第3話:鉄拳の終幕
ガレリア学園の体育館は、熱狂の波に焦がされていた。
中央のボクシングリングは、汗と闘志の残響が漂い、スポットライトが白熱の輝きを投げかける。
観客席を埋める女生徒たちの嘲笑は、まるで猛獣の咆哮。
リング脇の作業服の少年たちは、肩を縮こませ、屈辱と恐怖に震えていた。
ケインはリングサイドの柵にドカッと寄りかかり、拳をギュッと握り締めた。
「ふざけんなよ! こんなハンデ、ブッ飛んでるだろ!」
アーサーvsエレナのボクシング対決。
しかし、その中身は完全女子有利の非道なルールだった。
アーサーの両足首、両太ももにそれぞれ5kgの重り、そして背中には10kgの重りを背負う。
合計30kgの重りのハンデだ。
「だが…アーサー・マキシム・・・アイツなら、絶対エレナのデカい口をぶち壊してくれると信じよう。」
観客席の女生徒たちは、キャーキャー騒ぎながら毒を吐く。
「転入生、超ムカつく!」
「エレナ様のパンチで秒殺よ!」目がギラギラ、嫉妬と期待でキラキラだ。
リングの青コーナーに、エレナが生徒会長としてドヤッと仁王立ち。
黒のボクシンググローブ、赤いショーツ、ピカピカのシューズ。
彼女こそ学園一のボクサー、走力もパンチもスピードも一級品だと自負する。
しかし、心の中では前日の仲間の負けがグサグサ刺さっていた。
「あのクソ男…あたしのプライド、ズタズタにした! 絶対に許さないわ!」
彼女の標榜する平等の精神。男女平等の生徒会・・・そんなのは口だけ、今の頭の中はアーサーをリングに叩き込むことだけだ。
「このリングで、男をゴミみたいに沈めてやる!」
赤コーナー脇に、リディアがガン飛ばして突っ立ってる。エレナの忠犬。
「エレナ様を舐めんな、クソ野郎! リングで血反吐吐かせてやる!」
悪徳女教師は憎しみが抑えきれない。
レフェリーのミラがリング中央にスッと立つ。黒白のユニフォームだ。
観客席がシーンって静まる。ドスドスって足音が響き、アーサー・マキシムがリングに上がる。
赤いグローブ、黒のショーツ、使い込まれたシューズ。足首と太ももに5kgの重り、背中に10kgの鉄板、合計30kgのハンデ。
グローブで両手ガッチリ、しかしリングに立つだけで空気がビリッと張り詰める。まるで嵐を呼び込む雷の脈動みたいな存在感。
「しょぼいリングだな。」アーサー、声低くてニヤリ。
「お前のグローブ、それ拳なのか?鼻くその間違いだろ?」
男子観客席、ドカッと沸く。ケイン、柵バンバン叩いて叫ぶ。
「うおお! アーサー、口からバズーカ撃ってんじゃねえ! 」
体育館の隅、優美が優雅にリングを見上げる。可愛らしい制服、扇子をサラサラ動かす姿、ロングヘアに豊満なボディは彼女の魅力を一層引き立たせている。
「アーサー様の佇まい、まるで神話の英雄…! ああ、なんて素敵…!」扇子握る手、キュッと力入る。「貴方様の拳、希望の光ですわ!」
エレナ、青コーナーでグローブバチッと叩く。
「ふん、転入生! あたしの拳でマットに這う準備できてんの!?」
「このリング、ホンモノだけが立つ場所! あたしみたいな天才ボクサーのために!」取り巻きにウィンク。
アーサー、チラッとエレナ睨んでニヤリ。
「お前のプライド?ハンデもらってな。それでもリングで砕け散るぜ。」
エレナ、顔がピキッと引きつる。
「何!? あたしの拳、舐めてんの!? コイツ、リングで泣かす!やけんモテんと思う!!」
ミラ、リング中央でバッと手を上げる。「試合開始! 12ラウンド、フリーノックダウン制! 」
リディア、観客席でガンガン吠える。「やっちゃえ、エレナ様! 男なんて一発でぶっ倒せ!」
ケインはリングサイドで拳振り上げる。
「ふざけんな! 30kgの重り!? こんな試合、クソくらえ! けど、アーサー、やってくれ!」
ケインの心の中は屈辱と期待がバチバチしているのだった。
ゴング! カーン!
