それはおつかいというには難易度が高すぎる
「……え?今なんて?」
「だから、おつかいよ。」
「え?おつかいっておつかい?」
「何わけわからないこと言ってんのよ!内容を言うからさっさと行きなさい!」
「あ、ああわかった。」
「じゃあ、リーネ。」
「はーい。それではおつかいの内容をこれから言うのでちゃんと聞いといて下さいね〜?何をしてもらうかというと、カイルの忘れ物を仕事場に行ってしまったカイルに届けて欲しいのです。いいですかぁ?」
「……忘れ物したのかあいつ。あれ?それ、俺のせいじゃね?さっきカイルが俺のとこに来たんだけど出発する前だったのか、あれ。」
「一概にはあなたのせいとは言い切れないけど、原因の1つかもしれないわね。あなたが原因かどうかは切り離したとしてもあなたに行ってもらうことには変わらないのだけれどね。」
「……なんで?」
「さっきも言ったでしょう?カイルに指導を受けたあなたの実力を見るためでもあるのよ。」
「……おつかい、でか?」
「ただのおつかいだと思って行くと死ぬかもよ?だって届け先はカイルの仕事場だよ?あのとんでもなく強いカイルの仕事場が安全なわけないでしょ?今回は一人で行ってもらうことになるんだから気を引き締めてね〜。」
「というわけよ、早く行きなさい!」
「いやいや、冗談だろ?そんなとこに俺一人で行かせるなんてさ、俺まだ死にたくないんだけど?」
「あっ、そういえば忘れていたわ。肝心のカイルに届ける物を渡すの。」
「いや、そういう話じゃなくてさ、人の話聞いてる?」
「はい、これ。」
「あっおい投げんなよ。」
……なんだこれ?弁護士とか検事がつけてるやつみたいだな。
「知ってるか知らないかはわからないけどカイルは王国が滅びる前の最後の騎士団団長よ。その徽章は騎士団団長のみが持つことを許されるものよ。それがないと今回彼を派遣した意味がないの……。わかったら早くカイルの元へ向かいなさい。カイルは南の『フラグムント』という街の方へ向かってるわ。」
そんな大事なものを投げたのか茜……。だが、それなら一刻も早くカイルにこの徽章を渡さねーと……。カイルが出発してからまだそんなに時間は経っていない。急げば安全なところで会えるかもしれない。それなら普通に徽章渡して50万ゼニー入ってくる。
間に合わせるつもりだが一応、ロングソードとその他の付加魔法に使えそうなものを持ちリザルトを発ち、その南にあるという『フラグムント』を目指した。




