刺客
「それじゃあ賢治、火を消してくれ。」
「はいよ。」
休んでいる間にモンスターに襲われないようにするために俺が木に付加した魔法効果の火を消す。
発動するときもそうだが付加魔法は詠唱も無いし、魔法名を言わなくても発動できる。まぁ、俺は魔法を使うときに何にも言わないのは絵的に地味になるし発動するときは発動する魔法効果にあったものを言っているが別に言わなくてももいいのだ。最初は詠唱無しで魔法名も言わなくても発動できるなら速攻魔法よりも強いじゃん、相手に全く発動のタイミングを悟らせることなく魔法を使えるわけだろ?とか思っていたが違った。
魔法を発動するときに兆候としてわずかに魔力が出るらしい。中級魔法を使えるくらいの人ならそのわずかな魔力を感じることができるので悟られないなんてことはない。
「では、出発しましょうか。」
火が消えたの確認し、その場から立ち去った。
道中当然のようにヴェアウルフの群れに遭遇したが難なく処理して(主にシアンが)ものの30分ほどで山を越え、やがて西部へと入った。
「さて、オストロミスの住んでいる場所はどの辺りなんだ?」
「まだ先だけど……万が一師匠と遭遇したらどうするつもりなんだ?」
「それは……。」
「アレェ?ひょっとしてアンタ、石野賢治クンじゃねぇですか?旦那に言われて探しに出てすぐに見つけられるなんてラッキーだねこりゃ。」
俺の質問に答えようとしたシオンの声を陽気な声が遮った。その声の主はカイルと同じくらいか少し上であろう年齢で黄緑髮のピアスがイタイタシイツーブロックの青年であった。
「ンー、そっちの2人もドッカで見た気がスンだよなぁ。……まぁ、いいか!賢治クンに用があるだけだし始末しちゃってモ。」
1人でケタケタと笑いながら話している。ヤバイ人だな。
「なぁ、賢治。こいつもしかしてオストロミスの……。見たことあるか?」
「いや、ないな。初めて会った。」
「アレェ?今、旦那の名前が出てきたようだけどお嬢サンの様子からシテ旦那のことどこまで知ってンの?まぁ、」
「姉さんまずいよこれ?」
「ああ、最悪だな。」
「始末スルことに変わりは無いンだけど!」
少々長めではあるがナイフの域をはみ出ていないナイフを手にその男は斬りかかってきた。
しかし、2人とも綺麗に躱している。今は2人に狙いがいっているが隙を見ていつでも参加できるように構えておく。
「そう構えるなヨ賢治クン。君は始末スルつもりはないんだから大人しく見てなヨ。2人が殺されるところをサ。」
「俺からも頼む今は賢治は戦闘に参加するな!」
「でも!……。」
「すいません、僕からもお願いします。この人、強いです。だからまだ、戦闘に不慣れな賢治さんが入ると僕たちのいつもの連携が取りにくくなります。」
「ソソ、その二人の言うとおりだぜ、君は見てなヨ。」
激しく切り結んでいた三人が一旦距離をとったところだ。ていうか、さっきの激しい戦闘の中でよくそんなにも話せたな。
「ア!思い出したヨ。君たち二人はアレでしょ?前に旦那の邪魔をした西園寺茜の部下じゃねぇのヨ?君たち。!」
「やっぱりバレましたよ姉さん。」
「オストロミスに俺たちのことがバレたら仕事にならない。さっさと殺るぞシオン。」
「安心するじゃんヨ。君たちのことはもう旦那にバレてるんだぜ?……それに西園寺茜の部下なら絶対逃せないんでネ。賢治クンに教えるついでに聞いとくじゃんヨ。オレの名前はミーハ・ペテンニクス今から君たち二人を殺すやつの名前じゃんヨ?覚えても覚えなくてもいいじゃんヨ!」




