約束に応じる。

「ああ、約束するよ。それにここにはあまり長居をするつもりはないからね。君とも仲違いして終わりたくないし。君の親父さんには話さない」


「なんだー!そんな聞きてぇか!しょうがねぇなぁ!」

気を良くした子供は、両手を頭の後ろに置き大股で歩き出す。


「実はな。おっさんが持ってたガキの絵のやつ。

さっきまで絞めてやってたんだー。へへへ」

子供は楽しそうに真実を告白する。

(やはりか)

男の想像する範囲内だったが、驚いた表情を浮かべる。

「え?そんなことやってたの?よくバレなかったね」

「まあな!それに俺だけじゃねぇんだ!他にもいるんだけどな!」



(どこにでもある話だが、加害者がこんなに楽しそうに話すなんて、実情はかなり惨いな)

「でもいいの?そんなことして。あんまり酷いとバレちゃうもんだよ?」

「大丈夫だよ。アイツ、珠人のくせに俺らに歯向かうどころか親に言う度胸すらねぇ腑抜けだ。まぁ、歯向かったところで無駄だけどな」



男は少し疑問に思う。何故彼の息子はいじめに合っているのか。春人という子供は彼、誠士郎の息子であり、その素質も充分に備わっている。何より鬼という珠人の中でも最上位に強い力を手にしているはずだ。ここまでいじめがひどくなる理由がどうしてもわからない。

「なんでハル君なんだい?こんなこと言っちゃなんだが、わざわざ珠人である彼でなくてもよかったはずだ」




意気揚々とする子供に疑問を投げかける。

すると彼の明るい雰囲気が一変して、冷たく暗い雰囲気と変貌した。

「だからだよ」

「え?」

そう言うと、足を止めて淡々と話し始めた。



「俺たちは珠人じゃねぇ。俺たちだけじゃなく、この町にはアイツしか珠人がいねぇんだ。なんでだよ。年もおんなじで、タッパだって俺の方がある。力比べだって負けたことはねえし、足もアイツより速く走れるつもりだ。なのに、なのになんでアイツだけなんだよ!俺だってかっこいい能力が欲しかった!珠人になりたかった!なのになんでアイツだけなんだよ!そんなのずりいんだよ!なんでよりにもよってアイツが、俺が一生願っても手に出来ないものを持ってんだよ!」

子供の声は、最後には心からの怒声と変わり果てた。

(…なるほど。これが原因か)


「そしたら、アイツの能力が光を出すだけって言う雑魚能力だ!はっ!なんだそりゃ!じゃあお前は珠人のくせしてなんの役にも立たないゴミクズ以下だ!」



(やはり劣等感からの行動か。彼の息子にとっては、なりたくてなった訳でもなし、濡れ衣同然だな)

だが、危険の一つでもある珠人をこの国が管理しきれていない為か、迫害主義者がいるのも事実である。男は、八百屋の子供と同じ様な理由の他にも様々な原因を知っている。

(しかし、実際に聞くのと噂で聞くのとでは、実感がここまで違うものなのか)



「アイツは恵まれてるんだから、それぐらいやったって別にいいだろ。俺だけじゃねぇし。それにちゃんと口止めもしてるし大丈夫だ」

「そ、そうかい。なら、いい…けど」


男は、その言葉しかかけられなかった。本来ならば此処でこの子供に叱る事が正しいが、下手に刺激すれば折角の案内を放棄される恐れがあり、今後の行動にも影響がでるためだと判断したため、敢えて口を出さない様にした。



(しかし、このままではあまりに2人共々悲惨だ)

「なぁ坊や」

「お、着いたぜおっさん」

「え?」


前を向くと日本家屋の平家が一軒建っていた。この国のどこにでもある、大きくもなく小さいわけでもない、なんの変哲もない普通の家。迷う道などもどこにもなかった。

その事に、とても不自然さを感じていた。

(妙だな。特別に迷う道のりではなかったはずなのに、誰も此処を知らなかった)



「それじゃあな!約束破んなよ?」

「ああ、わかってるよ。案内ご苦労様、ありがとう」

案内を終えた子供は、坂を降りて帰っていった。



1人になった男は、周りを見渡し、調べ始めた。

(この門も…、なんの変哲も、ないか。本当にこの家が奴らの家なのか?いや、何か施しているのは確実だから、近くに痕跡があるのは間違いないはず。…少し見方を変えるか)

フワッ

男は体を宙に浮かし、上から全体を眺める。









しばらく観察した後、耳に付けた装置に手を当てる。

「私だ。目標の家を発見。全員私の場所に来い。携帯している端末に場所を記しておいた」

「了解。お見事です。隊長」



「かなり細工してある。余程自分の家に他人を呼びたくないのだろう。奴がそこまで隠す必要がある理由も含めて調べるぞ」

「了解。住民には現在強い誘導を与えて、我々との記憶を…」

「もう1人頼めるか。子供だ。そいつには少しばかりお灸も据えろ。いい薬になる」



「…了解。そちらも完了次第、現場へ向かいます」



黒服の男は地面へ降りて、腕を伸ばす。

「んーさて、と、ここからか。長い旅だな、ほんと」

読んでいただき本当にありがとうございます。

この作品がお気に召しましたら引き継ぎご愛読の方、お願いいたします。

ただいま、諸事情により投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ないですが、ご理解していただけると幸いです。

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