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道中にて 2

ボロクソ言われ続けながらPV33万、ユニーク7万突破。

……元の評価が酷すぎたせいか素直に喜べない。orz

 魔物に襲われてるのは商業隊の馬車だった。但し、その魔物たちは【ビーストテイマー】の支配下に置かれている、という但し書きが付く。


 商隊を護衛しているのは長期契約の傭兵が数名と一つ前の都市で雇った腕利きの冒険者グループ・ケンタロス。堅実な仕事に誠実な人柄、確かな技量を持つそのグループは最近になって頭角を現し始めた新規精鋭のグループと言える。


「被害状況は!?」

「傭兵は全滅、後衛も重傷ッ。幸い積み荷は無事ですがこちらの被害は極めて甚大です!」


 サブリーダーの口から告げられる絶望的な回答に思わず舌打ちをしそうになる。彼らに油断があった訳ではない。この近辺では決して現れる筈のないドレイクに遭遇したのが原因だ。


 一匹、二匹ならどうにかなる。厳しい戦いを強いられることになるが、決して不可能と言える戦力ではない。だが六匹となると流石に話が違ってくる。気の置けない仲間ならともかく、傭兵との連携など望むべくもない。


「ハッハーッ! どーした冒険者サマよぉ、もっと足掻いて見ろよ、えぇ!?」


 そんな絶望を肴にして高見の見物を決め込んでいるのは六匹のドレイクを従えるビーストテイマー。国家レベルで指名手配されてるこの男はドレイクを六匹従えてるということで金貨三枚という懸賞金がかけられてる。


「なぁ冒険者サマ、俺は後ろの積み荷と女に用事がある訳よ。汚いケツ見せながら逃げるってんならその無様な姿に免じて見逃してやってもいいんだぜ?」

「そいつぁできねぇ相談だな。冒険者ってのは一度受けた依頼は例え何があろうとテメェの力で達成するモンだ。てめぇのようなクズには一生分からないだろうがな」

「あっそ。……じゃあ死になぁ!」


 ビーストテイマーの男がドレイク達に一斉攻撃を命じる。辛うじて生き残った前衛三人は満身創痍の状態で武器を手に取り、攻撃に備えるべく構えを取る。


 だがそれは徒労に終わる。何故なら目の前で不可視の暴力によって無警戒に突進したドレイクが吹き飛ばされたからだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「あれ、【ビーストテイマー】にドレイク先生かな?」

「商業隊の荷馬車が襲われてるようですね」


 遠視スキル【イーグルアイ】で様子を伺う。六匹のドレイクをローテーションで突撃させてる賊っぽい男に対して必死に抵抗する護衛たち。敵の強さを計る【スキャン】でドレイクのレベルを確認すると下が九○で上から一○五と出た。同じ魔物だからと言って全く同じ強さとは限らないヴェルトの世界では珍しくないレベル差だし、普通のドレイクなら強くても一一○が限界なのでおかしなところはないが──


(え? なんで九○レベルしかないのに使役できてるの?)


 魔物を従えて自分の戦力とする【ビーストテイマー】の制限の一つとして自分よりレベルの高い魔物を使役できないとある。勿論、この縛りを緩和する抜け道はいくつも存在するが、そうすると今度はペナルティが付く。


「助けますか?」

「だな。ほっとくのも後味悪いし」


 決断には大した時間を必要としなかった。武器を持つ手が汗ばんでいることを自覚しながら、二人は残りの距離を一気に詰めた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「な、なんだぁ?」


 不機嫌な声を出すビーストテイマーの盗賊。満身創痍の冒険者が無様にやられる未来を想像していた男の目に映ったのが、当然乱入してきた黒い影によってボールのように吹き飛ばされたからだ。


「誰がやった。ミシェルか?」

「いや、ミシェルは魔力切れの筈だ……」


 驚いたのはケンタロスのメンバーとて同じだ。メンバー唯一の【マジシャン】たるミシェルは度重なる魔法の行使とダメージによって気を失っている。つまりこれは、第三者の仕業である。


