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美人に転生って言ったよね!  作者: バーチ君
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いざ! 王都ビザンツの大聖堂へ!

 僕達一家は王都のおじい様の屋敷に来た。おじい様はこの国の侯爵だ。そこでいろいろな話をした後、子ども達と母様達が先に食事をした。食後、僕はリーナの部屋で遊ぶことになった。何故かそこにエリス姉様とアンドリもついてきた。



「やっぱりお前達はお子ちゃまだな。おままごとだなんて。」


「兄上! 意地悪言うなら出て行ってちょうだい!」


「ルカ! 男同士、あっちに行って遊ぼうぜ!」



 僕が困っているとリーナが今にも泣きそうな顔で僕を見てきた。



「アンドリ兄様。僕、リーナと遊びます。」


「そうか。ならいい。」



 アンドリは部屋から出て行ってしまった。その後、リーナが小物をいろいろと用意し始めた。



「ルカ君は王子様役ね。私はお姫様の役。エリス姉様は魔女役でいいわよね。」



 すると、姉様が真っ赤な顔で反論した。



「どうして私が魔女なのよ!」



 すると、再びリーナが泣きそうな顔になった。姉様も困ったような顔をしている。



「いいわ。私が魔女役やるから。」



 リーナの考えたストーリーはこうだ。お城の姫様が魔女に眠らされる。そこに王子様が現れ、悪い魔女を討伐して、最後は姫様と結婚して幸せになるのだ。



“これって、地球の白雪姫と同じじゃないか?”



「リーナが考えたの?」


「違うよ。このご本に書いてあったの。」



 リーナが取り出した本を見ると『正義の王子』と書いてあった。リーナが飽きるまでしばらく遊んだ後、お風呂の時間だ。アンドリが僕を呼びに来た。



「ルカ! 一緒にお風呂に入ろうぜ!」



 姉様の裸を見ても何も思わないのに、僕は未だに自分の身体もまともに見られない。ものすごい羞恥心なのだ。そんな僕がアンドリと一緒にお風呂に入れるわけがない。



“困ったな~! どうしようかな~?”



 僕が悩んでいるとアンドリが僕の手を引いて風呂場に引っ張っていく。



“仕方ないな~。なるべく見ないようにしよう。”



 僕はもじもじしながら服を脱ぐ。地球にいた時にさえ、裸を男子に見られたことなどないのだ。絶体絶命の危機だ。僕は胸から下にタオルを巻いて浴室に入った。



「ルカ! お前、その恰好はなんだ? 母様の真似か? アッハッハッ」


「なんか恥ずかしくて!」


「男同士で恥ずかしいも何もないだろ!」



 アンドリが僕のタオルを外そうと引っ張った。不意を突かれた僕はタオルを奪い取られてしまった。思わず僕は体を隠してしゃがみこんだ。



「キャー」


「ルカ! お前何か変だぞ! 以前のルカなら俺が止めても浴槽に飛び込んでたじゃないか! どうしたんだ? まるで女の子だな!」



“まずい。どうしよう? ———— もう、なるようになれ!”



「アンドリ兄様。どうでしたか? エリス姉様の真似をしました。似ていましたか?」


「な~んだ。そういうことか! でも、エリスはいつもそんな感じなのか? もっと男っぽいと思ったんだけどな。」


「エリス姉様は女ですよ!」


「それもそうだな。」



 僕は羞恥心を必死に抑えて、なんとかその場を誤魔化した。



 そして翌日、おじい様と一緒に僕達は大聖堂に行くことになった。おじい様も父様も何も言わないが、僕のことを大司教様に聞くためだろう。馬車の中にはおじい様、父様、母様、姉様、アンドリ、リーナ、それに僕がいる。伯父様と伯母様はお留守番だそうだ。


食事の時と同じだ。僕の隣には姉様とリーナが座っている。当然のように左手は姉様と右手はリーナとつながれている。



「父様。大聖堂に何しに行くんですか?」


「ルカ! お前の病気が治ったお礼を言いに行くんだ。」


「それなら、デリーの教会で言いましたよ。」



 すると、おじい様が僕に説明してくれた。



「デリーの教会には女神ウエヌス様の像しかない。大聖堂には7大神の像があるんだ。見てみたいだろう?」



“確かに見てみたい。他にどんな神様がいるんだろう。”



「7大神ってどんな神様なんですか?」


「お前も知っている最高神のウエヌス様、武神マルス様、魔法神マジク様、生命神ユノ様、冥府神プルト様、豊穣神ケレス様、商業神ヘルメス様の7柱だ。」


「いろんな神様がいるんですね。」


「そうだ。」



 おじい様はしばらく考え込んだ。そして、父様と母様に話しかけた。



「チャーリー! この子たちの勉強はどうしているんじゃ?」


「はい。剣術は私が、魔法はメアリーが指導しています。」


「そうか。10歳になったら王立学院に入学させるんじゃろう?」


「そのつもりです。」



 そんな話をしていると、大聖堂の入り口に着いた。僕達は馬車から降りて大聖堂の中に入っていった。すると、いたる所に金の装飾が施されていてキラキラと豪華だ。それに天井にも壁にも巨大な装飾画が描かれている。まるで、西洋の大聖堂のようだ。僕は、思わず見とれてしまった。さらに奥へと進むと『勇者の間』と書かれた部屋があった。



「おじい様。この部屋は?」


「ああ。この世界が強大な力を持った魔王に征服されかかった時に、『勇者』が現れてこの世界を救ったという伝説が残っているんじゃ。見てみい! あの祭壇に祭られている剣こそが、その時使用されたという伝説の剣なのじゃ。」



 僕の目の前には普通の剣ではない。所謂、日本の刀が飾られていた。壁や天井には勇者が魔王と戦っている絵が描かれている。



“地球にも似たような伝説があったし、どの世界にも似たような伝説があるもんだな~。”



 僕達はさらに奥の部屋に行く。今度は部屋の前に『礼拝の間』と書かれていた。そして部屋の前には、真っ白な衣装に身を纏った老人とそのおつきのような人達が3名ほどいた。



「お待ちしていましたぞ。ビスマルク侯爵殿。」


「今日はすまない。パウロ大司教。」


「それで、ルカ殿はどちらですかな?」


「ルカ! 挨拶をしなさい!」


「はい。」



 僕は緊張から手と足が震えている。それでも、父様やおじい様に恥をかかせるわけにはいかない。勇気を振り絞って挨拶をした。



「初めまして。僕はルカ=ウイリアムです。ビスマルク侯爵の孫にして、チャーリー男爵の長男です。本日はよろしくお願いいたします。」



 すると、周りの大人達は驚いて僕を見た。普段、なよなよしてハキハキしていない僕が、子どもらしからぬ挨拶をしたので驚いたのだろう。



「ルカ殿はおいくつですかな?」


「はい。5歳になりました。」


「そうですか。噂には聞いていましたが、ものすごく奇麗なお顔をしておりますな。それに、しっかりとしたご挨拶、素晴らしいですな。」


「ありがとうございます。」


「では、早速礼拝の間に行きましょう。」


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