三日後
ニャーディから、金貨3枚を恵んでもらい巨大な石壁に囲まれた階層式の大都市から、離れること徒歩5日分の村に廃墟同然の家を借りることができた。
まずは職を探さねばなるまい。
忌み子なので、サービス業は論外、製造業も消費者からのイメージダウンになるということで駄目、駄目なものをどんどん消去していくと下級傭兵という職に付けた。
下級傭兵とは、戦争時には最前線で戦い、待機中は大都市へ害を及ぼす魔獣・魔物たちの討伐か、大都市周辺の警備となる。
給与は一日銀貨1枚、朝夕食事付きなので文句はない。
明日から初出勤だと意気込んでいると、お忍びでニャーディが訪ねてきた。
「助けてください」
「何かあったの?」
「に、妊娠しました。き、禁忌図書で調べたので間違いないです」
「おめでとうっ!」
「えっ!? そ、そうじゃないです。私妊娠しました」
「だから、おめでとう」
「あのですね、普通、猫亜人は妊娠できないのです」
「そりゃ、よけいにおめでとうだね」
「うっ…、ふ、ふざけているのか、意地悪か知りませんが、こんなこと他猫にばれたら、私、いろんな男の子に、犯され続けるのですよ。猫が猫を産めるのだから」
「でも、日常が退屈すぎて、とか言っていたし、よかたじゃないか?」
「モンタ本気で言っているのですか?」
「ははっ、冗談だよ、ごめんなさい」とニャーディを抱きしめる。
「産めると気付かれれば、侯爵以上の爵位を持った者からの要求には決して逆らえません」
怯えるニャーディの頭を撫でる。
「いいかい? 出産まで、恐らく11日かかる。それまで冒険に行くことにして、ここにおいで。そして僕らで出産までやってみよう。猫亜人の価値観だと、産んだ子への愛情も薄いはずだ」
「でも、愛情が薄いのは、人の女性が出産するからで、私の場合は…」
「それは残念だけど、諦めよう。拾ったこととかにするしかない」
「うん、なるべく顔見知りに渡るようにするわ」
「あっ、良いこと思いついた」
紐を取り出し、紐で輪っかを作り、輪っかの中に抱っこしたニャーディと共に入った。