エレナ、ニヤニヤしながら左右のジャブをバンバン!
常識以上の重いグローブ、ズシン! ってリングに響く。
アーサー、両腕でガッチリガード。ドン! 衝撃でグローブがビリビリ。
エレナの拳、なんかおかしい重さ。
そしてアーサーは瞬時にピンとくる。「鉛か。」口元、ニヤッと笑みが広がる。
エレナの心はドヤ全開。「気づいた!? 遅えよ!」リングでガッと吼える。
「あたしの拳はそれぞれ2kgの鉛入り! 特別ルールよ! 75%抑制された男が、あたしに勝てるワケねえ! マットに這え!」左フック、右ストレート、ガンガン飛んでくる。
「コイツの顔、ボコボコにしてやる! あたしの拳でプライドズタズタ!」
エレナはそう思いながらのラッシュ!!
だがアーサーはリングのど真ん中、ピクリとも動かない。
身体をチラッと揺らすだけでエレナの拳がスッポリ空振り。
左ジャブ、首をスッと傾けてスカッ。右フック、肩をクイッと下げてスルッ。ガードするとき、グローブでバチッと弾く。エレナのパンチはまるでオモチャのようだった・・・。
ケインは観客席でガンガン飛び跳ねる。
「うおお! アーサーの防御、ガチで神! エレナの拳、まるで当たらねえ!」
「30kg背負ってこの動き!? アイツ、ガチでヤバい!」
エレナは心の中でブチギレる。「何!? なんで当たんねえ!? あたしの拳、完璧なのに!」
「ふざけんな! 避けてばっかで、男のくせにダセえ!」焦ってボディ狙いの左フック、ドン! アーサー、グローブでサッと軌道逸らすパーリング。
エレナの拳、ズシャア! って空切る。右ストレート、腰をクイッと捻ってスルッと回避。
優美「アーサー様の舞、まるで神技ですわ♪」
「この流麗な動き、エレナ様の拳を戯れのように…! ああ、貴方様に心が奪われます!」
ミラはリングでジッと睨む。
「彼の動き、最小限で最大の効果。スタミナ消費、ほぼゼロ。エレナ、鉛の負荷で…。」
心の中ではエレナを応援している様子だ。
そしてエレナの様子に変化が。
汗、ポタポタ。呼吸、ハアハア・・・。
1分過ぎ、エレナのグローブは重さを増してきた。鉛2kg、ジワジワ効いて腕がプルプルしてきた。
大量の汗をダラダラかき。
息は大きく乱れゼエゼエと音が聞こえる。
「くそ…なんで…!」
「なんでコイツ、こんな余裕!? あたしの拳、絶対当ててやる!」
怒りで頭真っ赤、渾身の右フックをブンッ! 大振りの一撃を強くリングを踏み込み狙う!!!
その瞬間、アーサーは膝をグッと曲げてスッとしゃがむ。
195cmの大男が一瞬その場から消える様にみえる・・・!!
エレナのフックは空を切り頭の上をズシャア!
そして アーサーの右ボディアッパー、エレナの腹にズドン!
その瞬間!リングはギシッと軋む!!!
強烈な一撃で身体は浮かび
エレナ、目ん玉飛び出し、涎と涙がブシャッ! 「グハッ!」って声、壊れた笛のようだ。
膝はガクガク、リングに激しくドサッ!っとした音と共に這いつくばり、 腹押さえて、顔真っ赤でゴロゴロのたうち回る・・・!!
「あ”っ・・え”っ・・!!!」
凍りつく観客席。
ケイン、柵バンバン叩く。「うおお! アーサーの拳、エレナの腹をぶち抜いたぁ! ヤバすぎだろ!」
「あのハンデでこの威力!? アイツ、神だ!」
エレナの心の中は大パニック!!