「ヤバそうな雰囲気だからな。助太刀させてもらうよ」


 まるで他愛もない世間話をするかのような軽い口調と共に現れたのは見た目一○代後半の少年と──


「竜化されると二度手間になります。一撃で仕留めるのが最善であると愚考致します」


 メイド服に圧倒的な存在感を放つ長剣で身を固めた、絵画のモデルになりそうなほど美しい女性という何ともアンバランスな組み合わせが乱入してきた。


「チッ……お前等、雑魚は後にしてそっちから始末しろ!」


 このとき、盗賊の男は完全に判断を見誤った。この時点での弥生は盗賊が蔓延る世界の厳しさを知らないが故に、逃げに徹すれば生き延びることが出来たかも知れなかった。


 しかしそれはあくまで逃げに徹底した場合の話。明らかな悪党が悪意剥き出しで襲って来るなら、彼の中にあった慈悲を与えるという選択肢は一瞬にして消え去る。


「遅いよ。【ファイヤジャベリン】」


 詠唱を省いた無詠唱による魔法攻撃。好みの接近戦をしないのは単純に彼我との距離があったから。呼吸をする間もなくドレイクの周囲に丸太サイズの炎槍が八本出現し、次の瞬間には身体中の至るところへ突き刺さり、炎上する。


 数秒後、残ったのは原型すら留めてない黒ずみと化した骨だった。


「あれ……ペナルティ込みでも【ビーストテイマー】に使役されてるからもちっとタフかと思ったんだけど、四本でも足りたかもな」


 物理攻撃ならどうかなーと思い、腰に下げてた妖刀・カクヅチを抜く。わざわざ接近戦を選んだのはこれから先、魔物との戦闘は避けられないだろうから今のうちに直接手を下すやり方に慣れておこうという意味合いが強い。


 緋色に輝き、神々しさのあまり思わず頭を下げたくなる護衛の冒険者には目もくれず、一気にドレイクが飛行してる高さまで跳躍すると一息で翼を切り落とし、ストンと着地する。文章にすると何てことのないように見えるが、目撃者の印象は大分違う。


 冒険者たちの目には、男がいきなり飛んだかと思うと既に反対側に着地して、いつの間にかドレイクの片翼がなくなって地面へ落下していたという印象しかなかった。


 一方で、盗賊は目の前で起きた現実を受け入れられずに居た。あれだけ苦労して手に入れたドレイクが、まるで赤子の首を捻るかの如くあっさりと倒された現実に。


 苦悶に満ちたドレイクの悲鳴を聞いて我に返る盗賊。未だに目の前の出来事には理解が追いついてないが、一つハッキリしたことがある。


(こいつらに手を出したら、やべぇ……ッ)


 今すぐ撤退するべきだ。そうだ、まだドレイクは四匹も居るんだ。こいつらにさえ構わなければ次がある。

 なのに何故だ。身体が思うように動かない。どうして景色が矢継ぎ早に反転してく。それに、あそこにある首のない身体はなんだ? どうしてメイド服を着た女が俺を見下ろしてる?


 ……あぁそうか、あれは俺の身体で、殺されたのか…………。


 今まで好き放題やってきた盗賊が全てを悟ったときには、何もかもが遅すぎた。

【ビーストテイマー】のスキル【調練】によってそれまで統制を保っていたドレイクは司令塔を失ったことにより、本来の凶暴性を取り戻す。術者が未熟であったが故に、本来の力を発揮できなかったのかとぼんやり考えながら撃墜したドレイクにトドメを刺す。


(つかなんであれ程度がドレイクを使役できてんだ? 戦って捕獲するにしてもソロで九○代じゃ厳しい相手だぞ?)


