初任給
「起きて下さい、賢治さん。」
何度か揺さぶられて眼が覚める。この声はシオンか。
「起きましたか、おはようございます賢治さん。」
「ん、ああ、おはようシオン。どうした?」
「収集が掛かりました。お嬢様から。」
「茜から?俺たちなんかやらかしたっけ?」
「違いますよ。安心して下さい、いいことですから。」
そうして寝起きで頭が働いてない上にそもそも全くなんなのか察しがつかないままシオンに促され茜の元へと向かった。
いつもの立派な扉を開けるといつも通り椅子に腰掛けている茜とその後ろにリーネさんが、そしてその前にはシアンがすでに控えていた。
「遅くなりましたお嬢様、シオン・ロイネル並びに石野賢治、参りました。」
「遅いわよ賢治!いつもいつも待たせて反省してないわけ?」
「俺だけかよ。一緒に来たシオンがセーフなら俺もセーフじゃないのか?」
「どうせあんたが中々起きないとかでシオンに迷惑かけて遅れたとかでしょう?」
「そうなのか?シオン?」
「はい、10分間は起きませんでした。」
「すいませんでした。」
「これなら減給も考えないといけないかもしれないわね。」
「え?減給て?」
「なんだ?知らなかったのか?賢治。当初の仕事は失敗したけどアイラを連れてたのが評価されてその報酬が出るんだぜ?」
「おお!初の給料ってやつか!テンション上がるなー!おい!」
「飛び上がるほど嬉しいんですか?」
「当たり前だろ!初だぞ!?早く欲しいね。」
「そんなに欲しいならあなたからあげるわ。リーネ。」
「はい、はーい。わかりましたー。それじゃあ渡しますねー。」
「おお!」
「先に言っておくと賢治は今回殆ど役に立たなかったと報告があったから二人よりは安くなってるね。とりあえずは初の仕事に行って帰ってきたってことで三万ゼニーね。」
「おお?どうなんだそれ?」
「凄く安いわよ?基本的には1ゼニーは1円と同じね。」
「え?それ凄く安いじゃん。」
「そう言ってるじゃない。そうね、しばらくあなたに私が仕事を回さなかったら間違いなく生きていられなくなるわ。私が提供しているのは住む場所だけだから。食料は自分で用意しなさい。」
「あーそういえば賢治。お前に貸した分そこから返せよな。ロングソード代。」
「あれいくらしたんだ?」
「6000ゼニーだ。安物だしな。」
「結構持ってかるな……。」
「貰ったら下がっていいわ。ていうか、下がりなさい。」
初の給料である三万ゼニーからシアンに、6000ゼニーを返して二万4000ゼニーか……。
……次の仕事いつだろう。それより強くならないと、仕事が回ってきたとき今回みたいになにも出来なかったら最悪給料無しなんてことも……。
そうなったら終わりだな……。とりあえずしばらくは節約しないと。それか他のやつと仲良くなってすこーしだけたかるとか?
いや、それは本当に行き詰まった時の最後の手段にしよう。
強くなればその分仕事も増えるだろうし貰える給料も多くなるはずだ。……とはいっても付加魔法はこれ以上は鍛えようがないし。あとは実戦で鍛えるしかないよな、使い所とか。
あとはロングソードの扱い方とかか?用は剣術だな。カイルとか教えてくれないかな。
「賢治、部屋の前でなにをしているのだ?」
「おお!カイル!ちょうどよかった!」
いつも思うが都合がいいときに現れるよなカイル。まぁそれにいつも助けられているわけだが。本当に漫画みたいな都合の良さだ。
「なんだ?なにか頼みでもあるのか?聞かせてもらおう。」
「頼む、俺に剣術を教えてくれ!強くなりたいんだ。」
俺の唐突な頼みに対しおよそ予想もしていなかったのか一瞬少し驚いた表情を見せたがすぐにいつも通りの顔に戻り少し嬉しそうに言った。
「嬉しいぞ。強くなるために俺を頼ってくれてな!すぐに始めよう。ロングソードを持ってこい!」
「おう!」




