修行開始
「準備はできたのか?」
「問題ない、ロングソード以外になかったしな。」
カイルに言われた通り部屋からロングソードを持ち出し、再びカイルの元に戻ってきたのだ。
「当然だが、ここで始めるわけにもいかない。中庭でやろう。こっちだ。」
俺は無言でカイルの後をついて行く。正直この建物が広すぎて俺一人では絶対に迷う自信がある。すでにわからなくなっているしな。
「着いたぞ。」
そして全くわからないまま、いつの間にかその中庭に到着していた。中庭というのだからこの建物の中央辺りに位置するのだろう。てか、広いなここも。
「で、具体的にはなにをするんだ?」
「構えろ、賢治。まずは素の実力を見させて貰う。」
「え?」
「思い切り斬りかかってきてくれて構わない。安心しろ、俺の得物は鞘だ。」
「わかった。ただ、その前にステイタスを確認させてくれないか?」
「構わない、自身の実力を把握しておくことは重要だ。」
石野賢治:レベル22
スキル:インフィニティ
最初に指定したものを文字通り無限にする。
対象:魔力
力 109 耐久 90
スピード 130 魔力 無限
痛み体制 I
前に確認した時とあまり変わってないな……。
「確認は終わったか?終わったらかかってこい。いつでも構わない。」
「なら、いくぞ?」
カイルは返事をする代わりに軽く笑みをこぼし、鞘をかまえる。それを見てからロングソードを振りかぶった状態で前に出た。
「おおおおおお!」
剣術なら申し訳程度に師匠に習っている。だが、師匠は魔道士だ。本職の剣士に比べ教えられることは少ないだろうし、内容も本職のそれには当然及ばない。
そのまま振り下ろしたロングソードは難なくカイルに避けられる。
「大振りが過ぎるな、隙が大きい上に当たらなかった時に姿勢が崩れすぎているな。あと……。」
丁寧な解説が終わった直後俺は崩れ落ちた。
「ぐう!?……あ?」
「俺も反撃をする。立て、賢治。まだ終わりではないだろ?」
「うう……。」
俺は一度カイルの戦う姿を見たことがある。ヴェアウルフの群れを殲滅したときのことだ。そに比べると本気ではないだろうがそれでもダメージはでかい。あと数回とあの攻撃を受ければ立ち上がれないだろう。
「立ち上がれたか、もう一度かかってこい。」
「おああああああ!」
今度はギリギリまで振りかぶらずに突撃する。
が、それは鞘に弾かれまた体勢を崩され、鞘の打撃を受け倒れる。
「まだいけるだろう?」
今度は無言でよろよろと立ち上がりロングソードを下に構え、逆袈裟にロングソードを振るう。
それをカイルは鞘で受けながら身体を横に流し鞘を打ちつける。
そこで俺の意識は途絶えた。




