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黄金の魔術  作者: 木山碧人
第五章 ドイツ

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第39話 足掛かり

挿絵(By みてみん)




 『ホフブロイハウス』一階。テーブル席。


 周りにいる客からは、ざわざわとした声が聞こえる。


 そんな客たちをかき分けて現れたのは、ジェノとアンナだった。


「……三階の計数は0。以上が今回の結果です」 


 テーブル席にたどり着いたジェノは報告する。


 手には計数器を持っていて、数字は0を示している。


 顔は青ざめていて、右拳は腫れ上がっているように見えた。


(期待通り、いえ、これは、期待以上の成果……)


 その姿を、セレーナはただ見つめていた。


 褒め称えたいところだけど、今はできない。

 

 だって、結果はまだ確定していないんだから。


「アンナ……。今の発言に、間違いはないか?」


 場には、緊張感が張り詰めている。


 そんな中、リアは侍女のアンナに確認を取る。


「間違いございません。敵の道具使用により、三階の床は分解。二階部分と繋がってしまったため、計数不能。よって、計数は0。予想を的中させた相手方の勝利となり、一、二回目が引き分けだったリア様の敗北は、確定しました」


 自らの肩を抱き、悔しがりながらも、アンナは務めを果たす。


 その手には、0を示す計数器が握られ、敵味方の報告が出揃った形。


 これでようやく決まった。短いようで長く感じた、人数えゲームの決着。


「吾輩の負けか……」


 肩を落としたリアは、敗北を甘んじて受け入れている。


 向こうが条件を決めた以上、抗議する展開も考えにくい。


「では、約束通り、魔術結社『イリーガル』の情報提供にご協力願えますか?」


 だからこそ、堂々と条件を突き出してやった。


 勝者の特権。次のステージに進むための足掛かり。


 魔術結社『イリーガル』の打倒。そのための一歩だった。


 ◇◇◇

 

 ドイツ。ミュンヘン。???。


 薄暗い部屋には、三人の人影があった。


 中央に円卓があり、それぞれが席に腰かけている。


「ヒッヒッヒ。どうやら、リアがよそ者の手に落ちたようだねぇ」


 最初に声を出したのは、しゃがれた声の老婆。


 紫色のとんがり帽子に紫色のローブ服を着ている。


 水晶玉に映る『ホフブロイハウス』を見て、語っている。


「だから、劣悪種は信用ならないのよ。入団の時に弾いていれば」


 次に声を出したのは、金髪を長い三つ編みにした少女。


 黒のロングドレスに、赤い星型の髪留めを身につけている。


 手には二本のフラスコを持っていて、液体を混ぜ合わせていた。


「運命の輪の正位置。状況の好転の意。我々の計画に支障はない」


 タロットカードをめくるのは、長身の男。


 灰色のローブ服に、白黒の仮面を被り、声は低い。

 

 そんな男の言葉により、集会は密かに終わりを迎えていった。

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