準備完了
「何か策があるってことか。分かった、出来る限りのことはしよう。」
「助かる。」
まずは魔法効果を付加させる対象の準備だ。手持ちはロングソード一本と倒れたフラグムント兵が持っていた槍。あとは石ぐらいか。今回は砂利ではなく投石に使えるくらいの石だ。これをすべて使う。
次に魔力を出来る限り込める。この場合時間が許す限りという意味だ。俺には魔力が尽きるということはないからな。
あとは付加させる魔法効果を……。
「んー、時間を稼いでくれって言ってた割には何もしそうにないなぁ。ただ武器を持って試行錯誤してるだけって感じだ。」
「そうか、お前には分からないのか。あの少年がしようとしていることが。」
「逆になんでわかるの?君も時間を稼いでくれとしか言われてなかったと思うけど?」
「俺には分かるんだよ。」
「へぇ、どうでもいいね。何かをするつもりでもその前に僕が君たちの数を減らしてあいつを斬ればいいわけだからさ。」
「ぐあっ。」
数合剣を交えフラグムント兵は斬られ膝をつく。
「や、焼け、地獄の……残り火。……ヘル・フレイヤ……。」
「しぶといなぁ!」
最後のあがきと魔法を唱えようとする兵士を斬ってまた不気味に微笑む。
戦いの最中だというのにこのときも殺気は放たれていなかった。
「あと九人。それと、理解したよ。彼が何をしようとしているのかが、ね。起死回生を図る魔法を放とうとしているんだね?なるほど、初級魔法すら使えない僕じゃ気付かないわけだ。それに、さっきの兵士の口ぶりからするとかなりなものを放とうとしているようだね。でも、無駄だよ。僕は魔法が使えないからその分対策はしてあるんだ。彼の魔法が僕の対策している範囲を上回らない限りはね。」
「準備は終わった。いつでも撃てるぜ!お前、いま魔法には対策を施しているとか言ったよな?その対策が通じるかどうか分かんねぇぜ?なにせ俺の魔法は少し特別だからな!」
「へぇ、いちいち癇に障るなぁ君は!」




