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解体探偵の日常推理 ~「話しかけるな」と言った解体癖持ち天才少女が、僕を助手にしてデレ散らかすまで~  作者: 卯月八花
【第2章】盗まれたプレミアムソース~犯人分身味~

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第18話 事件発覚

 もちろん、僕はすぐにおこのみ革命さん=成さんにDMした。


 あなたが取っていったと母が言っているのですが、本当ですか? と。

 メッセージを送ってから、僕はリビングのテーブルでスマホを握りしめていた。


 じっと目を瞑って、今回僕に起こったことを整理する。


 母に聞いた、ソースが盗まれたときの概要はこうだ。


 母が昼食の準備をしようと11時半くらいに素麺を茹で始めたら(僕の家は通年で素麺を食べる。にゅうめんにしたり、味噌汁に入れたりする)、おこのみ革命を名乗る女子が家にやって来て、こう言ったというんだ。


「直翔くんにいわれて『百年の滴』を取りに来ました」と。


 百年の滴は僕の部屋で、他のソースと一緒に保管してあった。

 母は僕の部屋に行ってとってこようとしたんだけど、おこのみ革命さんはこう言って止めたという。


「直翔くんに、私が持ってくるようにって頼まれたので。私が見つけますので、部屋に案内してもらえますか」


 って。しかもご丁寧に、僕とのDMのやり取りを見せたそうである。

 それは、僕と彼女が初めてDMしあったときのもので――。僕がソースをとってきてくれと頼んだ直接の証拠とはいいがたいけど、それでも母は、この女子のいうことを信じてしまったんだって。


 で、母はおこのみ革命さんを部屋に案内した。

 それ以降はいうまでもない。


 おこのみ革命さんはまんまとプレミアムソース【百年の滴】をせしめて去って行った、ってわけ。


 でも、ここまで考えればすぐ気付くけど。問題なのは――。


 スマホが震える。成さんからの返信だ。


『知りません。私、直翔さんとずっと一緒にいたから。ソースが盗まれたんですか!? ちょっと待ってください。どういうことですか?』


 やっぱり。自分の推測が正しいことに、こんなときだというのに妙な満足感を得てしまう。


 成さんは犯人じゃない。だって成さんはその時間、僕や柘榴塚さんと一緒にファミレスで楽しく喋ってたんだから。

 成さんにはアリバイがあるってことだ。


 つまり、僕の『百年の滴』は、おこのみ革命を名乗る何者かによって盗まれたってことだ。

 しかも何故だか偽物のおこのみ革命は僕と成さんのDMを持っていた。これは、サイバー犯罪の匂いがする。


「直翔」


 蒼い顔の母が、僕の前にすまなそうにお茶を置いた。


 母は、自分が盗っ人を招き入れてしまったことを悔やんでいた。

 事件が発覚してから、なんどもなんども「ごめんなさい」と謝られた――。


「この人が取りに来たの?」


 とスマホ画面に成さんの写真を表示して問う。というのも、母の記憶だけが頼りだからだ。


 インターホンに記録されたはずの画像はすでに消されていた。母はそういうのをすぐに消してしまう癖があるんだ。

 母は曖昧に頷いた。


「野球帽を――今はキャップっていうのかしら。あれを目深に被ってたからよく分からないけど、でもこの子だったような気がするわ。なんていうか、雰囲気が同じだから」


「てことは、目は見なかったの? この子、かなり特徴的な目をしてるんだけど……」


 母は悲しそうに首を振る。……見てない、ということだ。でも、おこのみ革命さんでないことだけはハッキリしている。

 だってあのショッピングモールのファミレスから家までは、自転車で15分はかかるんだ。行って帰って30分だよ。それだけの時間、成さんは席を外さないといけないのに、成さんはずっと僕たちと話していた。


 水間家との往復できる時間なんて、成さんにはなかったんだ。


「お母さんが警察に電話するわ。だから、部屋に入るのはもうちょっと待ってね。指紋……は手袋してたからとれないだろうけど、他にも証拠品の採取とかあるでしょうから……」


「……待って」


 目の前に置かれた湯飲みに手をかけつつ、僕は母を止めた。


 湯飲みの分厚い飲み口が素直に熱かった。掌を火傷してしまいそうだけど、かえってそれが僕の決意に心地よくて、僕はスマホを置いて湯飲みを両手で包み込んだ。


「警察より先に、知らせたい人がいるんだ」


「え? 誰よ、それ」


 そこで僕ははたと気付いた。

 あ、彼女の連絡先を知らないじゃないか! じゃあ相談は明日になるのか。彼女が現場を調べるだろうから、やっぱり部屋の物にはおいそれとは触れないし。不便だけど、これはこれで楽しいかもしれない。


「僕が懸賞で当てたプレミアムソースだ。僕が思うように使うよ。たとえ盗まれたとしても、それは変わらない……」


 包み込んだ湯飲みを顔の前に持ち上げて、ふーっと一息冷ましてからお茶を飲み込む。喉と手に火傷しそうな温度を感じながら、僕は奮える胸を感じていた。


 出番だよ、僕の名探偵さん。



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