親玉
「シオン!くそっ、こうなったら俺も……。」
「出るな賢治!こいつは俺がさっさと片付けてシオンを助ける。お前はじっとしてろ!」
……とは言ったものの俺は魔法を使えねえしシオン無しじゃあきついな。だが、向こうも肋骨が折れて最悪肺に刺さってるはずだ。加えて一部凍傷を起こしている。それに魔力も無限じゃない、時間をかければ倒せない相手ではないがダラダラやってるとシオンが……。
「お嬢サンもさっさと片付けるじゃん。」
再びミーハは五体の分身を生み出し一切にシアンに襲いかかる。
「それの攻略方は理解した理解したぞ。これで決める!」
五体のミーハが全方向から迫っりお互いの距離が最大限に近くなった瞬間、シアンの回し蹴りが放たれた。目で追うのがギリギリの速度の蹴りである。当然至近距離にいるミーハは反応できず五体全てのミーハが虚空に消えて少し離れた場所にミーハの本体が現れる。全てのミーハが消えたのはミーハが分身と同時に例の攻撃を受け流す魔法を使っていたからなのだろう。
かなりの深傷を負っているミーハだおそらく攻撃を受け流すのがやっとであるはず。受け流してからすぐに次の動作に移ることができない。それをシアンが見逃すはずがなかった。回し蹴りを終えたあとの姿勢のまま体制を低くし地面を蹴って一気にミーハとの距離を詰める。そして下から顎に向かって拳を繰り出し彼女の倍ほどあるミーハを吹き飛ばした。
「ぐっ……あ?かはっ……。」
吹き飛ばされたミーハはドサッという音と共に地面へと落下した。人体急所である顎を下から凄まじい衝撃が襲ったのだ当然脳は揺れ軽い脳震盪を起こしているはずだ……軽いですめばいいが。よってしばらく立ち上がることはできないだろう。仮に立ち上がれたとしてもまともに動くこともままならないはずだすぐに殺されるだろう。
そうしている間にもシアンは彼に近づきトドメを刺そうとしている。
「トドメだ、俺たちに手を出したことを後悔しながら死ね!」
拳を振りかぶりトドメの一撃を放とうとしたその瞬間俺でもわかる凄まじいオーラを放つ何かがこの場に現れた。
すでにシアンは距離をとっている。
「しくじったようだなミーハ。まぁいい、別に今すぐに賢治が必要なわけでもないしな……。引き上げだ。」
「お前……なんだよ!?」
「あ?西園寺茜の部下か?お前?なら知ってはずだろ?」
「なっ……え?し……しょう?」
「久しく感じるな賢治。お前が西園寺茜の元に行ってからそう時間は経ってないが……。ところでお前、西園寺茜から俺のこと聞いたんだろ?どうする気だ?やつの言うことをそのまま信じて向こうに付くつもりか?まぁいい、答えは今すぐに欲しいわけでもない。しばらくは向こうにいてもいいぞ?」
「一体どういうことだよ……。師匠?」
「師匠ということは、お前がオストロミス・ガーシスマンなのか?」
「なんだ?敵のことも知らなかったのか?その辺はもう少しいい手駒を持っていると思ったんだがな……。ミーハを破ったその戦闘力は買うが。……安心しろ今お前らには手を出せねぇよ。今の俺の目的はミーハを回収しにきただけだしな。」
ミーハがかませっぽくなってしまいました。