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おとな

作者: 須藤ゆうき


 いくつになっても、大人にはなりたくないと僕は思っていた。

 大人は変だ。なんだか、周りの人に絵を見せているみたいな喋り方をする。これを見て、綺麗でしょ、スゴいでしょ、面白いでしょ、と。まるで僕たちのことを監視している神様にアピールしているようだった。もしかしたら、僕が毎日ご飯を食べてお風呂に入れているのは、神様からの褒美を授かっているからかもしれないと、僕は思った。でも変だった。わからないから、変だった。


 中学生になったとき、この違和感の正体が分かった。

 あれは本当に神様にアピールしていたんだ。世間、倫理、道徳。様々な言葉で形にされては、また形を変えて僕たちに届いていく。みんな、何故かそれを大事にして、大事にしない人は嫌いになる。嫌いになった人は暗くなって、大事にした人を笑顔にしていく。僕がそうなったときに、頭の上からつま先を稲妻が走ったようだった。つまりは、みんな気持ちよくなりたかったみたいだ。


 僕は何も知らない子供のときを思い返した。世の中は危ないものばかりだ。だからお父さんとお母さんがうるさくなるし、いまでも静かにはならない。いつか静かになればいいのにと思うけど、二人のことは大事だと思う。だからちょっとぐらいは、うるさくても良いよ。


 あとは周りの同級生たちだ。彼らは静かにならない。うるさいことが、良いことだと思っている。実際にそういう人に人が集まっていく。みんなばらばらになったら、どうやって生きていくのだろうと考えてしまうほどにだ。


 僕の身の回りのことだけでもうるさいのに、世界になるとうるさいでは済まない。多分、一秒も静かにならない。

 お願いだから、静かにして。

 それ以上、僕が欲しいものはなにもない。

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