「うそ…! 腹…! こんな痛え…!? あたしのプライド…!」涎まみれ、リングで呻く。
身体、ビクビク震えて、顔グチャグチャに・・・。
ミラは冷静を装い仕方なくカウント始める。「1、2、3…!」
エレナは立ち上がれない
このままではエレナが一撃で敗北するというあり得ない事態になってしまう為
カウント9でエレナの腕グイッと引っ張り、ムリヤリ立たせる。
「試合続行!」
ミラは叫ぶ!!
心の中でミラがつぶやく
「エレナ様の敗北、認められない…!」
女生徒達、ブーイングと拍手がグチャグチャだ。
エレナ、フラフラでグローブを上げる。
「まだ…あたしの…拳…!」足ヨロヨロ、目ボヤボヤでギリギリで保っている状態だ。
エレナ、意地だけで右ストレート、ブンッ!
「私はこの学園の頂点!!!」
だが、アーサーは表情一つ変えず、同時にもっと鋭いストレートを放つ!!
ドン!!!
バキッ! エレナのグローブ、グニャッと跳ね上がる。
エレナのストレートを迎撃するように、アーサーの拳がエレナの拳と正面衝突したのだ。
その結果、2kgの重量を加算したエレナ渾身のパンチはアーサーのパンチに競り負けはじけ飛んだ!!
そしてもう一つの拳でとんでもない一撃を繰り出すアーサー!!
エレナの顔面にズドン!
グワァシャァアアッ!!!!
あまりの踏み込みの強さにリングはガタッと揺れる。
エレナ、まるで大砲の弾の様にリング外へ飛び出し、場外マットにドカン! バウンドして、グシャッと崩れ落ちる。
それはいらなくなった人形を子供が投げ捨てるかのように凄惨で悲惨な姿だった。
エレナは目をひん剥いたままピクピク。
涎と涙で顔ドロドロ・・・。
静まり返る会場、その中でエレナの下腹部で液体が流れる音が静かに聞こえてくる。
ショーツのシミ、スポットライトでバッチリ照らされて失禁丸見え。
女生徒達は口ポカンで動けない。
「ぅ・・・・うぉおおおおっ!!!!」
男性生徒、ドカンと爆発する歓声で体育館を揺らす。
ケイン、柵蹴ってガンガン叫ぶ。
「場外KO! エレナ、完膚なきまでぶっ飛んだ! アーサー、てめえの拳バケモンだぜ!」
「ハンデを全部ぶち壊した! 男の誇り、ガッチリ取り戻したぜ!」
ミラは顔真っ青でガクガク。
あまりの衝撃的な結末に気が動転している。
「私は・・・10カウントを数えないわ。だってリングの上に立っていないから!!!」
「10カウントなし! 試合無効!」リングからサッと降りて、逃げるみたいにその場を去る。
女生徒達とリディアがタオルをもってエレナの元に駆け寄る!!
