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解体探偵の日常推理 ~「話しかけるな」と言った解体癖持ち天才少女が、僕を助手にしてデレ散らかすまで~  作者: 卯月八花
【第2章】盗まれたプレミアムソース~犯人分身味~

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第14話 ドキワクオフ会デート

 オフ会、当日。


 僕は精一杯のお洒落をして――長袖Tシャツに色の濃いデニムジャケットを羽織った姿で、待ち合わせの映画館前ロビーに来ていた。

 映画館とはいっても巨大ショッピングモールの一フロアに過ぎない場所だ。だけど高級感のあるロビーで、座り心地のいいベンチもあるし、待ち合わせにはちょうどよかった。


 時刻は10時50分。

 ……約束の時間より、ちょっと早めである。


 ロビーではカップルや家族連れが楽しそうに談笑していて、僕はなんだか居心地が悪かった。日曜日の朝って、けっこう映画観に来る人多いんだな。ここでただの待ち合わせをするだなんて、もしかして映画館の迷惑だったかな……。


 ベンチに腰掛けて、なんとなく周りを見る。

 どうしても、『嘘の話しの続きをしよう』のポスターに目が行ってしまった。

 もしかしたらこの映画を柘榴塚さんと観に来ていたかもしれないんだ……。

 ……なんてね。今日はおこのみ革命さんとのオフ会なんだから、そっちを楽しまないと。


 気分を切り替えるために、おこのみ革命さんから送られてきた自撮り画像を表示させて見たりしてみる。

 うん。何度見ても奥深い二重の美人さんだ。こんな美人と実際に会って、しかもするのはソースの話でしょ。ほんと、楽しみだ!


「……あの。ソースレベル100さん、ですか?」


 女性の声が掛けられて、顔を上げると、そこには――写真と同じ、いや写真よりも数倍綺麗な女の子が立っていた。


 僕と同じ中学二年生なはずなのに、写真通りに長いまつげに彩られた二重の瞳が印象的な大人っぽい美人で、知らなければ大学生に見えたかもしれない。


 軽く癖の付いた艶やかな黒髪は、淡いラベンダー色のカーディガンに流れていた。ふわりと広がるグレーのスカートが、彼女のおしとやかで大人っぽい雰囲気に似合っている。


「あ、はい」


 僕はさっと立ち上がる。彼女は僕より少しだけ背が低かった。


「ソースレベル100です。えっと、おこのみ革命さん……?」


 ちなみに『ソースレベル100』っていうのは僕のソースネームね。


「はい」


 彼女は嬉しそうに頷くと、「はじめまして」と頭を下げた。


「本日はお会いできて嬉しいです。よろしくお願いします」


「こちらこそ……。よろしくお願いします、おこのみ革命さん。写真で見て美人だと思ってたけど、実際観たら更に美人で驚きました」


「うふふ、ありがとうございます。でも本名でお願いします」


 彼女はちょっと困ったように眉根を下げる。


「外でそう呼ばれるの、ちょっと恥ずかしいので……」


 確かに、中学生同士が『おこのみ革命』だの『ソースレベル100』だのと呼び合っていたら、なんのごっこ遊びをしているのか、と不思議に思われるかもしれない。


 ちなみに、もう彼女の本名は知っていた。

 実際会う約束をネットでした時点で、すでに名乗りあっているからだ。というのも、僕の家は友達と遊ぶときは友達のフルネームを親に伝えなければならない、という決まりがあるからだ。


「じゃあ、僕のことも水間って呼んでください。あ、直翔(なおと)でもいいですよ」


「それじゃ、私のことは(なる)って呼んでくださいね」


 微笑む彼女――安川成(やすかわなる)さん。

 清楚でおしとやかで……二重瞼の切れ長の目が優しそうな美人さん。

 その目がふと、映画のポスターを見上げた。


「この『恋人ごっこのあるある』って、もう観ました?」


 釣られて僕もポスターを見る。主演の俳優と女優が仲よさげに背中合わせでくっついて微笑むポスターが掲示されていた。


 1ヶ月くらい前から話題になっている青春恋愛ラブストーリーの映画だ。確か、大人気少女漫画を原作にしてるとかなんとか。


「いや、観てないです。観よう観ようとは思ってるんですけど……」


 苦笑しながら僕は言い訳をする。この一ヶ月は忙しかったんだよね。少なくとも、映画を観に行くまとまった時間なんて作れなかった。


「是非是非。もう観たんですけど、よかったですよ。長い原作を2時間って映画の尺に収めるのは無理があるから改変しないといけないっていうのはもちろん分かってるんですけど、でも原作の良さは最大限殺さないで欲しいな、って願望がファンとしてはあったんですけど。でもこの映画は脚本家の方がすごくしっかり原作を読み込んでくれてて。俳優さんたちもキャラクターを深く理解して演じて――」


 そこで彼女はハッとしたように、口元に手を当てた。


「……わ、ごめんなさい。熱弁しちゃった」


 人懐っこく笑う彼女の表情が、これまた上品だ。


「お好きなんですね、原作」


 僕が水を向けると、彼女は本当に嬉しそうに頷いた。


「はい! 大好きです。是非、漫画も読んでみてくださいね。お勧めですよ!」


 二重まぶたのお嬢様っぽい印象とは違う、弾ける笑顔だ。本当に原作の漫画が好きなんだな。


 でも、なんだか意外な気がした。


 おこのみ革命さん――成さんって、ソース以外の話もできる人なのか。ネット上ではいつもソース話しかしてなかったのに。……やっぱり人は見かけによらないものだ。


 というわけで、いつまでも映画館のロビーにいるのは邪魔だろうということで場所を移動し、さっそくファミレスに向かうことになったんだけど。


 僕は知らなかった――和やかに話し合う僕たちを、案外近くからじっと見つめる視線があることを。



お読みいただきありがとうございます!

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