 男の言動から推測するに、あいつはお世辞にも戦闘が上手い人間とは思えない。六匹も居るドレイクを効率よく運用できてないのがいい証拠だ。


(と、余計なこと考えてる場合じゃないな)


【ビーストテイマー】たる彼が死んだことで残りのドレイク達が凶暴する。その姿を見て思い出したのはゲーム時代の事故死。過疎マップでひたすらレベル上げをしてると【ビーストテイマー】のプレイヤーとすれ違い、その背後でプレイヤーが殺された直後に魔物が狂暴化して襲われたというもの。そうした事故が起きないようにギルドメンバーや友人たちが必ず自分のレベルより強い魔物は使役しないよう指導するのが暗黙の了解となってた。


「リーラ、後頼む」

「承知しました」


 残りのドレイクはリーラに丸投げして怪我人へと近づく。後衛職の三人はいずれも腕が明後日の方向に曲がってたり骨が飛び出てたりと、教会の大司祭が見ても手遅れだとさじを投げてもおかしくはない程の重傷だ。


「ジッとしてろ。【ハイヒール】」


 傷口に手を当てて、【ハイヒール】を唱える。【プリースト】系の職業ではないので回復量にボーナスは付かないので数をこなす必要があるが、INTがカンストしてることが幸いした。多くの人形を一度に行使する必要があるエルフォードにとってINTは必須パラメーターと言えるからだ。


「うぅ……スマネェな兄ちゃん。だが気をつけろ、まだドレイクが──」

「終わりました、御主人様」

「おぉ、やっぱドレイクだと早いな」


 ふわりと、音もなく地面に着地して報告をするリーラを労う。治療を受けた冒険者は美人メイドに長剣というおかしな組み合わせに目を丸くする。


「君達は一体……」

「ん? 田舎出身の旅人だよ。で、こっちが──」

「御主人様の人形を務めさせて頂いてます、リーラです」

「と、真顔で誤解を招きそうなことを言ってるけど文字通りあれはにn『人形ですってぇ!?』──うわぁ!?」


 自己紹介が終わるのを待たず、間に割って入ってきた人影に思わず尻餅をつく。如何に複数のステータスがカンストしてるからと言って、突発的な出来事にまで強い訳ではない。仲間内からは『護衛の人形がいなければカンストしてるだけの雑魚』とまで揶揄された彼なら特に。

「こっこ、これが人形!? 外見、手触り、動作、どう見ても人間そのもの……いいえ、微かだけど人形特有の魔力を感じるけどそれだって微々たるもの。何よりこれだけ高い自立能力を持つ人形を作れる技師が──」

「【フリーズ】」


 何やら面倒毎の予感を察知したリーラが主の許可を待たず【凍結】効果を持つ魔法で黙らせた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「いや、済まない。どうも人形のことになると興奮を抑えられなくてね」


 かっぽらかっぽらと、縦揺れに負けないよう気をしっかり持つ弥生と、姿勢を崩さず正座しているリーラ。乗り物全般にとことん弱い彼としては揺れの激しい馬車は忌避感があるが、歩くよりはマシだろうと思い、乗せてもらうことになったが早くも後悔している。


「自己紹介がまだだったね。私はシューレで人形の研究をしてるマリア。こう見えても【人形技師】を名乗れる程度には強いさ」

「俺はやよ──いえ、エルフォードです。田舎出身の自称・冒険者ってとこです。で、こっちはリーラ」


 主の紹介を受けてぺこりと頭を下げるを見ながらマリアの職位について考える。


(五○○年経ったヴェルトにも【人形技師】って居るんだな……)


 強化するにはレベリングで得た経験値をごっそり渡さなければならないので必然的にレベルドレインと呼ばれる現象が起こる。上位職になるまでは指示出さなきゃならない。最終職の【パルフェドール】に到達するまでプレイヤーは武器どころか防具すら装備できない。魔物との戦闘では使い手が優先的にタゲられる。


 とにかく色んな意味でバランスの取れてないのがこの人形遣いだ。弥生の知る限り、ゲーム時代にメインでこれを使ってたプレイヤーは一○人程度しかいなかった筈だ。コミュニティサイトを通じての友好関係はあったが、全員住んでる地域がバラバラだったのでオフ会をやることはなかった。


