最初の町で
俺は今回、茜の従者として今度こそフラグムントの街へと向かっていた。
前回と同じくフラグムント領に入るだけならすぐだ。そこからが長い。
前回と違うのはルートだろうか。
前回は道中に町とか見かけなかったけどちらほら見える。
移動手段は茜が馬に乗っていて俺は徒歩。
当然徒歩で馬に追いつけるわけがなく茜が俺に合わせてくれている。……なら馬にの意味あんまりないんじゃないのか?まぁ、歩くよりは格段に楽だろうな。……くそっ。
「今日はここまでね。この町に泊まるわよ。」
「前と違う道だからいまいち分かんねぇんだけどここはどの辺なんだ?」
「全体を10とすればまだ1も進んでないわ。要はまだまだよ。」
「そうか。……なぁ、今さらなんだが町に入ってからなんかこの町おかしくないか?」
「確かに妙に静かね。日は沈んでいるけど日が沈んでからそんなに時間は経ってないし店なんかも稼ぎ時で賑わっていてもいいはずよ。」
「なんか嫌な予感がするぞ。」
「そうね。とりあえずどこか人のいそうな場所に行きましょう。」
「ああ。」
あれから30分色々な建物を訪ねたりしたが何の返事もないし人の気配がしないことがほとんどだった。
たまに人の気配がしても決して出てこようとはしなかった。
「一体どうなってんだよ。」
「ただ事じゃないわね。あの女の領内は全体的に安定してるって聞いてたけど。どういうことかしら。」
「どうするんだ?」
「……仕方ないわね。人の気配がしなかった建物に泊まりましょう。」
「いいのかよそれ?」
「非常時よ。仕方ないって言ったでしょ?」
その時だった。全く人の気配がない町で突然後ろから人の声がしたのは。
「おい、そこにいるのは誰だ?」
「「!?」」
その後ぞろぞろと十数人の武装した集団が現れる。
「フラグムント兵!?」
「貴様ら、ここで何をしている?」
「ちょうどよかったわ。私は西園寺茜。リザルトのトップと言えばわかるかしら?フラグムントにはリンと対談のために来ているの。」
「!?そうでしたか。失礼。」
「聞きたいことがあるのだけれど。この町で一体何が起きているの?」
「それがここしばらく姿を現さなかったモンスターが姿を現しこの状況で……。今日の昼ごろでした。我々がついたのは日が沈む前で町は既に……。」
「本当にモンスターの仕業なの?今日の昼に事が起こったとしたら全く町が荒れてないのは不自然よ?」
確かにそうだ。一度モンスターの襲撃を村で受けたがその時はかなり荒らされていた。モンスターの襲撃があったにしては町が綺麗すぎる。どういう事なんだ?




