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還咲の桜  作者: 占地茸
第二章  入隊編
26/32

午後の授業

遅くなりました。大変申し訳ないです!


(1/3)

とある部分を改変しました。

理由はお話として繋ぎやすかったからです。


午後の授業は、この国の歴史から入った。


この国を大妖怪から護ったとされる最初の神様にして殊人、ヤマトタケル。その人物から名前を頂戴し、国名が大和となってから万に近い年月が経った。

昔の殊人の存在というのは、今とは比べ物にならないほどに規模が大きい能力であったのと、その総数の少なさから神様同然の待遇を受けていた。


だが人口の増加に比例して極端に少なかった殊人の人口も増加し、存在も身近なものとなっていった。ただ力の規模は反比例する様に小さくなってしまった。

身近な存在となったこともあり、力の矛先が自分達へ向く事を恐れた人々は殊人を迫害し、いつしか、殊人の存在はヤマトタケルが生きていた時代とは真逆の立場へと変貌していった。

殊人というだけで、店に入ることも話すことも疎まれ、石を投げられ、覚えのない罪をかけられて、死罪となったこともあったようだ。



その扱いを見兼ねて見直し対等な関係であるべきだと立ち上がり、主張する者がいた。


その者の名は、原芝正繁(はらしべまさしげ)

普通の人間であった。



その者とその声に賛同する殊人達の長きにわたる論争の果てに、珠人は普通の人間の自由と尊厳、人権を勝ち取った。彼のまっすぐな姿勢と信念に人々も感化され、彼はその二年後にこの国で一番長く就任した首相となった。



しかし、彼が亡くなった後の現代でもまだその意識は浸透しきっておらず、各地域で多少の差別意識が存在している。



「以上がこの国の殊人に対しての大まかな歴史の流れだ。何か質問のある者はいるか?」

少し気になることがあったので手を挙げる。

「葉っぱ」

「あの、他の国でもこんな感じの迫害はあったのでしょうか?」



すると先生は直ぐに答えてくれた。

「世界中の国でも我が国と似たような迫害の歴史は確かにあった。だが、現在はどこの国もその格差や差別的意識が完全に無くなり、この国よりも比較的暮らしやすい環境を整えている。我が国も他の国を参考に、独自の環境を整えている途中だ」


ふむふむ。

つまり僕らの国はまだ他の国より価値観が古いようだ。

だが、一般の人が殊人を恐れる理由も分かる。

誰だって得体の知れないものには近づきたくないものであり、危険がないわけではないのだ。



「さて、今回歴史から入ったのはとある物の起源にも関わるからだ。皆、殊具(しゅぐ)については知っているな。今回はそこについて少し深掘りしていく」



珠具。

殊人のような、人が特殊能力持っているのと同じように、道具にも特殊能力を持っているものがある。武器だったり、書物だったりとその種類は豊富で、異様な形のものもあれば普通の道具と区別がつかないものもある。

その殆どがヤマトタケルが生きていた頃の時代に作られたもので、その分布も大和国内だけでなく、世界中で発見の声が相次いでいる為、探し出すだけでも一苦労する。

配られた資料によると、現在殊具には三つの位が存在している。


===============


宝器

確認数 : 420件

誰でも扱うことができ、その能力も比較的規模が小さいものが多い。かと言って少し間違えたら、大怪我につながるものもあるので扱うに当たって油断をしてはならない。


妖器

確認数 : 150件

道具自身が持ち手を選び、選ばれた者だけが自由にその道具の能力を扱うことができる。能力は強力なものが多いが選ばれるための方法は分からないのと、持ち手ではない者が持つと災いを呼び込むため、埋もれてしまうことが多い。


神器

確認数 : 3件

道具自身が意志を持って使い手を選ぶ。妖器と違い、持ち手が必ずしも使える訳ではなく、能力を使う選択権は最後まで神器の方に委ねられている。他の二つとは一線を画す程の力を秘めており、その能力は常識が全く通用せず、たった一つでも世界中が挙って欲しがる程に規模が大きい。


