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すてぃーるわーるど  作者: 流海 灯


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怪盗サティラちゃん参上! 

 入学式が始まるまではまだ少し時間がある。フィリアと自己紹介をした後、続けてフィリアが話し出した。



「ところでリーゼはこの学園に眠るお宝について知ってる?」



 学園に眠るお宝、この学園にあるものは私にとっては全部宝と言っていいほど高価な物ばかりだけど。



「なんでもそのお宝がこの入学式でお披露目されるらしいんだよね、楽しみだな〜」


「そのお宝?っていうのはどういうものなの?」



 この学園の中でもお宝と呼ばれる様な物。きっと凄いものなんだろう。



「ふっふっふ、やっぱり気になる?リーゼは素質がありそうだね、ボクと一緒に怪盗…じゃなくてトレジャーハンターやる?」



 嬉しそうに誘われたけどちょっとトレジャーハンターは進路にないかな。……今怪盗って言わなかった?気の所為かな。



「そっかー残念。それでお宝なんだけどね、なんでも入学式の中で新入生代表が学園長に渡す『黄金の羽根付ペンギン像』があるらしんだよね。それがお宝ってわけ。」



 なんか凄くシュールな感じの物を渡すんだね、この学園の入学式。いや黄金の部分だけなら凄くこの学園っぽいんだけど羽根付ペンギン像って何?それを作った人は何を思ってペンギンに羽根を付けたの?そして何で黄金で作っちゃったの?


 芸術って難しいな……



「まあその儀式の意味は『黄金の像、つまり金銭や地位に縛られずに学ぶ』って言う決意表明みたいな?そういう意味らしいよ。」



 なる程、キチンとした意味があるんだ。それなら確かにちゃんと入学式っぽいかも。



「まあでも所詮建前だよねー。地位や金銭が学園内に影響を及ばさない訳無いでしょ。」



 そうかも知れないけど、お願いだからこのそこそこ人の集まってきたホールでは言わないで欲しい。偉い人に聞かれたらなんて言われるか。



ーーーーーーーーーー



 フィリアとの会話もそこそこに、入学式が始まる時間になった。と、言っても新入生にやることはほぼ無いと言っていい。名前を呼ばれたら返事をして立ち上がる、とかだけ。新入生の代表は他にも色々とお仕事があるみたいだけど、代表なんて一般人の私では絶対なれないから関係ない。


『イシス・ナイトヴェール』


 新入生代表にして、田舎出身の私でも聞いたことがあるくらい名家、ナイトヴェール家の娘。家柄もさることながら、本人の能力、容姿ともに並ぶものはいないとまで称される方。

 今も壇上に上がる姿は凛とした一輪の花の様。棚引く黒髪は同じ女の私ですら見惚れてしまう。



「………私たちはこの学園で学び合い、高め合うことを誓います。」



 ぼーっと聞いていたら、殆ど内容は入ってこなかった。何を隠そう私はイシス様のファンなので、美しい声に聞き惚れてしまうのは仕方ないと思う。イシス様はセイレーン、その声は万物を魅了するのだ。




 そしてイシス様の出番が終わると、次は生徒会長の番だ。

 貴族などの数多の天上人が通うこの学園で、頂点を務める生徒会長が姿を見せる。壇上に上がったその人物を見て、思わず声が出そうになった。



「新入生の皆さん、ようこそ『ヴァルヘイム学園』へ。緊張している皆さんを見ていると私が入学した時を思い出します。…………」



 話し始めた生徒会長は今日、ぶつかりそうになった私を助けてくれたあの綺麗な男性だった。先程のイシス様とは別ベクトルの美しさ。女子生徒は皆頬を赤くして憧れの眼差しを向けている。


 でも生徒会長を務めるほどの人なのに、見たことが無い。私が世間知らずなだけなのか、もしかすると他国の方なのかな?

 この学園にはこの国だけでなく、他国からも多くの留学生がいて、一種の国際交流の場になっている。

 だから私が知らないだけで、有名な方なのかもしれない。因みにイシス様はこの国の貴族だ。



「続いて預冠の儀です。新入生の皆様はご起立ください。」 



 生徒会長の挨拶が終わると、司会からの号令がかかり、それに従い立ち上がる。


 預冠の儀、さっきフィリアが言っていた黄金の羽根付ペンギン像を渡すやつかな?

 壇上は最前列とは言え少し離れているためあまりよく見えないけど、確かに金色の像をイシス様が持っている。



「私たちは富や地位に振り回されず、何者も平等に全力で学ぶことを宣言致します。その証しとして、これをお受け取りください。」



 イシス様が高らかに宣言すると、学園長に手に持った像を渡す。


 しかしその瞬間、突然ホール内が暗闇に包まれた。ここには遮光カーテンがあるため、明かりが消えるだけで、殆ど見えなくなってしまった。



(演出?いや、それにしては先生方も困惑してる。一体何が起きてるの?)



 静間に帰ったホールの中で、何処か幼さを感じさせるような高い声が響き渡る。



美少女怪盗「ちょっと何このタイトル詐欺!『美少女怪盗参上!』とか書きながらぶった切られたんですけど!?」

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