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お嬢様の仰せのままに  作者: ワンサイドマウンテン
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意を決して

どうしてこうなった!?俺は今、一ヵ月前に対敵した狼を強化したようなモンスターヴェアウルフの群れに追い掛け回されている。




名前はカイル・ヴァ―チスといったか。幼馴染である西園寺茜の使者として俺を迎えに来た彼にひとまずついて行くことにした俺は西園寺茜の元に向っていた。

カイル曰くこの山を越えた先にある街に茜がいるとのことだった。

そして、いざ山に入ってみればヴェアウルフの群れと遭遇。一体ならいけるが複数となると無理だ。

逃げ回る俺を庇いながらカイルは次々に押し寄せてくるヴェアウルフ達を全て一刀の元に切り伏せる。

が、逃げ回っているうちにいつの間にかカイルとはぐれてしまい今に至る。

付加魔法って範囲攻撃とかできるのか?すればいいか。

走りながらも足元の石を拾いヴェアウルフの群れに投げつける。

イメージしたのは爆破。当たればその石は爆発し、ヴェアウルフ共をたちまち肉片に変えるだろう。

そしてその石は先頭のヴェアウルフに直撃する。

……が、当たっただけで何も起こらない。

まさかこの世界にはまだ爆破という概念が存在しないために何も起きないというのか!?

怒りを買ったようなのでとりあえずさっきの倍くらいの速さで逃げる。



「助けてくれぇぇぇぇぇ!カイルゥゥぅ!!!」



先程まで彼にお世辞にも良いとはいえない態度を取っておきながら都合がいいとは思うが現状頼れるのは彼だけだ。

といっても呼んだからすぐに来るわけではない。助けに来るまで逃げながら待つとしよう。




感覚的に30分後相変わらず助けを求め叫びながら逃げ続けているがカイルは現れない。

ヴェアウルフを一体倒した。我ながら自身の体力に驚愕している。なにしろずっと叫びながら走っているわけだとっくにバテていてもおかしくない。

そしていつのまにか最悪な状況へ追い込まれていた。

四方八方をヴェアウルフに囲まれている。

必ずしもどうにか出来ない訳ではない別にカイルがいないならいないでもこの場を切り抜けられる可能性はある……がこれは俺が万全の状態の話。

今はほぼ不可能だろう。

なにせ付加魔法には魔力を大量に持ってかれるうえに威力に期待できないという欠点の他にも欠点があった。

それは、自分の周りに何か物がなければ使えない。付加魔法は自分自身には使えないので物が無ければ戦えないのだ。そして俺は今何も持っていない。

百歩譲って着ている服を魔法効果で硬化させてもこの数が相手では何匹かに頭を狙われてお陀仏だ。

この状況でも相手が一体なら倒すことは出来なくても凌ぐことは出来るが今はそうではない。

やはりカイルの助けが必要だ。

緊張状態が続く中、不意に空中を数多の血飛沫が舞った。

目の前にいた何体このヴェアウルフの首から上が無くなっている。

遅れて何かが地面に落ちる生々しい音が響く。

すると、あちこちで同じくヴェアウルフ達の首が飛ぶ。

カイルだ。



「すまない、石野賢治。君の声は聞こえていたがこちらを全滅させるのに手間取った。それに君の声が聞こえている限りは君は無事だろうからねこちらを優先させてもらった。すまない。」


「マンガか!っていうくらいのタイミングのよさだぜ。」


「……マンガ?まぁいいすぐに終わらせる。少し待っていてくれ。」



カイルが低く呟くと同時にその場からカイルの姿が消えて鮮血が一帯に舞う。

ようやくカイルの姿が目に見えると首を無くしたヴェアウルフが次々と鈍い音をたてて崩れ落ちる。

イケメンでここまで強ければ完璧だな……変態でなければ。ただ一つ惜し悔やむ点はそこだろう。



「待たせたね。行こうか。」


「お、おう。」




その後無事山を越えて茜がいるという街が目前に迫っている。

ここまで成り行きでカイルと話していたがある一点を除けば普通にいい奴なのである。

あの西園寺茜の使者ということで多少警戒していたがその心配もなくなってきている……茜は十分に警戒しているが。



その町「リザルト」は非常に活気のある街だった。たくさんの人や物が行きかい商工業が発達していると聞いた。そして、国が滅びた後にいくつか残った大きな街……中でも都市と呼ばれる街らしい。

ちなみに茜はこの街「リザルト」の運営に一枚噛んでいるとか。

以上がカイルの説明だ。



「どこまで行くつもりだよ(あいつ)は。最後には国作って玉座にでも座るんじゃねぇの?」


「お嬢様の最終目標はそこらしい。」


「当たりかよ。」


「そういうお方だ、それに着いたぞ。」



カイルの話ではこの街で2番目に大きい建物らしい。

しかし目の当たりにしてみると本当に2番目かこれ?1番じゃねぇの?と疑いたくなるような大きさだ。

後で聞いた話だが1番大きい建物と大差ないらしい。

そんなところに住んでるとはな。もちろんただ大きいだけではなく外装も立派なものだ。

意を決して中に入り奥の部屋へと案内されるもちろんカイルも一緒だ。

色々あって忘れていたが師匠は助けに来てくれるのだろうか?

カイルはいい奴だがそのご主人様が問題だ頼むぜ師匠異変に気付いてくれ!

などと考えている間にひときわ大きな扉が見えてくる。

カイルがその扉を開けて8年ぶりに幼馴染と顔を合わせる。







賢治はいいとこなしでした。

カイルが持っていきますね。

一応賢治もちゃんと強くなってます。

今後の活躍に期待しましょう。

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