地獄行きだけは勘弁して下さい
ようやく2話目です。
4月22日に投稿されているものが第一話です。
ミスで違うものとなっています。申し訳ありません。
展開がいささか早いような気もしますがこれ以上話を広げることが叶わず展開が早まってしまいました。
この俺、石野賢治は寝起き早々の心筋梗塞により17歳でこの世を去った。
しかし、死後、女神様に頼み込み強引にではあるが魔力無限の能力(魔法の才能はない)と共に無事異世界への転生を果たした。
「……しかし、異世界に来たのはいいが、俺にこれからどうしろってんだ?」
浮かれすぎていた……。肝心なことを聞きもしないで転生するなんて……。
いろいろと俺も悪かったとは思うが一応あれでも女神なんだしさ、世界事情とか大雑把な目的とかを伝えてから転生させるだろ普通?
今思い出しても若干腹が立つなあの態度。
……もしかして、この世界はモンスターも魔王もいない平和な世界なのでは?
だとしたら異世界に行ってもすぐ死なれては困るというのはどういう意味だ?
……まぁ、迷っていてもしかたないか、誰か親切な人にでも聞いてみよう。
あれから3時間ほど経ったのか?もう日が暮れようとしている。
なのに一行に人が見当たらないんですけど!?
考えてみたら最初にすれ違った人以外見てないぞ!?
「……ホントどこなんだよここ。」
物寂しさに呟いてみたが誰もいないので返答はない。
辺りはよりいっそう暗さを増し森の不気味さをきわだたせる。
よく見ると歩いているこの道も獣道か普通の道なのかもよくわからない。
ようするに道に迷ったのだ。
ヤバイヤバイヤバイ もし、もしもだこの森にモンスターがいるとしたらどうなる?
答えは一つジャージ姿に何も持っていない俺は間違いなく一瞬で殺される。
ガサッ
「あひょうばあああああああ!!!」
なっなんだ今の音は!?
変な声だしちまったじゃねぇか!?
まさか、モンスターか?俺がさっきフラグっぽいことを考えてしっまたからか?
考えただけでフラグ回収?ってなんなんなの?
ダメだどんどん音が近づいて来る。
ドサッ
草木をかき分け現れたのは人だった。
冒険者を思わせる格好をしている。
よく見るとこの人怪我してる。
出血もひどい。
「……一体何がいるってんだ!?」
「早くここから離れろ!……俺のことはいい、このままでは2人ともやつに殺される!」
「え?おい、喋らない方いいって!それにやつってなんなんだよ!?」
「……悪いが説明している暇はないんだここから左にまっすぐ進めばこの森から出られる。」
「分かったよ左だな?後もうホントに喋るな!血ぃ吐いてんじゃねぇか!」
正直何が起こっているのかさっぱりだがヤバイらしい。
この人も助けないとな。
「おい、なにを!?」
「あ?何って決まってんだろ?お前を助けんだよ!」
「よせっ!そんなことした……。」
思いっきり吐血してんじゃねぇか!助かんのかどうかわかんねぇけど置いて逃げる訳にはいかない。
ヤバイのがいるらしいし。
とりあえずここから左に行けばいいんだろ?
今はそれだけだ。
ヴァァァァァァァ
「なっなんだ今の!?……まさかこの人が言ってたやつのことじゃあ……。」
だとしたらヤバすぎるぞ!?
あの咆哮は猛獣のそれ(実際に聞いたことはない)とは段違いのものだ。
いわゆるモンスターというやつなのでは?
ヴゥゥゥゥゥ
ッいつの間に目の前に!?まったく接近に気づかなった。
そいつはトカゲのような見た目をしていてその表面は堅い鱗に覆われている……てか、でかい!
俺の今までのゲーム経験が語っているこいつはヤバイ!(ゲームとは明らかに違うのであてになっていない)
正直逃げきれる自信はない、例えこの人をここに置いて逃げたとしてもだ。
残された道は俺が戦って勝つことしか助かる術はない。
……が、俺には魔力無限という能力があるにはあるが、魔法の才能はたいしたことはないらしいし、魔法の打ち方すらわからない。
こんな絶望的状況、どうすれば……?
「そうだ!なぁあんた、さっきはしゃべるなって言ったけど一つだけいいか?」
最後の手段は一か八かこの人に魔法の打ち方を教えてもらう!俺の魔法の才能は置いておくとしてだ。
「魔法の打ち方とか分かったり……。」
言いかけたその瞬間、俺は冒険者(?)によって5mほど後方へ投げられていた。
その直後森の中に、薄暗くなってきているその空に鮮血がほとばしった。
それは冒険者(?)のものであることを一瞬で理解した。
案の定,冒険者(?)はトカゲのような見た目のモンスターの尻尾に串刺しにされて絶命している。
「……うっ。」
この惨状に思わず吐き気がこみ上げる。
そしてぶちまけた。
ヤバイ、このままじゃあ俺もすぐに殺されてしまう。
異世界に来てすぐに、わけもわからないまま死ぬなんて。
思考を遮るように何かが目の前をほとばしった。
それがなんなのかを理解するのにそう時間はかからなかった。
あのモンスターの尻尾だ。
同時に右頬に激痛がはしる。
「うっうあああああああああああああああああああ!!!」
ただただ叫びながら走り出した。
が、すぐに何かにつまずいて転ぶ。
「もうダメだ、あの冒険者(?)のように殺される。」
死を思ったその瞬間つまずいた何かの正体に気が付く。
それは、冒険者(?)の剣だった。
「これを使えば、あるいは……。」
だがモンスターは待ってはくれない。
ろくに考える時間もなく戦闘に突入する。
落ち着け、今ある情報では、やつの基本的な動きは尻尾を主軸にした近中距離の攻撃
だが、近中距離といっても完全に懐に入ってしまえば勝機はある!……はずだ。
今、モンスター自体は横向きになっている。
よって、刺突はないだろう。
その代わりになぎ払いというのが最も確率が高いはず。
次の瞬間予想通りのなぎ払いがきた。
これは体制を低くしてギリギリではあるが回避できた。
ここをつかないわけがない。
俺は勢いよくモンスターの懐に入りその右手に持っている剣を振り下ろした。
「嘘……だろ!?」
ガキィィンといういかにもな効果音とともに空中にいた俺は大きく体制を崩し地面へと落下する。
見た目からある程度は察することが出来るが予想以上に硬い。
叩きつけられるように地面に落ちた。
痛い、かなりの衝撃が身体中にはしる。
やっぱり俺には無理なのか?
モンスターの尻尾がこちらに向けられる。
「このままじゃあ地獄行き確定、いやだ死にたくない、誰か助けてくれぇ!」
いよいよ死を覚悟したが、少なくともこの後俺に何か起こることはなかった。
というのも、逆にモンスターが大量の血を出して死んでいる。
「なんだかよくわからないが助かったということか?」
痛む身体をおしてとりあえずこの場から立ち去ることにした。
石野賢治がこの場を去った少し後のことである。
1人の少女とそれに付き従うような数名の者が現れた。
「……あの声、どこか聞き覚えのある……。」
よく通る透き通ったような声だ。
「あなたたち、さっきまでここにいたはずの少年を探しなさい!」
仰せのままに、と複数の声が続く。
「ふふっ石野賢治、あなたも異世界にきたのね?
こんな偶然、素敵なことを思いついた。」
不敵な笑みを浮かべ、その少女もこの場から立ち去る。