西園寺茜の能力
茜の下僕になったことを嘆くよりも茜が俺を下僕にした仕組みがわからない。特に身体に変化は感じない。
「なぁ、今ので俺は下僕になったのか?全然そんな感じがしないんだが……。いや、別に期待してたわけじゃないんだけど。」
「はぁ?そんなの知ったところで何も変わらないわよ?まぁいいわあんたに知られたところでどうにもならないし。そもそも誰に知られようが無駄だしね。」
「で、どういう仕組みなんだ?」
「あんたはもう私の下僕なのよ?そんな言葉使いでいいの?」
「どういう仕組みになっているのですか?」
ちくしょう、つくづくムカつくなこの女は!
これで満足かよ。
「誠意が足りないようだけど、ギリギリ許してあげるわ。で、仕組みの話ね。教えるといっても仕組みそのものは教えないわよ。あんたもこの世界に来てるから知ってるとは思うけど、私は死んで女神様によってこの世界に転生したわけよ。んで、転生するときに特別な力を貰ったの。それが私のスキル『多重能力』。基本、スキルは1人一つ。だけど私はその制限がない、いくらでもスキルを習得することができる。あんたを下僕にしたのもいくつかのスキルを組み合わせることで可能にしてる。これで満足?」
「あ、ああ。いや、わかりました、丁寧な説明でした。」
「でも、私だけスキルを教えるのは不公平よね?自分のステータスを他人に教えることはしない……あんたのも教えてもらうわよ?あんたは私の下僕、もちろんスキルだけじゃなくてステータス全部を教えてもらうわ。」
「……わかりましたよ。」
幼馴染に敬語はなんか疲れる。
「でも、そのステータスはどうやって確認する気だ?……する気ですか?」
「決まってるわ、あんたが自分のステータスを確認して紙に書いてみせるのよ。安心しなさい、確認した後にその紙は処分するから。」
石野賢治 :
スキル【無限】
指定したものを文字通り無限にする。
対象 魔力
力 83 スピード 134 魔力 ∞ 耐久 80
その他
痛み耐性Ⅱ:痛みに対してある程度耐えられる(Ⅰよりも効果大)
「こんなものね。じゃ、早速あんたに仕事よ。オストロミスの弟子だったのよね?ならオストロミスが住んでいる場所に案内しなさい!でも、確認だけよ?偵察といったところかしら、幹部の誰かをつけるわ。」
「偵察って、師匠なら多分俺を探してるはずだし家まで行く必要はないんじゃないか?」
「敬語は?それに、いずれ仕掛けるわけだしその時はこっちから仕掛ける方が有利なわけ。そのためには少しでもオストロミスの動向を知っておきたいのよ。わかったらさっさと行きなさい!部屋の前に同行させる幹部を待機させてるわ。待たせてるわけだしわかったら早く行く!」
「は、はい。」
もうやだ、こんなことなら異世界なんて……。もう帰りたい。といってもすでに向こうの世界では死んでいるので帰るところなどないわけだが憧れの異世界に来たのに……。そんなことを考えながらも逆らったら殺されそうだしここで死んだら地獄行き。素直に従ってその幹部が待ってるという部屋へ向かっている。
「すいません、遅くなりました。本日づけで下僕になりました。石野賢治です。どうぞよろしくお願いします。」
幹部が待っているという部屋の扉を開け足を踏み入れる。相手は茜の下僕とはいえ幹部なので挨拶もしておく。が、その部屋に居たのは
「子……供!?」