人を敬い他人に頼らず
Once upon a time
暇を持て余しているたか子さんともも子さんは、唯我くんのガセ情報を頼りにナンミョウ之介くんのお城へ行くことに決めました。
性格の悪い姉妹の目的は、もちろん虐めなのは言うまでもありません。
何も知らないナンミョウ之介くんは丁度その頃、竹槍を持って剣術の練習に打ち込んでいる最中でした。
ところが、家来の作った竹槍が両端を尖らせてあったので、手を滑らせたナンミョウ之介くんは哀れ、竹槍が顔面に刺さってしまいました。
とてもとても痛かったので、ナンミョウ之介くんは氷で顔を冷やすことにしたのです。
「痛いっちゃんよ〜、痛いっちゃん。拙者は柳生新陰流免許皆伝なのに何でこんな目に遇うっちゃん。」
「こらっ、ミイラ男、何が柳生じゃい。お主は商人のガキじゃろが。」
「風通しが良くて腐りにくくなったから宜しいんじゃありませんこと、ホホホ。」
「あっ、お姐さんたち久しぶりっちゃん。カキ氷作るから一緒に食べようっちゃん。」
「あのなあ〜、ワシは氷苺と氷あずきが大っ嫌いだから、辛子味噌バニラアイスにトロロミルク掛けな。」
「わたくしは飛騨牛プリンアラモードフラッペ金箔トッピング特盛りで我慢しますわ、ホホホホ。」
「お姐さんたち変ってるっちゃん。拙者はツナマヨバニラアイスのシーフード盛り合わせフラッペが大好物だっちゃん。
でね、拙者は商家の出身だけど武士の魂を持ってるっちゃん。拙者の尊敬する人は剣豪宮本武蔵だっちゃん。
そんでね、拙者のモットーは神仏を敬い神仏に頼らずだっちゃん。」
「おいっ、うぜえぞミイラ男。味噌バニラが溶けちまうじゃあねえかよ。」
「ミイラに仏像や御神体は必要ありませんわよ、ナンミョウ之介。オホホホホホ。」
「ところでよ、お主んとこの腰元に若い女はいるのかよ。」
「あのね、お姐さんたち。拙者んとこの若い女の子は拙者を見ると怖がってみんな逃げ出すっちゃん。
だからオバサンしかいないっちゃんよ。拙者はこんなに優しいのにどうしてだっちゃん。」
「あら、それはお可哀想に、ホホホホ。」
「そりゃ知ってたけどよう、聞いてみただけなんだわ。じゃあよ、若くてグラマーな娘の噂は知らねえかよ。」
「ああ、そうだっちゃん。戒名院魔人が最近連れて歩いてる若い娘がいるって聞いたっちゃん。」
「ぬわにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、戦じゃ戦じゃ、戦じゃァァァァァァァァァァァァァァァァ。」
「わらわも戒名院が怪しいと思っていたんですわ。早速、空の要塞B-17戦略爆撃機を出撃させますわ。」
たか子さんもも子さん姉妹は、総勢二十万の兵を挙げ魔人くんのお城を取り囲みました。
でもしっかり者の魔人くんは、もうちゃっかりと籠城していたのです。
大きなお城の大きな庭には田んぼや畑や牧場が沢山ありました。
そして大きな池と大きなお掘りには、沢山のお魚やシロナガスクジラが泳いでいたのです。
しっかり者の魔人くんは、食料を備蓄する大きな冷凍庫の他にも、ハイテク兵器工場や発電所を持っていました。
魔人くんのお城は難攻不落の要塞だったのです。
「空爆すると対空ミサイル撃って来やがるしよう、巡航ミサイル撃ち込むと弾幕で落しやがるしなあ、こりゃあ持久戦に持ち込むしかねえな。」
「外堀を埋めようと近付くと砲弾の雨あられですのよ。もう細菌戦しかないんじゃないかしら、オホホホホ。」
「武士の情けじゃ、特別に降伏させてやっからよう。ホットラインを繋げろやぁぁぁぁぁぁぁ。」
「ホットラインて、唯のケータイじゃあ御座いませんこと、ホホホホ。」
「おうおうおう、戒名院のクソガキかよゥゥゥゥゥゥゥ。てめえなあ、大人しく娘を渡せば命だけは助けてやってもいいんだぜえ。」
「ブヒブヒブヒ、朕はそんな娘しらないよ、ブヒブヒブヒブヒブヒ。」
「ゴルァ〜〜、しらばっくれんのも大概にせんかい、ワリャァァァァァァァァァ。ネタは上がってんだよォォォォォォォォ。」
「ブヒブヒ、朕はデリヘル嬢とデートクラブ専門だから素人の娘なんか興味ないよ、ブヒブヒブヒ。」
「おうおうおう、とうとう尻尾だしゃあがったなァァァァァァ。誰が素人の娘だって言ったんだよゥゥゥゥ、オンドリャァァァァァァァァァァァァァァァァ。