==============



下から順に希少で、特に神器はその姿形、名前すら不明なものが多い。その価値も高く数千億円は下らないので、闇競売では神器として出品された物が偽物だったという事件も多くあったようだ。



だがそれだけの大金を叩いてでも各国が欲しがるということは、国内で所持している事実だけで優位に立てる政治的な力にも影響を及ぼすという事か。



「ちなみに分かってる神器ってどんな奴?」

誰もが疑問に思っただろう質問を、真っ先に聞いたのは甲坂だった。僕も他の皆んなと同じように先生の方に意識を向ける。

「そういうと思って資料を作っておいた。悪いが全員分は無い。回して読め」

言われた通りたった一つの資料を僕らは皆んなで回し読みした。読んでいる間も、先生は資料の内容を事細かに説明してくれた。


「資料に記載している通り、今判明しているものは三つある」



===============


三つの神器


一つ目 : クトゥファーサの涙水

薄桃色の蓮の葉に入っている光り輝く聖水。

この水を一滴飲むだけで生きている者は不老不死となり、死体に飲ませれば、老衰でない限り万全な状態で生き返るという夢のような物だった。

但し、その者に飲ませる価値がないと涙水が判断した場合、掬うことができず、どうにかして与えることができても能力は発動しない。死体に関しては年月が経ち過ぎていたり、何かしらの処理を行なってしまった場合は能力が発動しない。又、生き返った者は不老不死ではない。


現在この神器は、この国から南東に位置するマクリャンバという国が国内で発見し、所持している。広大な国らしく、砂漠地帯があるが一人の殊人のおかげで農作物にはあまり困っておらず、見た目以上に豊かな国らしい。困るとしたら砂漠に住み、時々大量繁殖する超大型源生物くらいのようだ。



二つ目 : 死神の羽衣

見た目は美しく、白い布で大人一人軽々と包み込めるほどの大きい。

包まれた者が頭にある人物の顔や名前、年齢などの個人情報をしっかりと思い浮かべる事で浮かべた人物が生きていた場合、その者と家族、友人、仕事仲間、支持する者など全ての関係者が死亡する。

生きていない、存在しない、又は情報があやふやな場合は、逆に使用者に関わる人物全てが死亡する。この時使用者は殺されない。しかし、もしも使用者に関わる人間がいない場合、使用者自身が死亡する。

神器の中でも特に危険極まりない殊具の一つであり、特に恐ろしいのが使用者全員が能力の発動に成功している。


現在は、北にあるクラストフッドという国が所持している。氷点下国で、常に雪が降っており池や川は常に凍っていて作物が育たない為、貧しい国だが神器を所持しているおかげで、他国から友好条約を結び、物資を支援してもらっているようだ。


発見当初、所持していた国がこの神器のせいで滅んだ際、世界中で所有権での論争の末に、この国が一番国民性が穏やかで優しいと言われているおかげで、羽衣の所有権を勝ち取れたようだ。



三つ目 : 聖神の桃源鏡

淵には金色に輝く装飾が施されており、車輪ほどの大きさの曇り一つない鏡。

どんな願いでも叶えることができる能力を持つ。使用方法は、鏡を少し見つめた後、鏡に認められた者は聖神の姿がその鏡に姿を現し、願いを聞き届ける。


現在は発見された国、イミリスが所持している。この国は世界で一番の先進国で自動車や鉄砲などを作り出す技術を持ち、今大和が取り入れている擬洋風建築の元となった場所だ。



