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デートと呼び名

今回の話はデート編です!

皆さんに好評だったヒロイン視点の話も投稿できる等に今少女漫画を読んで勉強しています笑


僕たちは最初に水族館へ向かった。

普段黒瀬さんと会う時は制服姿だけど、私服もやはり可愛かった。

白のワンピースに銀色のネックレスをして、さながらウェディングドレスのようで、黒瀬さんにとても似合っていた。


水族館の中はカップルで賑わっていて、皆が手を繋いで歩いていた。

すると黒瀬さんが僕の手を握ってきた。


「今日は彼氏なんでしょ…?じゃあ、手…繋いで歩こ…?」


可愛かった。上目遣いでこっちを覗き込んでくる黒瀬さんは小動物を見るかのように愛おしかった。

「そうだね。じゃあ手…繋いでいこっか…」


平然を装うのが難しかった。

そうして手を繋ぎながら館内を歩いていると大水槽の前に着いた。


「わぁ〜!すごいね!色んなお魚が泳いでる!」

そう言って水槽を見る彼女の目は輝いていて、横顔を見ていると吸い込まれそうになる。


「ねぇ、秋人くん」


「何?」


「名前……」


「え…?」


「私のことも名前で呼んで欲しい…。他の皆の事は名前で呼ぶのに私だけなんで名字なの…?」


「それは…黒瀬さんの事が…」


「え…?」


やっばい!しまった。つい勢いで言いかけてしまった。どう誤魔化そうか考えていると黒瀬さんは右の人差し指で僕の口を塞いだ。


「ほら…またそうやって呼んでる。葵って呼んでよ…。私だけ仲間外れみたいで辛いよ…」


「ご、ごめん…葵…」


「うん!それがいいな!」

そう言って微笑んだ彼女の笑顔はどんなに辛い状況でも一瞬で吹き飛ばしてしまうくらいに美しく、可愛い笑顔だった。


「じゃあ、行こっか♪」


「そうだね」


気づけば僕も笑顔になっていた。


水族館を出た後、僕達は高台のある方へ行き、ベンチでお弁当を食べた。


「これ、葵の手作り?」


「うん…。普段ずっと作ってるわけじゃないから秋人くんより美味しくないかもしれないけど…」


そう言いつつもお弁当の中身を見ると色とりどりの野菜やお肉が敷き詰めてあった。

綺麗な盛りつけで食欲をそそる匂いがした。


「食べてもいい?」


「う…うん」


僕はだし巻き玉子を食べた。

お弁当は冷めているのにとても温かく、心が温まる味だった。


「とっても美味しいよ!僕じゃこの味は作れないや…。誰かのために一生懸命に作っているのがすごく感じられて…なんか一言じゃ言い表せないくらい美味しいよ!」


「ほんと!?ありがとう!良かった〜美味しくて。

秋人くんのこと考えながら作ったから上手くできた…」


「え?なんて?」


「ううん!なんでもない!それより食べ終わったらどこ行く?」


「うーん。そうだなぁ。近くにあるのはショッピングモールとかだから…」


「あっ!それじゃあ行きたいとこあるんだけどいいかな?男の人の意見が聞きたくて…」


「ん?うん!いいよ!」


男の人の意見ってやっぱり洋服とかかな?

今でも十分オシャレなのに僕の意見なんているのかな…?

そう思いながら僕は葵のお弁当を食べた。


お弁当を食べ終わり、日常の話をしながら葵と僕はショッピングモールへと向かった。

どんな洋服が似合うか街中の人達の服装を葵に当てはめながら考えていた。


「確か女性物の服は3階にあったよね」


「うん!じゃあ、行こっか…」


なんか若干顔が赤いような…気のせいかな?今日は少し暑いし歩き回ったから疲れているのかもしれない。そんなことを考えていると、目的の場所へと到着した。


「え、ここって…」


「うん。悪いんだけど私の水着…どれがいいか選んで欲しくて…」


お、おいマジか。女子の水着を選んだことなんてないし…


「ほんとに僕でいいの?」


「もう!私が秋人くんに選んでって言ったんだからいいの!」


そう言いながら彼女は近くにあった水着を手に取った。


「こ…これなんかどう…?」


黒のビキニを片手に彼女は顔を赤くしながら僕に聞いてきた。


「え!?いや…う〜ん。いいと思うよ?…」


ぶっちゃけすごく似合ってる。白い肌に長い黒髪。すごく調和が取れてて葵ほど似合う人はいないんじゃないかってくらい似合ってる。だけどここで僕がこれがいいよ!なんて食いついたら、変な男だと思われかねないし…何が正解なんだ……。


「じゃあ、これ試着してくるから待ってて!」


「分かった。って、え!?今着るの!?」


「そうじゃなきゃ似合ってるか分からないでしょ!」


そう言って葵はそそくさと試着室へと入っていった。

もうドキドキが止まらない。

見たい気持ちもあるけどそれ以上にすごく恥ずかしかった。


「着替えられたから…出てもいい?」


「う…うん!」


葵だって僕をここに誘うのに勇気を出したはず…。

なら、その気持ちを無駄にしないためにも僕がちゃんと真っ直ぐに見つめてちゃんと選んであげなくちゃ!

そう思って僕は覚悟を決めた。


「どう…かな…?」


そこに立っていた彼女はすごく可愛かった。

照れながらもしっかりとこっちを見つめている彼女は僕の想像を遥かに超えてきた。


「すごくいいと思うよ!葵は元々スタイルもいいし黒髪も相まって水着が葵をよりよく際立出てると思う!

葵も気に入ってるならそれがいいと思うな!」


「秋人くんはこういう水着…好き?」


「え?うん…割と好きかな…」


「じゃあこれにする♪着替えるから少し待ってて!」


思ったより早く終わった。もっと色んな水着を見たかったなんて思っていたのは胸の内に閉まっておこう。


そうして僕達は水着屋を出て駅に向かった。

帰りの電車、僕は不覚にも寝てしまい気づけば自分の最寄りについていた。葵が起こしてくれなかったら終点まで乗ってしまっていた勢いだった。


「ごめん!電車で寝ちゃって…」


「いいよ!全然!今日は楽しかった!」


「僕も!葵の知らない一面が見えた気がする!」


「なんか良くないところ…あった?」


「え?いや!むしろもっと葵を知れて僕は満足だったよ?こんなに可愛い子が僕の学校にホントにいるのが信じられないくらい今日の葵は素敵で可愛かった!」


「あ、ありがと…じゃあ!またね!」

そう言って彼女は下を俯きながら礼を言ってその場を小走りで去っていった。


「じゃあ、帰るか」

こうして僕達の初めての1日デートが幕を閉じた。

その日僕は夜、ドキドキが止まらずに寝付けなかった。




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