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お嬢様の仰せのままに  作者: ワンサイドマウンテン
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出陣を控えて

リザルトの街をメイドを思わせるような服装の女性が大きなある建物へと赤髪をたなびかせ足を急がせている。その後ろにもやや遅れがちだが少し服が汚れている男性が続いている。

やがて二人は目的としていた建物にたどり着き、その大きな扉を勢いよく開けて建物内へと駆け込んでいく。



「君、茜が今どこにいるか分かる?」


「えっ?えーと、お嬢様なら今は自室にいるはずですが。なにかあったのですか?」


「そっか、自室ね。ありがとう。賢治、急いで!」



まったく状況が出来ていない使用人?(まぁ茜の部下だろうが)を後にして茜の部屋へと駆ける。



「茜、いる?入るよ!」



茜の部屋にたどり着きリーネさんが中に声をかけつつ入室。俺も続く。

言われた通り、茜はその部屋にいた。



「いきなり何よリーネ!?……と賢治。予想より早い帰還だけど、帰ってきたってことは頼んだ物はちゃんとカイルに渡せたってことよね?……それより、リーネ。あなたがそんなに血相を変えるなんて何かとんでもないことが起きたの?賢治の方も何か焦っているようだけど。」


「……それがフラグムントが攻めてきたってさっき賢治が急いで帰ってきて伝えてくれて。」


「ッ!?フラグムンとが!?一体何故!賢治、どういうことなの?説明しなさい!」


「俺は茜に言われた通りカイルにあの徽章を届けた。そして無事にフラグムントに入れることになった。で、その時カイルから一緒にフラグムントに入ったらその間剣の修行を見てやるって言われて俺もフラグムントに入った。……そこまではよかった。フラグムントに入って一日が経とうとしていたころに数十人から襲撃を受けた。当然、俺とカイルはそいつらを全滅させたわけだが……。」


「それがフラグムントの刺客だったってわけね。で、自分のところの兵が殺されたってわけで戦争?狂ってるわね。あんたたちは何もしてないんでしょう?」


「ああ、正規の手続きもして入ったわけだし、刺客を差し向けられるようなことはなにもしていない。」


「それで攻めてきた相手の数はどのくらいなの?」


「多分数千人はいるはずだ。今はカイルが食い止めているはずだけど……。」


「リーネ!すぐに兵を集めて!幹部たちにも集まるように言ってくれる?」


「了解!」



その直後、扉が勢いよく開け放たれた。



「お嬢様!大変です!フラグムントの軍勢が領内に!」


「知ってるよ。君、そのことを幹部たちに伝えてくれる?」


「はいっ!」


「それじゃあ私も兵を集めて準備しなきゃね。」



そう言ってリーネさんも部屋を出て行った。



「ていうか今領内に攻めてきたって言ったよな?カイルは領外で戦ってたんだぞ?」


「まさか!?カイルにかぎってそんなことがあるわけないわよ!たった一人に全軍を裂くほど敵も馬鹿ではないわ。」


「そっか。そう、だよな。」




その頃のフラグムント軍(一部)とカイルは変わらずリザルト領からだいたい距離500の地点で戦闘を続けていた。



「うおおおおお!」


「ぐあっ。」


「くっ、また数人やられたぞ!たった一人にここまで……。」


「うろたえるな!陣形を維持しろ!」


「また来たぞ!退れ!」


「どうなっている?まともに戦う気がないのかこいつら……。今までまばらに囲んでいたのが急に陣形を作って囲んだと思えば特に何もせず囲っているだけ。こちらから斬りかかれば逃げる。それの繰り返し、俺のスタミナ切れでも狙っているのか?」


「分隊長、作戦は上手くいっていますね。それに、あのカイル・ヴァ―チスも疲れてくるはず。討ち取ることも考えてみてはいかがでしょう?」


「確かに作戦は上手くいっているが奴を討ち取るのはダメだ。少々疲れた程度では奴には勝てない。ダンケさんならいけるかもしれないがな。だから絶対に奴を討ち取ろうなどと考えるな、足止めすることだけを考えろ。」




そしてリザルトでは最低限の兵力が集まり、出陣のときが迫っていた。



「茜、大体の準備は出来たよ。茜も出るんでしょ?」


「そのつもりよ。それが分かってるからあなたも装備を整えているんでしょ?リーネ。それとあなたにも期待してるわよ、アイラ。」


「はっ、はい!私の手が届く範囲では絶対に助けて見せます!」


「その心意気よ。それじゃあ、私は少し休んでおくわ。すべてが整い次第呼んでくれる?」


「はいはーい。」



「茜、お前も参加するんだってな?愚痴のついでに聞いたぜシアンから。前線に出してくれないってな。」


「シオンが負傷したばかりだからよ。仕方ないでしょ?だからあの子たちにはリザルト(この街)を守ってもらうわ。それに、私が参加することが不服なわけ?」


「いや、別に。」


「そう、そんな下らない話をするなら後にして。今回のことは引っかかることが多いのよ。」


「例えば?」


「一番はお互いに戦争をする理由もメリットも無いってことよ。考えうるかぎりこっちは何もしていないし、正規の手続きをして入ったのに刺客を差し向けてきた。そうまでして無理やり切っ掛けを作る理由なんてフラグムント(向こう)にはないはずよ。そして、それをしてまで起こした戦争で得られる物なんてほとんどない。むしろ、失う物の方が多いわ。まさかとは思うけど訪れた使者がカイル・ヴァ―チスだからって勝手に宣戦布告しに来たって勘違いを起こしたとかじゃないでしょうしね。まぁ、天才的な政治力を持ち、行ったことすべてが自分のひいてはフラグムントにとっていい方に転がるとかいうあの女に限ってそれはないとは思うけど。」


「……すごいんだな、向こうのトップも。そういえば、フラグムントの兵士二人と戦ったけど最初になんか言ってたな。たしか、今すぐ武器を捨て投降しろ悪いようにはしない。っとか、今回俺たちは無駄な殺しはしない。とかって。」


「……それは妙ね。」


「茜、そろそろ……。」


「分かったわ。……あんたのせいであまり休めなかったわ。」



最後に俺に捨て台詞をこぼして茜は表へと出て行った。……俺も行かないとな。




















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