===============



僕は一つ目を見た時一喜一憂した。

そんなものがあるのか。遺体を燃やさなければ、きっと父親は生き返った筈だ。浅い知識しか持たない自分に沸々と怨みが募る。



だが、三つ目の神器にも興味があった。


どんな願いでも、叶える…。

もしかしたら二人の願いも同時に叶うかも知れない。あわよくばお父さんの蘇生も夢じゃない。

だが神器ということはかなり厳重な警備で守られているだろう。異国の子供なんかには使わせてくれないのは誰でもわかる。

それに神器だから、願いを聞いてくれるかすら怪しい。



「他に質問はあるか?」

気になることはそれなりに資料と先生が説明をしてくれたので、声を上げる者はいなかった。

「では次に殊具の出生について語る」



その後、先生は殊具の出生と発見された地についての説明をしてくれた。


殊具の誕生には統一性がなく長い年月を経てなった物や、人の強い想いによりなった物など様々あるが、意図的に殊具を創り出す方法は発見されていない。

しかしそのどれもが古代にできた物ばかりで、発見されている中で一番最近で作られた殊具でも千年以上前であった。


この理由として現代よりも妖や化け物の類が多かったことや、医療や法などの設備が整えられておらず血生臭い時代だったこともあり、人が神様や仏を信仰する宗教心や、世の中に対する憤りが強かったことが起因している可能性があるようだ。



発見された地も様々ではあったが、神器に関しては一つだけ統一したものがある。

それは、特定の条件を満たさない限りたどり着けないことと、必ず殊具を守る番人がいることだ。

番人の殆どは妖か化け物であり、そのどれもが天変地異と思える程の規格外れの能力を有している。なんでも一国の総戦力をかけても悠々と相手取れる強者らしい。

入手方法は番人を倒す、或いは認められる事で入手できる。



「よし、殊具に関しては以上だ」

やっと終わったぁ。

本当はもっと話が長くて、2時間くらい授業をぶっ続けで行っていた為、疲れが溜まっている。

やっと休憩か。



「では今から5分休憩後に、理科の授業を行う」

「!?」

「どうした葉っぱ?」

「い、いえ…」

終わりではなく、始まりに過ぎなかった。

疲れたところに理科とは、なんときつい。

周りを見ると既に机に突っ伏して寝る者、椅子にもたれ天井のシミを虚に数え出す者、愚痴を言い合う者など様々であった。


「あと、お前にはこれを渡しておく」

渡された何枚もの用紙には、新しく使われている単位や言葉の意味などが丁寧に書かれていた。

僕のためにわざわざ用意してくれたのだろう。



「ありがとうございます、先生」

「うむ。もしそれでも分からないものがあったら聞きに来い」

僕は少し元気のない返事をしたが、咎める事なく教卓へ戻って行った。

特にやることもないので配られた用紙をしばらく見つめる。



「そろそろ五分だ。体を起こせガキども」

ノソノソと体をゆっくり起こし、授業は備える同期達。

僕は声に気づかなかったが、皆んなが身体を起こすのを目の端で捉えたおかげで気づけた。


声に気づかなかった理由はある単語に目が入ったから。

それは、故郷から出て初めて教わったものだった。


(この用紙と龍崎さん、どっちの意味が正しいんだ?)



…………………  

……………

………



「質問がある奴はいるか?」


気がつくと夕焼けとなっていた。

それに気づいたのは僕も含めた全員が虚な目をしているときだった。



理科の講義自体は興味深いものがたくさんあった。

中でもとある分野に目が留まった。


それは光に変換できるえねるぎー、光から変換できるえねるぎーの種類であった。

運動によって生まれる光、電気によって生まれる光と様々な用途があることに何故だか嬉しかった。


「では本日の講義は終わりだ」

やっと終わった。ふぅー、流石に疲れたぞ。

これをほぼ毎日か。うん、きつい。


長い間座りっぱなしで授業を聞くというのも、中々身体に負担がかかるものだ。

背中、足、腕などさまざまな部位を伸ばす。

ポキポキと音が鳴ると同時に、体の妙なコリが軽減していく気がする。



「では全員」

ん?流れ変わったな。

終わりな雰囲気だった所に先生が緊張を含んだ声で呼ぶ。

他の人も、腕を伸ばしたりくつろいでいた体勢で止まり先生を見つめる。



まさかな。そんなまさか、ね?アハハ!

僕らは顔を見せ合い、笑い合う。どうやら想像しているのは、同じ内容のようだ。

そんな地獄みたいなことあるわけが



「きた道を戻って元の校舎に戻ろうか?」


はい、ここは地獄でした。

しっかり告げられた悪魔の言葉。そこにはにっこり笑う、顔が四角い悪魔がいた。

笑っているが全然可愛くない。

むしろ不気味だ。



まぁ薄々気づいてたけど。

けどここに来る意味は何だったんだろう?

