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銀河美術館

作者: TOMMY
掲載日:2025/12/15

地球は一瞬にして、粉々に砕け、消えた。

僕は宇宙船の中でそれを見て、言葉を失った。


宇宙旅行が日常になってから、地球は少しずつ遠くなった。

初めて無重力で身体が宙に浮いたとき、僕は笑った。怖さよりも、身体が世界から切り離されたような軽さが楽しかったのだ。

その頃から、地球に「帰る」という感覚は薄れていった。


どこまで広いのか。

その果てに何があるのか。

そして、僕らは何のために生きているのか。


答えのない問いを抱えたまま、僕は個人用宇宙船で宇宙を漂っていた。


その途中で、地球は消えた。


レーダーは沈黙し、星図にあったはずの帰還先は空白になった。

通信は届かず、救助もない。

酸素も食料も、数日で尽きる。


不思議と叫びは出なかった。

僕だけが、生き残ってしまったのだと理解した瞬間から、時間は罰のように流れ始めた。


いっそのこと、みんなと一緒に消えたかった。

僕には、考える時間だけが与えられてしまった。

絶望する時間を。

死を選ぶかどうかを、何度も反芻する時間を。


徐々に酸素が薄くなり、視界が白く滲んでいく。

ここで終わるのだと思った、そのとき。


「……聞いているんだろ。最後の人間」


無線が、唐突にそう囁いた。


「ハビタブルゾーンはこの辺りでいいかな。水は全体の八割。窒素、酸素、二酸化炭素……うん、問題ない」


独り言のような声だった。

僕の存在を確認するでもなく、ただ作業を進めている。


「バックアップを取っておいて正解だった。せっかくみんなで作った作品が全部消えたら、お客様が怒るからね」


心臓が、まだ動いていることを思い出した。

僕は必死に目を凝らす。


「次は壊れないでくれよ。……まあ、多少の誤差は仕方ないか」


宇宙船の丸い窓の向こうに、青があった。

かつて見慣れていた色と、少しだけ違う青。


僕は、その光から目を逸らせずに、溜まった水分をそっと拭った。

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