真実
「は?師匠が危険人物?いきなり何言ってんだ!?それに、下僕なんてのは絶対にお断りだ。」
「言葉通りよ、それにあんたに拒否権はないわ。下僕にならなければあんたをこの場で処断しないといけなくなるの。」
「だから、それの意味がわからねぇって言ってんだよ!」
「そうね、説明してあげる。あんたの師匠のオストロミス・ガーシスマンは表向きは高名な魔導師だけど裏では、禁忌とされる魔法に手を出したり、人体実験を繰り返して新たな禁忌を作ろうとしているわ。それに、王国が滅びた原因のモンスターの大群が襲撃したことに一枚噛んでたらしいの。彼の目的はまだ分からないけどろくなことじゃないのは確かね。あんたのことも利用するために弟子にした。……というわけよ。」
「そんな馬鹿なことが……。」
「思い出してみて目的についてなにか言ってなかったの?」
「言われてみれば俺を弟子にするときに「ある人物を殺すことだ」とかいうのを言ってたな。」
「そう、期待外れだわ。あんたはまだオストロミスの真の目的を聞かせれてないようね。それに、そのある人物ってのは私のことね。前に彼の計画の一旦を妨害したからね。残念ながらオストロミスは逃がしてしまったけど、どうやら私を危険視しているようね。」
「分かったよ。師匠との繋がりを切ればいいんだろ?」
「そう、そのうえで私の下僕になりなさい。」
「なんでお前の下僕にならなきゃいけねぇんだよ!」
「……残念だわ。力ずくで下僕にするしかないようね。」
「力ずくってお前戦えんのか?」
その瞬間俺の横の床が綺麗に裂けた。
茜の姿も消えている。
くそっこっちは今服を硬化させるくらいしか。
「硬化!」
目の前に茜が現れて見るからに強烈な蹴りが放たれる。
直後ガキィィィィィィンという実に金属的な音とともにふっ飛ばされる。
とはいえ、茜の足も無事ではないだろうなにせ鋼鉄を蹴ったに等しいのだから。
「衝撃は来るんだよなこれ。」
「何よ今の?」
「どうだ?俺の付加魔法は?」
「はっ三下のすることよいきなり自分の能力を相手に明かすなんて。それに燃費の悪い付加魔法じゃすぐにバテるわよ?」
「生憎、魔力量には自信があるからな。」
「その強がりがいつまで持つか見ものね。ウィンドウ。」
無数の風の刃が襲いかかる。
なんだよ!?あいつ滅茶苦茶強えーじゃねぇか!
「うおっ危ねっ。」
「いっとくけどこれ風の初級魔法だから。」
それでこの威力って強すぎだろっ!」
襲いかかる風の刃たちを辛うじて床を転がりながら避け続ける。
「そろそろ観念したら?」
風の刃を放ちながら勧告してくるがもちろんあいつの下僕なんて御免だ。
とはいえもう壁際まで追い詰められTりる。
「お い つ め た。ウィンドウ!」
「硬化!」
咄嗟に服を硬化してなんとか風の刃を凌ぐが流石にこれ以上は……ん?
「しつこいわね!いい加減に屈しなさいよ!」
「ふっ。はははははははははははははははは。」
「何?どうしたの?頭がおかしくなったの?」
「反撃の時間だ。」
さっき気付いたことだがこの付加魔法対象は建物でもいいらしい。どうやら無機物なら基本なんでもいいようだ。つまり建物の中なら俺は無双できる!
風の刃を躱しながら至る所に布石は打ってある。あとは発動させるだけだ。
「罠!」
叫ぶと同時に仕掛けておいた場所から槍のようなものが飛び出していく。
それは西園寺茜を取り囲むように飛び出してゆきやがて完全に彼女を取り囲み無力化した。
「どうだ!やったか!?」
しまった!このセリフをここで言ってしまうと……。
次の瞬間轟音とともに砕け散る物体の中から西園寺茜は出てきた。
「へえ、こんなことも出来るんだ?付加魔法って。私も習得してみよっかなぁ。あははっ。」
これはヤバイ完全に茜を怒らせてしまった。