あそこまで苦労したから、特別なことがあるかと思いきや何も無しとは、少しがっかりだった。



「わざわざ苦労してここまで来たのに何もなしなの?」

同期で声を上げた者がいた。

その人は確か甲坂君の前の席にいた、物辺拓己という人だった。ちなみに僕は彼の斜め左後ろの席で窓際である。



「なんだ?文句があるのか?」

先生はムッとした表情で物辺さんを睨む。

「いくら何でもきちいよぉ。俺らご飯食べれてないのにさぁ。育ち盛りにはしんどいよぉ〜」

昼ごはんを食べれなかった人達が何度も頷く。


「む?今回は遅くても飯抜きにはならんぞ?」

「そうじゃなくてさ!きついんだよ純粋に!戻るのが!」


「そうだそうだ!」「休ませろ!」「担いでいけ!」


教室中から不満の声が上がり、やがて休み、休みという掛け声になった。

最初の夜から感じていたけど、この人たちの団結力時々凄いな。


厳しそうな先生は少し考え込んだ。

彼らの言い分も理解しているようで、うんうんと頷いている。僕のこともあったので、やり過ぎたと感じたのかもしれない。


先生は少しの間を置いた後、天啓を得たりといった動作で顔を上げる。



「ではこう言うのはどうだ?」

『ん?(流れ変わったな)』


ニヤリと笑う先生(悪魔)

それを見て絶対まともな事は言わないと、ここにいる全員が察知する。



「ここいる全員でわしにかかって来い。誰か一人でもまともな一発を食らわせられたらお前らに明後日休みをやろう。どうだ?夢の三連休だ」

『まじか!』

提示された内容は意外にも天国だった!


「但し!制限時間は3時間。能力も使用して良いが、制限時間内に一発も食らわせられなかった場合、今度から今回の訓練内容をほぼ毎日行う。それと今週の土曜日の休みは無し。つまり今週休みは1日しかない」

