始めてのクエスト
猛毒鉱山茸を受けたのには主に3つの訳がある。
1つは、そもそも鉱山にはクエスト以外では行けないから。
2つめは、鉱山に入り鉱石を持って帰って生活のお金にする為。
3つめは、運が良ければ鉱山蜥蜴を捕獲する為。
こんな感じの理由でクエストを決めた。
★★★
鉱山に着くと旧型だろうかガーディアンロボットRB1と言われるロボットが警備していた。
「ボウケンシャカードマタハショクギョウカードノテイジヲオネガイシマス」
言われたままに冒険者カードを提示した。
RB1は冒険者カードをスキャンすると俺にもスキャンをした。
「ボウケンシャデスモントトカクニンクエストガンバッテクダサイ」
RB1は何年も整備に出されていない手を俺に振ってお見送りをしてくれた。
鉱山の中はトロッコが一台あり乗ろうと思ったが鉱山蜥蜴を捕獲するために乗らなかった。
進んでいると、動く光が見えたのでランタンを向けた。
「大人鉱山蜥蜴見っけ」
と見たら其は鉱山蜥蜴と良く似た鉱山ミニドラゴンだった。
「なんだミニドラか~でも売ったらお金になりそうだから捕獲しておくか」
俺は前もって買っておいた捕獲箱に入れた。
その後も光るのが見えたがどれも違った小動物だった。
★★★
「は~この鉱山に入ってから何時間経ったかな?」
肩をおとしてぐったりしながら進んでいると、またもや動く光が見えた。
どうせ違うんだろと思いながら近づくとお目当ての鉱山蜥蜴だった。
「まじか!鉱山蜥蜴がここに居るって事は猛毒鉱山茸が近くにあるって事だな」
鉱山蜥蜴は猛毒鉱山茸を主食とする小動物なので冒険者内でも猛毒鉱山茸を探す前に鉱山蜥蜴を探せといわれているほど。
ゆっくり近づき捕獲しようと思ったが逃げられてしまった。
「逃げ足だけは速いな~」
俺は、走って鉱山蜥蜴の後を追った。
★★★
「彼処に巣が有るんだな」
俺は手を巣穴に入れ鉱山蜥蜴を探した。
手に、鉱山蜥蜴の尻尾のような感触があり引っこ抜いてみた。
其は背中に鉱石が着いている鉱山蜥蜴だった。
「後は、猛毒鉱山茸を採取して帰ればクエスト完了だな」
辺りを見渡すと鉱山蜥蜴が食べ尽くしてしまったのか猛毒鉱山茸は生えていなかった。
「奥にはモンスターも出てくるから行きたくないんだけどな~」
がっかりしながらも子供の時から使っている剣を持って奥に行った。
★★★
「それにしても、なんで猛毒鉱山茸が出てこないんだ?おかしいだろ」
俺はそう思ってクエストの為だと言い聞かせて俺以外誰もいないであろう鉱山を進んだ。
そうすると奥から戦闘している音が聞こえてきた。
「モンスターが縄張り争いでもしてるのか?」
近づくとその音は次第にモンスターが縄張り争いしてるのではなく人間がモンスターと戦っている音のように聞こえてきた。
「おーい!誰か居るのかー!」
鉱山の中なので反響した。
「助けてくれー」
明らかに若い男性の声が聞こえてきた。
俺は走って行くと周りは炎魔法を使ったのか明るい場所にでた。
見ると男2人女1人の冒険者チームだった。
「其所に居る同業者、手伝ってくれ」
冒険者チームのリーダーらしき男が助けを求めてきた。
どうやら、鉱山に良く居る鉱山大蝙蝠に襲われていた。
「分かった」
そう言い俺は鉱山大蝙蝠に斬りかかったが易々とかわされてしまった。
俺はあることに気付いた、鉱山大蝙蝠は鉱ミニドラゴンの鳴き声が嫌いな事に。
鉱山ミニドラゴンを入れた捕獲箱を開けて鉱山ミニドラゴンを出した。
「ほ~ら、ミニドラちゃん。鳴いてくれ」
鉱山ミニドラゴンが嫌う頭を撫でた。
キィィィィー!!!
バサバサ
鉱山ミニドラゴンの鳴き声を聞いた鉱山大蝙蝠は行きよい良く鉱山の奥に翔んでいった。
先程まで鉱山大蝙蝠と戦っていた冒険者は武器をしまた。
「いやー助かった」
「困ったらお互い様ですよ。其はさておき何であなた方が鉱山に?」
少し間が空き、ローブを纏った魔法使いの女性が来た理由を話し始めた。
「実は私達LEVEL上げの為に来たんです」
「え!?でも鉱山に入るにはガーディアンロボットのスキャンが必要のはず」
冒険者チームは少し笑いリーダーの剣士が答えた。
「こいつの透明化魔法でガーディアンロボットをやり過ごせたんですよ」
剣士はもう1人の盗賊を指した。
「あ~確かに彼処にいたガーディアンロボット整備に出されてなさそうだったからな」
「あ!そうだ冒険者カード交換しませんか?」
剣士は冒険者カードを手に持った。
「冒険者カード交換?」
「もしかしてカード交換知らないんですか?」
俺は首を縦に振った。
剣士は冒険者カード交換について説明し始めた。
「冒険者カード交換とはですね、冒険者同士で仲間を作る事が目的で作られた制度です。内容としては、クエストの情報交換や、クエストを合同で出来る等が出来ます。逆にしていないと出来ないってことです」
「ふ~ん」
俺は冒険者カードを手に持ち剣士に見せた。
「これが、あなたのお名前を...デスモントさんですか」
「はい、そうですね」
剣士は、自分の冒険者カードをいじっていた。
「おっと、俺たちの名前を言うのを忘れてました。私は剣士でフリースといいます」
クロースに続いて魔法使いも自己紹介をした。
「私は、魔法使いでユリスと言います」
「俺は盗賊でガラルて言うぜ」
鉱山内で冒険者カード交換をした俺達は帰路に入っていた。
★★★
「そう言えば、デスモントさんはどうして鉱山にいたんですか?」
「デスモントって呼び捨てで良いですよ、俺は...」
俺は元々のクエストの事を忘れてしまっていた。
「もしかしてデスモントまだクエスト終わってないの?」
「ああ、そうだよフリース」
続いてユリスが嫌そうな顔をして答えた。
「嫌ですよ、鉱山戻るの。」
「それで、クエスト内容は」
「猛毒鉱山茸の採取」
ユリスは落ち着いた顔をした。
「なら大丈夫ですよデスモントさん、猛毒鉱山茸はここに」
ユリスがポーチから猛毒鉱山茸を出した。
「その猛毒鉱山茸貰えませんかね?」
「いいぜ、鉱山大蝙蝠から助けてくれた借もあるしな」
「ありがとう」
そうして、デスモント最初のクエストは色々あったが幕を降ろした。
鉱山ミニドラゴンについて
体長30cmの体で自分より大きい鉱山大蝙蝠を主食とするドラゴン。
背中にルビーやサファイア等の宝石が稀に着いている鉱山ミニドラゴンもいる。
鉱山大蝙蝠想像しただけで気持ち悪そう。