「マリアさん、でしたよね。やっぱり人形遣いは珍しいんですか?」

「うむ。私のように人形を相棒にする者は絶滅危惧種だな。幸い、シューレには人形関連の書物があるから研鑽には事欠くことはない」


 チラリと、視線だけを動かして自身の相棒と評した人形を見せる。樫の木によく似た材料をベースに人型に似せたそれは小学生くらいの大きさしかない。先の戦闘で真っ先にやられたのか、左腕は外れ、右足は膝下からは食いちぎられた跡が残り、胸部は鋭い爪痕が生々しく残っている。


 これは紛う事なき人形だ。間違ってもリーラのような人間らしさが全面的に出てるような代物ではない。


「聖者の樹をベースにウッドゴーレムの心臓を組み込んでますね。戦闘タイプは……ウィザートですか」

「ほぅ、驚いたね。素材が特定できないように合成樹脂を塗りたくってある筈なんだが……」

「昔は私もこの手の人形を散々使ったクチですから」


 ゲーム時代にね──と、心の中で付け足しながら昔を懐かしむように微笑む。

 メインで使っているのはアデルフィアシリーズだが、それ以前に作成して使っていた人形たちは今でも思い出の品としてアイテムストレージの中で眠っている。


「そうか。……しかし、君のその人形は本当に精巧な作りをしてるね。使っている素材も見たことがない。参考程度に何を使っているか教えてくれないかな?」

「私のこととリーラのことを誰も話さない、という約束が守れるなら」

「勿論さ。人形遣いにとって自分の人形の素材を知られるということは手の内を教えるのと同義だからね」


 確かにそうだなと、弥生は素直に思った。

 マリアの人形を引き合いにすれば話は簡単だ。樹で作られた人形が火に弱いのは道理であるように、素材の組み方次第では強くもなるし弱くもなるのが人形の難しいところだ。


「えっと、ヒヒイロカネをベースに骨格はオリハルコン、動力炉は吸血鬼の心臓を使ってますが操作性能と魔力の循環効率を高める為に鋼糸の代わりにスノードラゴンの血液を使ってますので使役する際はとにかく魔力を注ぎ込む必要があります。あと、合成樹脂だとどうしても見た目が汚くなる上に弱点属性が付与されるのでリャナンシーの細胞を移植するんですがそのままだと全く使い物にならなくなるので細胞を活性化させる為に【コーティング】を応用してユグドラシルの樹液を──」

「ちょちょちょっと待って! なんか今とんでもないものの名前がポンポン出て来たような気がするんだけど?!」


 堪らずその場で狼狽するマリアを見て『しまった』と内心で舌打ちをする。考えてみれば今のヴェルトは自分が知ってた当時よりも遙かに劣っているのだ。ひょっとしたらリャナンシーが現れただけでも歴史を揺るがす事件として後世に語られるかも知れない。


(この様子だと一二体全員がほぼ同じ製法だってことは黙ってた方がいいな)


 リーラも同じ結論に達したようで、意味ありげな視線をこちらに向けてるのに気付き、こくりと力強く頷いて応える。


「ふぅ……。取り乱してしまって済まない。しかし面白い技法も聞けたね。鋼糸の代わりに血液を媒体にして魔力で操作をする、か……。確かにこれなら手元で操作する手間が省けるだけでなく、操術士もより複雑な指示を出すことができる」

「魔力操作が主流ではないのですか?」


 寧ろプレイヤーとして狩り場を駆け巡ってた頃はそれが主流だと言ってもいい。人形を操作するときはMPを消費して動かす。鋼糸を使った操作法も確かに存在したがそれは人形劇と呼ばれるプレイスタイルだ。MPを消費せずに人形を操れる、という利点以外はあるが、操作法が格段に難しくなる。どのぐらい難しいかと言えば人形遣いを極めようと息巻いてた弥生が投げ出すぐらい難しい。


