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すてぃーるわーるど  作者: 流海 灯


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13/17

銀星の持つ意味 

 今日の講義はオリエンテーションといった感じで、基本的に先生方の自己紹介と今後どんなことを学んでいくかの説明で終わった。


 この学園では必修科目の他に、いくつかの科目から自身の希望する物を受講できる選択科目が存在する。アレニエ先生からその説明があり、選択科目をどれにするか考えておいて欲しいとのことだった。   

 リーゼは帰り支度を進めながら、それぞれの選択科目を思い返し、どれにするかを悩んでいた。


 ふと、こちらに向かって真っすぐ歩いてくる人物が目に入る。心無しか少し険のある表情だ。



「リーゼさん、でしたわね?その銀星について少しお話を聞かせて貰いたいですわ。一体どんな手段で手に入れたのかしら?」



 早速厄介事の匂いがするけど早い、早すぎるよ……さっきこの銀星について話していたばかりなのに一日と経たずに絡まれるとは。



「それは生半可なことじゃ貰えないはずっす、はっ!まさか盗んだんじゃ!?」



 最初に話しかけてきた人の後ろにくっついていた小柄な女の子がとんでもないことを言い始めた。



「そんな訳がないでしょう。これを持っている人物は限られていますわ、もし盗んだのであれば今頃無事で居られるはずありませんわ。無礼な事を言うのはお辞めなさい。」



 フィリアじゃないんだからこのまま窃盗犯にされたらたまったもんじゃないと思ったけど、幸いもう片方が諫めてくれた。



「確かにそうっす!疑ってしまって申し訳ないっす。」


「いやそれは大丈夫だけど…」



 小柄な子は諌められてすぐに謝ってくれたけど、随分個性的な子に絡まれてしまった。


 二人組の内、最初に声をかけてきた方は私と同じくらいの背丈で、耳が長く尖っているからたぶん妖精族。もう一人のフィリアと同じくらい小柄な方は髪が葉っぱだから樹人族かな?


 私の故郷には人間族しか居なかったけど、本で読んだり、行商人に話を聞いたりして他の種族の話はたくさん知っている。その知識に当てはめればおそらく合っていると思う。



「申し訳ありませんわ、この子はちょっと深く考えず発言することがありますから。先程自己紹介の時に身に着けているが見えてつい気になってしまって。」


「あーうん、大丈夫だよ。これが特別な物って言うのはさっき聞いたから。むしろ私はこれがどういうものか分からずに着けていたから、傍から見れば気になって当然だよ。」



 何もわかっていない一般人が貴族でさえも一目置くような物を身に着けていたら気になるに決まってる。



「ええ、銀星は特別な意味を持つ物ですから。…それで何故入学したばかりでそのようなものを?」



 どうしよう、気になって当然とは言ったけれど事情は話せないんだよね。ルナに説明したときみたいに分からないで押し通すしかないかな?


 ふと、周りに意識を向ければ他の生徒も気になっているのか、注目が集まっている気がする。このまま誤魔化し続けるのは厳しいかもしれない。さっきも言われたとおり、簡単に貰える物じゃないらしいし、それを持っている本人に心当たりが無いなんて明らかにおかしい。


 返答に困ってしどろもどろしている私に突如、救いの手が差し伸べられた。



「いくらリーゼが平民で銀星を持っているからといって少し踏み込み過ぎでは無いかしら?」



 私を助けてくれたのは、隣にいたルナだった。ルナは目の前の二人だけでなく周りで聞き耳を立てている人たちにも聞こえるように言った。



「気になる気持ちも分かるけれど、これは生徒会長が授与された本人称えるものであって、間違っても周りがそれを疑ったり、見定めたりする物では無いのよ?」



 ルナのその言葉に目の前の二人はハッとした表情を浮かべて、周りの人達も恥ずかしそうに聞き耳を立てるのを辞めて各々が帰りの支度を再開した。



「言動を改めなければならないのは私の方だったようですわね。申し訳ありませんわ、私も実物を目にしたのは初めてで、気が急いて礼を欠いてしまいましたわ。」


「ホントに申し訳ないっす!」


 そう言って頭を下げた。

 二人が去った後に、ルナにお礼を言う。



「庇ってくれてありがとうルナ。その内あるかなって思ってたけど、思った以上にコレは重い意味を持っているんだね。」



 するとルナは笑顔で答えた。



「いいのよ。あの二人も普段ならあんな事はしないのでしょうけど、リーゼの言う通り銀星が重要な意味を持っているが故にでしょうね。ああいう時は立場が無いと中々断りづらいでしょう?それに友達が困っている時に助けるなんて当たり前のことよ。」



 最後の方は少し顔が赤くなっていた気がする。でも『友達だから当然』。そう言って貰えてすっごく嬉しい。



「フィリアさん?貴女は何をしようとしていたのかしら?」



 声がしたほうを二人で見ると、そこには大きなくす玉?を設置しているフィリアとソレを腕を組みながら止めているアレニエ先生が目に入った。


 フィリア……何処に行ったのかと思ったら本当に何をしているの?



「これはリーゼが銀星を授与されたお祝いにくす玉を割ろうかと……」



 そのくす玉なんか水垂れてきてない?



「友人を称えるのは素晴らしい心意気ですが場所を考えなさい。それにこのくす玉、何が入っているのですか?」


「あ!ちょっ、下手にさわったら……」



 アレニエ先生が回収しようと手を伸ばして触れると、くす玉は紐を引いていないのにパカッと開いて、中から大量の水が落ちてきた。


 ザバァー!と水はくす玉の真下に居たアレニエ先生に振りかかる。


 あーあ、と顔を手で覆いながら天を仰ぐフィリアと俯いてプルプル震えているアレニエ先生。



「えーと、サプライズ!……なんちゃって☆」



 キッ!と鋭くフィリアを睨みつけるアレニエ先生。フィリアは舌を出してドッキリ成功、みたいな感じを出したけど、それで許されるならこの世に牢屋は存在しないと思う。




 案の定、本気で怒ったアレニエ先生に糸でぐるぐる巻きにされて、説教されているフィリアを眺めながら皆で帰宅するのであった。



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