「え・・・エレナ様ぁー!!!!」
その姿を後目にしながら、ミラはつぶやく
「こんな結果…秩序が崩れる…!」
リング上で無様な女達の姿と、喜ぶ男子生徒達を見下ろしているアーサーの元に優美がトコトコと駆け寄り、扇子パッと開き、アーサーの腕をグイッと掲げる。
「アーサー様こそ真の覇者ですわ♪ 王者の輝き、まさに神話ですわ!」
「ああ、貴方様の拳、女尊の鎖を粉々に! 私の心、貴方様に捧げます!」
優美の瞳はキラッキラと輝いている。
そしてエレナはリング脇で担架にゴロリ。
媚びを売る取り巻き以外は白状な女生徒らしく、チラチラ遠巻きで誰も近づかない。
エレナの意識がボンヤリ戻る・・・。
心の中「うそ…あたしのプライド…! こんな屈辱…! コイツに…!」涎と涙、顔はベトベトに。
ショーツのシミはライトでギラギラ照らされて、屈辱MAX。
彼女の「男は劣る」信念はリングのマットにグチャグチャに踏み潰された。女生徒席からののヒソヒソ、「エレナ様、ダサ…」「近づかねえ方が…」って声が耳にチクチク刺さる。
エレナは心の中でつぶやく「みんなくそくらえ…! 絶対復讐してやるからな…!」
リディアはリングサイドで拳ガンガン振り回す。
「エレナ様…! このクソ野郎、血で償わせる!」
「エレナ様の屈辱、全部コイツのせい! 次でぶっ殺す!」顔は憎しみで真っ赤だ。
アーサーはリング中央でグローブ外す。汗一つかいていない。
観客席の男子生徒達は拳突き上げて「アーサー! アーサー!」の大合唱。
ケイン、リングにガバッと飛び込む。
「お前、すっげえ! エレナのデカい口、拳でガッチリ黙らせたぜ!」
「コイツと一緒なら、このクソ学園ぶっ壊せる!」
優美、扇子で口元サッと隠してクスクス。「アーサー様、この勝利は男の希望の第一歩ですわ♪」
「ああ、貴方様の背中、まるで世界を切り開く剣…! 私の全てを貴方様に…!」
体育館、熱狂と混乱でグチャグチャな状態に。女生徒の半分はボーゼン、半分はコソコソ噂話。
男たちはリングに殺到、アーサーを胴上げしようと大騒ぎ。
エレナの担架、取り巻きが慌てて運ぶけど、誰も目合わさず。
リングのマット、エレナの涎と汗のシミが彼女のプライドの残骸みたいに残ってるのだ。
その日の夕方、学園のカフェは男たちの笑い声でバッチリ盛り上がっていた。
木のテーブル、ジョッキとピザでギッシリ。ケインはでっかい声でゲラゲラ。
「アーサー、てめえの拳、マジバケモン! エレナなんて場外でピクピクしてたぜ! あのシミ、ガチでヤバかったな!」「今日のコイツ、ヒーローだろ! 男の誇り、ガッツリ取り戻した!」
アーサーはコーヒーをグビッと飲んでニヤリ。
「まだウォームアップにもなりゃしねぇ。」
声は落ち着いてるが、なんかデカい野望がチラッと匂う。リングでの余裕、そのまんまだ。
優美が隣で紅茶チビチビ、優雅に微笑む。
「アーサー様、今日の勝利は歴史の幕開けですわ♪ 男の希望、この学園にバッチリ灯してくださいました!」「ああ、貴方様の拳、まるで星を掴む力…! 私の心、貴方様に永遠に…!」
リディアは遠くのテーブルで取り巻きとガヤガヤ。目はギラギラでコップ握り潰しそう。
「エレナ様の屈辱…コイツのせいだ! 次で地獄見せてやる!」心の中は復讐の炎がほとばしる。
その時バン! ってカフェのドアがぶち開く。
エレナの従者、黒いパンツスタイルの短髪の女がズカズカ入ってくる。
顔は青ざめてるけど目がギンギンだ。
「転入生! エレナ様からの挑戦だ! 次はプロレスで勝負よ!」の大声。体育館まで響きそう。
ケイン、ピザパクついたままニヤニヤ。
「ハハ! エレナ、まだ懲りねえ!? アーサー、ブッ潰してやれよ!」心の中、「プロレス!? コイツなら絶対ブチ勝つぜ!」
従者がなおも口を開く
「3人vs3人で勝負。アーサー。貴様の他にあと2名、代表を選出しなさい。」
そういうとその場を去る。
ケインは驚いて
「・・・え?アーサーだけじゃないのか?俺たちの誰かも女子と闘う?3vs3なら、アーサーが勝ったとしても、他の2人が負けたら、俺たちの負けじゃねぇか・・・。」
アーサーはカップをカチッと置く。ゆっくり立ち上がり、去っていく従者にチラッと目線。
「いいぜ。俺以外でも男が強い事を示せるぜ。」声、低くてゾクッとする。
カフェの空気、ピリッと引き締まる。
物語は新たな幕がガッチリ開いた。