表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/16

Side story

評価がどんどん増えてとても嬉しいです!ブックマークも50件突破しました!本当にありがとうございます!

これからも面白い話を投稿するので応援よろしくお願いします!

最近投稿が夜遅くてすみません…。早くできるように努力します!

     Side 黒瀬葵

私が彼を気になり始めたのは、小学3年生の冬の頃だった。

私はいつも周りの人間に天才と言われ、正直うんざりしている。

周りはできていること、終わった結果しか見ていない。

私が裏で頑張っていることを知っている人は誰もいないし、知って欲しいとは思わない。

ただ、自分が頑張ってやっていることを『天才だ!』と言われてそれで片付けられるのはあまりいい気分ではない。

いつだってそうだった。ピアノの演奏も水泳も何をしても人はできる人を努力している人とは認識しない。

そんな考えはうんざりだった。だから男子から告白をされても本当に好きなのかと疑いたくなってしまう。

私を一人の人としてみてくれている人が果たしているのか。今の段階ではしている人はいないだろう。

すると意外な言葉が教室から聞こえてきた。


「やっぱり黒瀬さんはすごいよな!」

「お前なぁ、どんなすごい人間だって影で努力してるんだぞ!『はじめの◯歩』読んだことないのか?」

「読んだけどさぁ。」

「な?みんな馬鹿みたいに天才なんて言ってるけど、もともとできる人がいるわけないだろ。馬は三日で歩けるようになると言われてるがそれでも三日間頑張り続けて立ってるんだ。みんな知らないのに言うもんじゃないぞ」

「だな」


意外だった。言ってた漫画は読んだことないけど知っている。プロボクサーの話だ。

私はすごくこの人に興味が湧いた。

次の日、友達に彼の話を聞いた。


「ねぇ、彼ってどんな人なの?」

「え?うーん。あんまり話したことないからわかんないなぁ。いっつも翔太くんと話してるのはみてるけどあんまパッとしないしねぇ」

「だよねぇ。」


みんなあんまり知らないのかぁ。

・・・・・。自分で調べてみようかな。


調べれば調べるほど彼は変わっている人だった。

カレーに入っているチキンは苦手なのに焼き鳥は好きだとか、マグロの刺身は好きなのにツナは嫌いとか。

でも彼を調べれば調べるほど、彼の優しさが伝わってくる。

自分はガタイがいいわけでもないのにおばあちゃんを助けたり、動物に寄り添って話しかけたりしていた。動物に触れている彼はみていると心が落ち着く。


体育の授業、今日は体育館が使えなくなって外の男子のサッカーの応援になった。

すると揉めている男子が見えた。


「おい翔太!お前がボールいっぱい持ってるからみんなできないだろ!」

「じゃあ少しは動いてくれよ!みんな喋ってて真面目にやってないじゃないか!」

「何そんなムキになんなよ。たかが体育だぞ。」


何言ってるのあの男子たち。真面目にやっている翔太くんが正しいのにみんななぜ群がっている方の味方をしているの?

普通に考えればどっちが正しいか分かるはずなのに。怒りがこみ上げてきた。

すると一人の男子が声をあげた。秋人くんだ。


「おい、お前らかっこ悪いぞ。何がしたいんだ。真面目にやるのは当たり前だろ。」

「何言ってんだお前。急に出しゃばってくるなよ!」

「そんなに言うなら勝負するか?」

「いいぞ。翔太、ボッコボコにしてやろうぜ。」

「あ、あぁ。そうだな!」


それからは意外な展開だった。翔太くんは運動神経がいいのは知っていたが秋人くんも良かったなんて。

運動量の多い仕事は翔太くんは任せて、自分はカバー、敵を引きつけて翔太くんにシュートを打たせやすいようにしている。

結果は3−1で秋人くんたちの勝ちだった。まさか二人で8人相手に勝っちゃうなんて。


「やったな翔!」

「おお!ありがとな秋人!」

「気にすんなって!」

そう言って翔太くんに微笑んでいる彼の笑顔はとても魅力的だった。普段は髪が被って見えないが、汗をかいて髪を上げている今だからわかる。また彼の一面に気づけた。

そうやって私はどんどん彼に取り込まれていった。

あの笑顔は普通の人にはできない。そう感じていた。この時私は初めて彼に対してドキドキした。


それからというもの何かあっては彼を見つめていた。

授業中、登下校中、誰かと話していても彼が視界に入ると目が離せなくなっていた。

でも彼は決して目立とうとせず、群れずにいる。

そういうところが人と変わっているのかもしれない。だけど・・・


この恋は本物だ。周りにある偽物とは違う。本物をこの人は持っている。


私は彼が好きだ。彼の笑った顔も居眠りしている顔も怒った顔も全ての彼の顔が彼の喜怒哀楽が可愛らしく愛おしい。そう感じていた。


小学校の卒業式、私は彼に何回も話しかけようとしたがダメだった。勇気が出ない。これからは毎日会えない。

次いつ会えるかもわからない。だから話しかけなきゃいけないのに。そう思って俯いていると誰かが目の前に立っているのが見えた。

ふと見上げるとそこには、彼が立っていた。私が何度も話しかけようとしていた彼が。話さなきゃ!

そう思って声をかけた。

「あの!」


被ってしまった。恥ずかしくて何も考えられなくなり、彼にいった。


「先にどうぞ…」


すると彼は


「ぼ、僕はずっと黒瀬さんと話したいと思っていました!よ、良かったら連絡先交換しませんか!」


嬉しかった。私が考えていることが見透かされているような気がした。

携帯を持っている彼の手が震えていた。彼も勇気を出して話しかけてくれたことがわかり、余計嬉しくなって

気づいたら涙が出ていた。

すると彼は


「そ、そんなに嫌だったですか!?す、すみませんでした!」


そういって彼は立ち去ろうとした。今、彼が作ってくれたこの時間を無駄にしたくない!

そう思って私は


「私も!ずっと話したいと思ってました…///」

「じゃ、じゃあ!」

「うん。交換、しよ?」


これが私と彼が話した最初の会話だった。


高校の入学式。私が新入生挨拶をしていると彼を見つけた。彼は変わらず目は見えないけどそれでもやっと会えた。

胸の高鳴りが止まらなかった。

壇上を降りるとき、彼と目があった。ほんの一瞬だったのにとても長い時間に感じた。



これからもっと彼と思い出を作っていきたい!私は入学式の夜、そう思いながらコンビニからの帰り道を歩いていた。


すると前から声が聞こえた。


「く、黒瀬さん?」


「え、あ、秋人…くん?」


止まっていた歯車が動き始めた瞬間だった。


Side storyいかがでしたか?次は本編に戻ります!

これからもタイミングの良さそうな場所でSide storyを上げていきます!

キャラの魅力が伝わる小説を書けるように頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