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行動と会見

ブクマと評価をお願いします!

やる気につながります!笑

今日僕は珍しく早く起きた。

と言うより寝れなかった。

昨日の葵とのデートが頭から離れずにいたからだ。

まさか名字から名前で呼べるようになるとは思ってなかったから色んな意味で大成功だった。

葵のいい所がもっと知れていい休日になった。


学校への登校中にこんなにも清々しく行けたのは生まれて初めてなんじゃないかってくらいに気分が良かった。


いつも通り授業を受けていたらあっという間に昼休みになった。

最近の日課は屋上で昼ごはんを食べることだった。

屋上はしっかりと整備されているが、昼休みがすごく長いわけじゃないから皆移動するのがめんどくさいのか、屋上で食べる人は少ない。

絶好のスポットだ。


「テストも終わったし、バイトもまだ入ってないし。暇だなぁ…。」


趣味が全然ない僕にとって暇は1番嬉しいが1番苦痛だった。

かと言って周りに相談すれば学生なんだから勉強をしろと言われる。

学生の本分が勉強なのは分かるが強制されるとやる気が失せてしまう。部活動なんかがいい例だと思う。


そんなことを考えていると屋上の扉の開く音がした。


あれ…

普段人が入ってくることなかったんだけどな…


「ここにいたんだね!秋人くん!」


「え!?黒瀬さん!?」


なんでここにいるんだ…?

友達も多いはずなのに…


「あ〜!また名字呼びになってる!」


「あっ…ごめん…。それより、どうしてここにいるの?」


「実は…これ…」


「これって……」


「うん…同級生にあまり作ったことないから上手くできてるか分からないけど…」


渡されたのはお弁当だった。

デートの時も作ってきてくれたあのお弁当が学校でも食べられるとは思わなかった。


「日曜日のお弁当がまた食べられるとは思わなかったよ!ほんとにいいの?」


「うん!私もあんなに褒めてもらえると作りがいあるし…やっぱり胃袋を掴むのは大事って言うし……」


「胃袋がなに?」


「な…なんでもない!」


僕は葵の作ってくれたお弁当を食べ終わり、教室へもどった。

最近はいいことばかりだった。

テストも良かったし、週末も楽しかったし、好きな子に学校でお弁当が貰えるなんて…。


授業が終わると菜穂が僕のところに来た。


「ねぇ、今日付き合って…」


「え?」


「だから!デートって言ってたヤツ!あれ今日行こうって…」


「あ!うん!全然いいよ!それよりどこに行くの?」


「いいから着いてきて!」


そう言われ、腕を引っ張られて連れてこられた場所はいつも撮影したりするスタジオの近くの場所だった。

すると菜穂は真剣な顔をして僕の方を見た。


「ちゃんと見ててね…」


「え?」


そう言うと彼女は関係者以外立ち入り禁止の扉を開けて大きな部屋へと入っていった。


10分後、僕はその扉の中へ招かれた。

入ってみると、新聞記者や雑誌記者、報道関係の人間もいた。

会場はざわついていた。

すると奥の扉からドアの開く音がした。

菜穂だった。

前へ出て、菜穂は衝撃の発言を口にした。


「私、海音(あまね)は本日をもってモデル活動、芸能活動のお仕事を引き受けず、引退することをここに宣言します!」


かなり会場がざわついた。

今、いきなりの有名雑誌のトップモデルが突然の引退を宣言したのだから。

これからもっと売れるぞと言う大事な時期だったからだ。

後に聞いた事だが、映画の話なども来ていたらしい。


すると記者はなぜ辞めるのかと言う理由が気になるところだ。

するとその部分も菜穂は説明した。


「私は今、高校生です。将来の事を考えると大学に向け、高校生の勉強というのをしっかりと受けたいと思いました。突然引退という形を取ってしまってすみません。マネージャーを始め、スタイリストさんや撮影スタッフの方々には本当にお世話になりました。今この場をお借りしてお礼を言わせて下さい。本当にありがとうございました!」


しっかりとした話し方で真剣な彼女の顔を見て、誰もが納得すると僕は思った。

しかし世の中、人間全てが心の清い人だけではない。

当然その理由では納得しない人もいる。

すると1人の記者が菜穂に向かって、質問をした。


「確かに学問も非常に大切だと思います。しかし、理由は本当にそれだけでしょうか?モデルの活動は毎日あるわけではないし、テレビに出るなども丸一日かかる訳では無いからこのまま続けて行くことも可能でしたよね?なのに引退という形を取るということは、他にしたいことがあるのではないですか?」


「それは……」


「勉強は建前で本当は高校に好きな子でも出来た。だから辞めたいのではないですか?モデルで彼氏がいると読者もあまりいい気がしません。アイドルとかと同じですね。特に清純派で売っていた海音さんなら尚更ですよね?」


「私は自分を応援してくださるファンの方を裏切るような行為はしていません。」


声が少し震えていた。

辛く、悲しみを帯びた声だった。

すると記者は最後にこう言い放った。


「辞めるのはあなたの勝手ですが、残されたファンの気持ちも少しは考えた方がいいと思いますよ。自分の考えでしか判断できず、周りを見れないならこの世界に入らない方が良かったかもしれませんね。まぁ、これを機に次からは自分の行動をよく考えることをオススメします。以上です」


我慢の限界だった。

記者は僕の超えてはいけない一線を超えてしまった。

彼女の頑張りや、仕事に対する真面目さは隣で見てきた僕だからよく分かる。

生半可な気持ちではやっていなかった。

それを見たことも知りもしないのにあの発言は許せなかった。

だから僕は、秋人から光輝に変わった。






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