『え"』

前言撤回。提示された内容は地獄そのものだった。



「さあ、どうする?」

ニヤニヤとこちらを見てくる先生。

皆んなの様子を伺うと、意外にもすぐに答えがまとまったようで笑い合っていた。


『やる!』


全員の答えを聞き、先生はさらに口角を上げ、声を張る。

「ならば全員、表へ出ろ!」





………

……




外に出た僕らは先生を取り囲むように並んだ。

みんなの目がギラギラと輝いている。まるで獲物を追い詰めた獣のようだ。

全員揃ったのを指で確認した先生は「よし」と呟く。

少しだけ緊張が走る。


「では今から3時間、ワシに一発当ててみろ」


今か今かと開始の合図を待つ皆んな。気持ちが逸っているのかジリ、ジリと地面を擦る音が聞こえる。



「では開始!」

ビュン


開始の合図と同時に皆んながそれぞれの能力を使い、攻撃を仕掛けた。近接型の能力者は一瞬で近づき、遠距離型の能力者はそれぞれの飛び道具を使う。

僕はまず先生の動きを見る為に咄嗟には動かなかった。しかし、全方位からの一斉攻撃。


逃げ場はないと誰もが思い、勝利を確信しただろう。

しかし、



「破ぁっ!」

「ぐぇ!」

その掛け声と同時に先生が一直線に進み、一人の生徒をいなしてその場を突き抜ける。


『え!?いだだだだだ!!』

勝ちを確信し油断していた生徒はその行動に驚き、そのままぶつかり合い、逆に遠距離からの攻撃を受ける。



それを予想していたであろう何人かの近接型の生徒は直ぐに進行方向を変えて、再度接近していく。

そこには甲坂君とひかり、冬村さんの姿があった。


考えの切り替えと再度近づくための動作が恐ろしく早く、滑らかだったので、僕は見惚れてしまった。


先生は予期していたのか直ぐに彼らに向き合い、繰り出され続ける攻撃全てを避け、弾いていく。

凄まじい乱撃であるはずなのに当たらないのは、実践経験の差だけではなく、長い付き合いで培われてしまった三人の癖や思考が読まれているからだと感じた。



他の人達もすぐさま立て直し、三人に合流。先生は再度囲まれる形となった。


なんて凄い人達なんだ。

これが僕の同世代。とても信じられない。

僕はこれからこんな人達と肩を並べていかなくちゃならないのか。当たり前だけど、現状じゃ格が違う。



「ふむ、もう終わりか?」

先生は顎髭を整えながらも目線は外さない。

その姿はまだまだ余裕が伺える。皆んなは午前の訓練でかなり疲れているのか、苛ついた表情を浮かべるが直ぐには攻撃を行えず、肩でしている息を整えながら睨むことしかできないようだ。


「ぐ、舐めんなぁ!」

そう言って飛び出したのは甲坂君だった。

『うおおおおお!!』

みんなもそれぞれの能力を使って、彼の後に続く。


僕はというと小石を持ってある事を試しながら、そのまま先生の動きを観察し続けた。



………

……




「もう、無理…」

そう言って美遊さんが座り込む。

周りにも似たような生徒がいる。まさに死屍累々。

立っている生徒は甲坂君とひかり、冬村さんの三人だけだった。この三人は特に体力が多い様だ。


先生はまだまだ余裕そうだが、長い時間大人数と対峙していた為か流石に少しだけ息を荒くしている。



しかし流石珠人の訓練学校の先生、超人的な体力の持ち主だ。

この人が抜擢された理由がよく分かる。



僕は三人に近寄る。

「ハァ、ハァ、春人、君?」

「どうした、花宇田、ハァ」

「邪魔、するなら、どきなさい」

全員既に体力の限界で、足元が定まっていない。肩で息をしており、膝に手をついている。



「残り15分だ。流石に諦めるか?」

先生は僕らを囃し立てる。


「野郎…」

甲坂君がそれに反応してゆっくりと前へ出る。

僕は止める為にすぐに彼の腕を掴む。

彼は疲れた表情でこちらに振り向く。

「待って甲坂君」

「まあ、見てろ、直ぐに当ててやるからよ、ハァ」



「思いついたんだ。一発当てる方法が」

「「「!!」」」

三人はびっくりした表情でこちらを見る。


「本当か!」

「うん、その為には三人の力が必要なんだ。ひかり、冬村さん。二人の能力って一度に沢山出せる?」

「う、うん。今の状態だと一回だけなら何とか…」

「同じく」


「よかった。甲坂君はまだ動けそう?」

「へ、余裕だぜ」

息を荒くしながら、彼は笑って答えてくれた。

「この作戦の肝は君なんだ。まだ使ってない技ってある?」

「あるにはあるが、慣れてないし、多分直ぐに切れちまう」

「ううん、それでもいいんだ。使ってほしい」

「あいよ」

よし、前提条件は何とかなった。


「三人とも、よく聞いてくれ」

僕は三人に一発ぶち込む為の作戦を話し出した。



話し終えた瞬間、さまざまな懸念点が僕の頭に浮かんできた。

「以上だけど、大丈夫?」

納得できる作戦だったか急に不安になり、皆んなの様子を伺い確認を取る。

「ああいいぜ!」

「私も!」

「異議なし」

ほっ、よかった。

ならあとは行動に移すのみだ。



話終わった僕らは先生へと向き合う。

先生はニヤリと笑って口を開く。

「話し終わったか?小僧共」

この時先生は初めて、僕らが動くより先に足幅を大きく取った。



「この方法は外したら二度と通用しない一発勝負だ。皆んな、抜かりなく」

「おう、どっちにしろ時間がねぇんだ。思う存分やってやる!」

「冬村さん、ガツンと行こうね!」

「勿論よ」



各々の構えを身に写し、

正真正銘最後の攻撃に出る体制を整える。





「じゃあ、締まっていこう」


この言葉を皮切りに、僕らは一斉に動き出した。


地獄の訓練確定まで残り10分。

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