カイルの過去
カイルの指導の一日目が終わり俺はカイルと夕食を食べに街に出ていた。今回はカイルの奢りだ。申し訳なくも思うが貰った金額が少ないのだ。生きて行くためには仕方ないこと。こうやってしばらくは誰かにたかることになりそうだ。
で、着いた場所は酒場だった。カイルのことだしお洒落な店に行くのかと思っていたが普通に酒場だった。店の中もファンタジーでよくあるいかつい野郎どもが酒を飲みながら騒いでいる、そんな風景だ。
そうしてカイルに促されるまま店に入りカウンターについた。
「遠慮はしなくていいぞ?好きなものを頼んでくれ。」
「うーん、こういうとこは初めてだしよくわからんな……。まぁこれでいいか。」
「ヴェアウルフの肉とはな、見かけによらんな。」
「え!?ヴェアウルフってあのモンスターだよな?モンスターの肉とか食うのかよ!?」
「モンスターは基本、殺したあとは食料にできそうなら食べるのが普通だが何か問題でもあるのか?」
「ああ、いや問題はないけど、知らなかったからさ、驚いた。」
ということはなんだ?この世界に来てから食ってきた肉は全部モンスターの肉だったてのか!?
特に異変があったわけじゃないから本当に問題はないんだろうけどなんか嫌だな。
「賢治は酒は飲まなないのか?遠慮しなくていいんだそ?」
「え?酒!?いや俺まだ飲めないんだよ。」
「ヴェアウルフの肉は食べるというのに酒はダメなのか。あの肉は酒とよく合うのだがな。」
酒の肴なんかよくわからないな。
てか、ここ日本じゃないし飲んでも問題ないんじゃね?国が滅んでるんだから最低限のルールくらいはあるだろうが法なんて無いだろうし。
だが、またの機会にするか。
その後頼んだ料理が運ばれてきて色々と話しながらそれを食べた。モンスターの肉といっても気にしなければ普通にうまいんだな。気にするのは俺ぐらいだろうがな。
「このリザルト以外にも大きい街があるんだよな?」
「あるな。それがどうかしたのか?」
「そこも茜が治めてんの?」
「いや、お嬢様が治めているのはここ『リザルト』だけだ。他の街にもお嬢様と同じような存在がいてそれぞれで組織を作っている。」
「仲悪いのか?」
「良くは無いな。オストロミスのことに気づいているのかどうかもわからない。だから協力も得られそうに無い。お嬢様も含めてだが全てが新しく建国しその王の座につこうとしている。今のところ表だった衝突は起きていないがいつ起きてもおかしくは無い。」
「敵は師匠だけじゃないってのかよ。」
「そうなるな。」
カイルはちびちびと酒を飲みながら説明した。その後しばらくの沈黙が訪れ、あるのは周りの騒がしい声や音だけだった。
「そういえばカイルってバケモノみたいに強いけど茜の下につくまでは何やってたんだ?」
「……滅びる前の王国の騎士団の団長をやっていた。」
「え?騎士団団長!?……カイル今何歳だっけ?」
「24だ。」
「じゃあ王国が滅んだのって割と最近だったりする?」
「そうだな、6年前だ。」
「じゃあ18歳で団長やってたの?」
「いや、団長になったのは14の時だ。先代団長が戦死してな……。12の時から騎士団にいたがまさか2年で団長になるとは思わなかったよ。神童などと言われていたが情けない。王国の滅亡を防ぐことが出来なかったのだからな。……それより、気になるのは賢治がなぜ王国がいつ滅んだのかを知らないことだ。賢治は今17だろう?当然知っていてもいいはずだ?気になっていたんだお嬢様もそうだが珍しい名前。髪の色もだ。そこまで真っ黒な髪は見たことが無い。出自も謎だかそのあたりを聞かせて欲しい。別に疑っているわけじゃ無い。それならとっくに俺が始末している。」
「……故郷は茜と同じ日本って場所だ。茜とは幼馴染になるな。極東って言われるくらいここからすごく離れていら場所にある。とある事情でここに来たんだ。俺も茜もな。」
「いまいち頭がついていかないな。想像もしていない回答が返ってきてな。俺にはよくわからないが遠く離れた場所から来たのか。」
「……。」
「……。」
二人の間に再び沈黙が訪れる。
先にその沈黙を破ったのはカイルだった。
「……帰るか。お互いのことについて知ることが出来たわけだし十分だろう?」
「そうだな!じゃあ会計頼むぜ?」
「毎回奢ってやるわけじゃないからな?」




