獨行
誰にも見つからないように
声を殺して泣いた
胸の奥が軋んだ
君が残した言葉たちは
今も壁に滲んでる
「ごめんね」も「ありがとう」も
どこにも届かないまま
冷えた手をさすりながら
昨日の夢を反芻する
誰かの幸せを願うほど
自分が空っぽになる気がして
悲しい
灯らない火で
辺りを照らせることができるか
試してみる
通り雨に打たれながら
名前も呼べずに
下を向く
あの日の僕らは
何を信じていたんだろう
手を伸ばせば届くと
本気で思ってた
今なら言えるよ
「失くしたものが、僕を作った」って
君がいなくても
歩いていけるって
でも
できるなら
もう一度だけ
君の声で
「もう十分だよ」って言ってほしい
誰にも見つからないように
涙を隠して歩いた
靴底が擦り切れても
灯らない火で
それでも
僕は僕を赦していくしかない