「昔作られた人形は殆ど壊れてしまったからね。たまに遺跡から過去使われていたと思われる人形が出土するけどそれらには鋼糸が付いてなかったことに関しては長年疑問に思われてたが……そうか、魔力操作か」


 それっきり自分の世界に没頭し始めた彼女は革製の鞄から羊皮紙を取り出しペンを取ってもの凄い勢いで書き込み始める。本当に人形好きなんだなーと思う反面、何故かこの人にはアデルフィアシリーズを渡したくないという思いが沸いてきた。


 ……ついでに目の前にいるのがエルフォード本人だと知ったらどんな反応が返ってくるか興味があったが流石にそれは自重する。


「マリアの相手に疲れたか?」


 二人の会話が一段落したところで外で馬車の警護をしてる男が声を掛けてきた。ドレイクに襲われていたとき、前衛を務めていた男だ。


「怪我の方はもう平気ですか?」


「おぅ! 兄ちゃんが掛けてくれた魔法のお陰でな! 俺はビリーってんだ、ありがとよ兄ちゃん!」


 首だけ動かしてニカッといい笑顔で御礼を言うビリー。名前といい筋骨隆々の体躯といい、どこぞの兄貴を彷彿とさせる風貌だと思ったのはここだけの話。


「ビリーさんは冒険者を生業としてるんですか?」

「まぁな! 魔物が増えたお陰ってぇのも変な話だが今は冒険者が一番稼げる仕事だからな!」

「今日のようにエルフォードさんが通りかからなければお金も何もあったものじゃないけど……」


 ボソッと、毒を吐いたのはビリーの後ろを歩く【アーチャー】の青年。それを『まぁまぁ二人とも、喧嘩は良くないわよ』と、兄妹喧嘩を仲裁する母親のように割って入ったのは【プリースト】の女性。


「サブリーダーは、リーダーに甘過ぎ」

「あら。どんな形であれ生きていれば勝ちじゃない? ……あ、紹介がまだだったわね。私はサブリーダーのライラよ。で、この不機嫌そうな子がビスマルク」

「……ビスマルクです。よろしく」


 ライラに紹介され、最低限の挨拶だけ済ませてすぐ警護に戻るビスマルク。ビリーが方針を決めてライラが仲間を纏める役かなと、適当な推測を立てながらこっそりレベルを計ってみるとビリーが九三でビスマルクとライラが八八と出た。最後の一人、ミシェルは別の馬車で寝ているから分からない。


「ところでエルフォード君、マリアさんのお話ちょっと聞こえてたんだけど君って実は腕利きだったりしない?」

「んー、どうでしょう。今までは比べる対象がいなかったので何とも言えませんね」


 当たり障りのない、適当な答えでお茶を濁す。だがマリアは怯まない。


「本当にそうかしら? ドレイクってB級クラスのパーティーでないと討伐できない魔物よ。それをたった二人で倒すのも相当凄いけど、エルフォード君って人形遣いなんでしょう?」

「えーっと、できれば詮索は避けてくれると嬉しいかなー……なんて」

「人の過去の詮索は、悪趣味……」


 ナイス、ビスマルク! と、心の中で拍手喝采を送る。仲間から手厳しく諭されたライラは『そっかー……それもそうね』と渋々引き下がる。


「ところで、シューレまではどのくらい掛かりますか?」

「シューレ? そうだな……このペースなら三日ってトコだな。……なんだ兄ちゃん、もしかして徒歩で行くつもりだったのか?」

「えぇ、まぁ……」

「度胸あるわねー。普通は護衛ついでに行くか定期馬車を利用するわよ」


 エルフォード君ぐらい強かったらあまり関係ないかもね……と、意味ありげな台詞を残して含み笑いを浮かべる。


 尚、この一連のやり取りでしばらく放置されてたリーラの機嫌が右肩下がりになったことを追記しておく。

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