「ブヒ〜ブヒブヒブヒブヒブヒィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ〜〜、ガチャッとな。」
「ヤロウ、吐きやがったぜ。このワシに楯突いたクソガキャァァァァァ、只ぁ済むと思うんじゃあねえぞォォォォォォォォォ。」
「やっぱり細菌戦しかありませんわよ、お姐さま。トンコレラとか、オホホホホホホホ。」
「しかしなあ、この要塞を攻め落とすにゃあ時間が掛かるからよう。他の娘でも探した方が得じゃあねえかなあ。」
「このウスラトンカチのスットコドッコイの馬鹿女が・・・・・・・・・・・・・・」
それでも性格の悪いたか子さんもも子さん姉妹は撤退することを考えませんでした。
たか子さんが悪い頭をフルに搾って策略を練っていた所、ある名案が浮かび上がりました。
それは地中深く穴を掘ってお城の真下から攻め入ろうとする作戦でした。
ところがお城の下まで掘り進むと、根性の悪い魔人くんに豚のウンチや牛のウンチを流し込まれ、呆気なく撃退されてしまったのです。
この汚らしい攻撃によって、たか子さんともも子さんの家来達の間には厭戦気分が蔓延し、戦況の行方に深く影を落とす事となりました。
そして兵士達の不満は最高潮に募り、今や敗軍の将と成り果てた総大将のたか子さんが家来達に撤退を告げようとしたその刹那・・・・・・・・・・
「ワッワッワッ、わしが閻魔大王様なんだおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・ 」
「うるせえっちゅうんじゃい、因業寺。地獄へ落とすぞオンドリャァァァァァァァァァァァ。」
「あのさあ邪教院ね、拙僧の右腕の独尊寺部長がずっと無断欠勤してんだけど、チミたち何処にいるか知ってんでしょ。」
「あのクソボンズならなあ、天国で女とチンチンカモカモしとるわい。」
「エッ、いいなあ天国行ったんだ。可愛い天使の女の子・・・・・拙僧も天国に行ってみたいんだけど、チミたち紹介してくんないかなあ。」
「お主は舌を抜くのが目的だから天国にゃあ入れんじゃろ。それよりなあ、ワシはお主なんぞ構ってる暇はないんじゃ。」
「お姐さまは負け戦を演じておしまいになりましたのよ、因業寺殿。ホホホホ。」
「アホかよ、愚妹もも子。貴公も本年度の軍事予算を使い果たしただろが。」
「あのねえ、困った事があるんなら何で拙僧に相談してくれないわけよ。」
「お主は何を交換条件にする腹なんじゃい。」
「チミたちの顔で天国行きのチケット一枚予約してくんないかなあ。」
「あら、因業寺閻魔殿は何て諦めの悪いジジイなのかしら、オホホホ。」
「娘の事は独尊寺くんから聞いて知ってるよ。そんじゃね、戒名院と交渉してみるから、ピポパポペポポポピペポ。
・・・・・・・・戒名院くんか、覚えて居るかね因業寺じゃよ。用件は言わんでも分かって居る筈じゃ。」
「ブヒブヒッ、朕は休戦協定にサインする気がないでもないであるぞ、ブヒブヒブヒブヒ。」
「てめえなあ調子ぶっこいてるとトンコレラぶん撒くぞぉ。」
「どうじゃ、戒名院よ。休戦協定を結ぶ条件として娘をレンタルする気はないかのう。」
「ブヒブヒブヒブヒブヒッ、朕は本案を批准するにやぶさかでないであるぞ、ブヒブヒブヒッ。」
「拙僧は良い返事を待って居るぞ、ではまた、チンとな。」
「こらっ、因業寺。お主が何で勝手に条約締結云々しとるんじゃい。」
「あのね、娘を手に入れさえすれば何時でも攻撃出来るでしょ。」
「戒名院が幾ら馬鹿だっちゅうてもだな、そんな手に易々と乗るとは思えんがなあ。」
「果報は寝て待てじゃ。じゃあ、チケットの問合せしといてね。ではまたいずれ、ジュバッとな。」
「人を敬い他人に頼らず・・・・・・・悪党同士を闘わせるのが真の知恵者だと、用心棒マニュアルにも書いてありましてよ、お姐さま。オホホホホホホホ。」
「そんじゃあ、経済封鎖したまんまで気長に待つとすっかなあ、愚妹もも子よ。」
「お姐さま、朗報がありますのよ。わらわが考案したエロイのお馬さんが完成間近ですの、ホホホホ。」
さあ、大変なことになってしまいました。嫌われ者の魔人くんはオホホホ♪三大財閥から総攻撃を受ける運命を背負ってしまったのです。
因業寺閻魔様が提唱した条約の先にある深謀遠慮とは一体何なのでしょうか。
そして、もも子さんが開発を推進したというエロイのお馬さんの正体とは・・・・・・・・・・・
to be continued.