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Side story

やはり女の子の心情を書くのは難しい…。

ご報告です!

今週から学祭が始まります。なので投稿頻度がまた少し落ちてしまうかもしれませんがご了承下さい。

出来るだけ書いて投稿します!

side 菜穂


私が彼と出会ったのはモデルという職業をしている時だった。

初めはかっこいいなって思ったけど、普段の彼はとても地味だった。正直いってギャップがいいってレベルじゃない。真逆すぎて別人って言われた方がしっくりくるぐらいだった。

でも、地味な彼もモデルの彼もすごく魅力的だった。

自分よりもまず周りの事を考えていて、知れば知るほどすごく惹かれていった。


だから私は彼と同じ高校へ行きたいと思った。

もっと彼を知りたい。

もっと一緒にいたい。

もっとそばにいたい。

いつの間にか私の日常に彼は住み着いていた。


初めて彼の高校に行った。

その日は入学式だった。

高校で、彼はどんな感じなのだろうと思っていた。

向こうから彼が歩いて来るのが見えた。

その彼は地味な方の彼だった。

私はその時悟った。

彼はモデルをしていることを何らかの事情で隠している。

私は隠す必要も無いと思い、普段からそのままの状態だった。

私は彼に声をかけた。

声をかけると彼は顔を赤くしてすごく焦っていた。

なんて可愛らしいんだろう。

あの場にいた人の中でそう感じたのはおそらく私だけだった。


彼との帰り道、初めて制服であって、一緒に帰った。

初めての下校はなんだか心が暖かかった。

きっとこれは彼に恋をしているからだろうと私は気づいた。


それから彼と日常を過ごしていくと彼がどのくらい良い人なのか再確認出来た。

決してバカにされても不当な評価を受けようとも彼は動じなかった。

その強さが私は欲しいと思った。


ある日、彼の友人と出会った。

2人の女の子でとても美人だった。

タイプは違うけれど甲乙付け難いくらいの美女だった。

彼女達と私はきっとライバルになるだろうと一目見て確信した。

目を見たら分かる。彼女達がどのくらい彼のことを好きなのかを。

だから、私も負けたくないと思った。


抜けがけしようと私は彼を遊びに誘った。

テストが近いのに遊びの約束を彼女達がするわけが無いと思ったからだ。

自慢ではないが私は勉強ができる方であると自負している。あわよくば彼に勉強を教えられたら完璧だと思った。


すると、なぜかトリプルブッキング…

しかもよりによって恋敵の彼女達と。

せこい考えをするなと思ったけど、私も同じことを考えていたからその考え方はやめて大人しく4人で勉強することに決めた。


当日、私たちは彼の家で勉強をした。

初めて入る彼の家は新鮮ですごくいい匂いがした。

先に黒瀬さんが入っていたけど、彼女はあまりがっつくタイプではないから平気だろう…。


勉強をしていたら誰が彼に教えるか、そして教えてもらうかで論争になった。

すごくくだらないことだけどすごく楽しかった。

彼の周りは暖かい人でいっぱいだと思った。

1時間交代なんてルールを決めて勉強をしたのは今回が初めてだった。


私は帰り道、決心した。

彼は彼なりに色々なことに気を配り、でも自分は曲げずにいる。

私も現実から逃げず、ちゃんと向き合おう。

そう誓った。

だから、休み明けの日、彼を私の記者会見に呼んだ。

彼にはどこに行くとも言わずに…。

彼は何をするか言ったらきっと来なかったに違いない。

でも私が私なりに1歩を踏み出す瞬間を彼と迎えたかった。

だから、私は生まれて初めて好きな男の子に嘘をついた。


そして記者会見が始まった。

最初は世間の人が最も質問したいであろう質問を自分なりに考え、先に述べた。

緊張しすぎで心臓が口から出るんじゃないかと心配になるくらいに緊張した。


そして質疑応答の時間。


とある記者が私に対してこう質問した。

「あなたがモデルを辞める理由は本当に勉学だけなのか」と。


正直、勉学だけではない。もちろん彼との時間も作りたかったし、何より何事も中途半端にしたくなかった。

私はだれにも負けないと思っていた勉学でライバルの女の子に負けた。

それがとてもとても悔しくて、私は勉強に集中しようと思った。

だから、記者が言っていた事はあながち外れてはいない。

私は私の好きな人のために勉強を頑張りたいのだ。

だから答えに詰まってしまった。


すると記者の方は「好きな人がいるのではないか。ファンの気持ちを弄んでいるのではないか」と質問された。


私はケジメをしっかりとつけているつもりだった。

仕事の時はファンの方にどうすれば喜んで貰えるかいっぱいポーズやファッションを勉強して頑張った。

でも、そういう風には見られていなかった。

所詮は男のためにやめるのだと、ファンの気持ちを踏みにじっている。 そう言われて涙が出た。

そんなつもりはなかったがそういうふうに思われていたのがすごく悔しくて、悲しかった。

結局私は、あれもこれもと様々な事を行っていく内に、全てが中途半端に終わってしまっているのだと感じた。

もう、こんなことなら踏み出すんじゃなかった。

このまま今まで通りにしていけば良かったのだ。

そう考えていた時だった。


「発言いいですか」

彼の声が聞こえた。

真っ暗な視界の中、一筋の光がさした。

そして彼は私のことを語ってくれた。

どれだけ真面目にやってきたか。どれだけ本気だったか。それを彼自身が一番よく知っていると。


あぁ。こんな幸せなことは無い。自分が彼のために頑張っている姿を彼はちゃんと見ていてくれた。

それだけで嬉しくてしょうがなかった。


結局会見はマネージャーが上手く締めてくれて無事終わることが出来た。


会見が終わり、一人立っている彼に私は抱きついた。

もうこの感情を抑えることが出来なかった。


「なぜ私のためにそこまでするのか」と尋ねると彼はこう答えた。


「菜穂…僕は自分のしたいことをしたんだ。それに数百のネットで悪口を書く人より目の前の大切な人1人を取るよ。それに…僕は菜穂がどれだけ頑張ってきたか知ってるから」


私は多分彼に認めて欲しかったんだと思う。

彼の周りには輝く人が沢山いて私は霞んでしまう。

一緒に居て迷惑ではないか。

そんなことばかり考えてしまう。

だけど彼の一言で私は救われた。

彼の大切な人の中に入れていた事が何よりも嬉しく、そして涙が止まらなかった。

私は彼の腕の中で泣いた。

そして誓った。

これからどんなことが起きて彼がどんなに嫌われようと私は絶対に彼から離れない。もう離れたくない。


帰り道。私は彼への愛情を誓ったせいか、彼の顔が見れなかった。

恥ずかしかったからだ。

あんなに消極的な彼が私のためにあそこまで体を張ってくれたことが嬉しかった。

秋人…

私は秋人が好き。

かっこいい秋人も、地味な秋人も、勉強してる秋人も運動している秋人も、優しくしてくれる秋人も、隣で歩いている時の秋人も…

全部全部大好き……。


すると自然に私は彼を引き留めて、その思いをぶつけた。

そう、私は彼とキスをした。

私の中で止まっていた歯車が動き出した。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

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