魔女の呪いにかかった彼の本当の姿が私には見えます!(一緒に居ると不幸になる人にとって、化け物に見えるようになる祝福)番外編
レイアはいつも以上に焦っていた。
「どうしよう、トールが化け物に見えない女の人が現れた」
レイアは青い顔で震える。
何故こうなったのかというと、それは先ほどの事だ。
驚かせようと思って、こっそりトールに近づいたら、綺麗な女の人とトールが談笑していた。
ここ最近女の人がトールを見ると逃走していくのを目撃していたので安心していたレイアだったが、先ほど大丈夫な女性と話していたのだ。
トールはとても魅力的だ。
見かけもいいし優しいしい、こんな人がいるのかとレイアは思った。
運よく両想いになれたけれど、それでも不安なのだ。
だから先ほどから建物の陰でじっと様子を見て行ったレイアだったが、
「あれ、レイア、いたんだ」
「あら、あれがトールが可愛がっている恋人?」
「……結婚秒読みです」
「そうだったわね。だからこんなものを私に頼んだの?」
「今日、彼女の誕生日なんです」
「あら、そうなの。ふふ。どうりで……でも彼女不安そうだわ。早めにどうして私に会っていたのか、話しておいた方がいいんじゃない? お得意様へのサービスよ?」
「……分かりましたカロッサさん」
どうやらこの人物は、カロッサというらしい、そう私が思っているとそこでトールが近づいてきて、
「その、じつは……レイアの誕生日プレゼントを買っていたんだ。カロッサは、昔からうちに出入りしている宝石商なんだ」
「え?」
「それでこれがプレゼント。ど、どうかな?」
そう言われてレイアは、トールから小さな箱を渡される。
恐る恐る開くと、レイアの紙と同じ色の石がはめ込まれたペンダントだった。
「どうかな? レイアの髪の色に似た石を選んだけれど」
「す、凄くうれしい」
「そっか」
嬉しくてたまらないレイアだけれど、トールもそんなレイアを見て嬉しそうだった。
レイアは愛されているなと思う。
同時にあまり疑うのは良くないなとレイアが思っているとそこで、
「仲がよろしいですわね。これからもご贔屓に」
カロッサがそう言って去っていく。
それを見送りながら私は、
「綺麗な人だったね」
「あのひと、男なんだ」
「え?」
「男なんだ」
「……」
衝撃の発言に私は振り返るが彼女……彼の姿はどこにもいない。
世の中にはまだ不思議なことはたくさんあるようだったけれど、でも、
「このペンダントをしてデートをしたいかも。だめかな?」
「もちろん俺は断りません」
トールがそう、強くレイアに答えたのでした。
「おしまい」