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黄金の魔術  作者: 木山碧人
第五章 ドイツ

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第42話 世界一美しい世界

挿絵(By みてみん)




 ドイツ。ミュンヘン。ニンフェンブルク城。


 その離れに位置する場所。アマリエンブルク荘。


 一面ガラス張りの部屋で、しゃがれた声が響き渡る。


「鏡よ鏡よ鏡さん。世界一美しい世界へと誘い給え」


 声の主である老婆が触れているのは、一枚の大きな鏡。


 詠唱を終えると、鏡には水の波紋のようなものが走っていく。


 見え方は特に変わってない。それなのに、深さと、奥行きを感じた。


 不気味で嫌な感じもあったけど、今はそんな些細な事、気にしていられない。


(結社は、俺が潰す)


 ジェノは、そう思考しながら、鏡の前に立つ。


 迷いも不安もなかった。あるのは、目的と大義だけ。


 結社は異世界人の血族を差別しているのが、前回分かった。


 そんな組織を野放しにはできない。決して、他人事じゃないしね。


「詳しいルールは入ってから、もう一人のあなたに聞けばいいですか?」


 思惑は口には出さず、ジェノは老婆に確認する。


 鏡の中には鏡面世界があって、鬼ごっこをするらしい。


 しかも、相手は、鏡面世界の老婆という話。それの確認だった。


「察しがいいねぇ。あぁ、そうだよぉ。中のローラによろしく言っといてぇ」

 

 この老婆と、同一同名なのかは分からない。


 ただ、中にいる人はローラで間違いないだろう。


 それだけ分かれば、十分だ。後は鏡の中に入るだけ。


 そう思いながら、ジェノは慎重に鏡へ手を伸ばしていく。


「ご武運をお祈りしています」


 その背中にかけられるのは、かしこまった声。


 振り返るまでもない。後ろにはセレーナがいるはずだ。


「……もし、俺に何かあったら、後のことは頼みますね」


 万が一のことを考え、ジェノは心情を伝える。


 負ければ、監禁。鏡の中から、出られなくなる。


 だけど、後は託したし、きっとなるようになるさ。


 楽観的に状況を受け止めて、鏡の中に手を伸ばした。


 ◇◇◇


 鏡の中から手を出し、ジェノは足を地面につける。


 恐る恐る辺りを見渡すと、そこは見覚えのある場所だった。


「ここって、同じ場所……?」


 鏡面世界。ドイツ。ミュンヘン。アマリエンブルク荘。


 鏡の中にあったのは、前にいた場所とほぼ同じ空間だった。


 違いといえば、元々いた場所と、左右が逆になっているぐらいだ。


「いや、当たり前か。鏡に映ってた場所なんだし」


 自問自答をして、疑問を自己解決する。


 事前に聞いておくべき情報は全て聞いている。


 今さら焦って、深読みする必要はどこにもなかった。

 

「それより、ローラさんって人を探さないと……」


 特に迷う必要もなく、足を踏み込んで、探索を始めようとする。


「ローラさんなら、ここにいるよぉ」


 そこで、後ろから声が聞こえてくる。


 覚えのある口調から、すぐに分かった。


 背後には目的の人物が立っているはずだ。


(変だな……。喋り方は同じなのに、なんか色っぽく感じる……)


 ただ、声がしゃがれていない。


 大人びて艶があるような声だった。


(気にしても仕方ないか。すぐに話を進めないと)


 違和感を感じつつも、ジェノは後ろを振り返る。


「……え?」


 しかし、そこに立っていたのは、まるで別人だった。


 紫色のとんがり帽子に、紫色のローブに、紫色の髪。


 ここまでは元の世界と変わらない。問題は他にある。


「どぉ? 世界一美しい世界のワタシは、世界一美しいでしょぉ?」


 細い足に、スラっとした体に、衣装映えする高身長。


 顔には皺ひとつなく、髪は長く、毛先はくるんと丸い。


 頬には人差し指を当てていて、美貌をアピールしている。


 胸板は薄かったけど、確かな美魔女がそこには立っていた。

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