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美人に転生って言ったよね!  作者: バーチ君
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初めての王都ビザンツ訪問

 剣と魔法の練習を始めたが、僕には魔法が使えなかった。あまりにショックで、僕は一人で部屋にいた。そして、ウエヌス様とのやり取りを思い出した。



“確かウエヌス様は『意味があって男に生まれさせた』『修行しろ』とか言ってたよな? どういう意味なんだろう?”



 いくら考えても答えが出ない。悶々としていたら急にお腹が空いてきた。考えても答えが出ないことに悩んでもしょうがない。魔法が使えないなら、別の方法で頑張ればいいだけだ。



「母様。お腹空いたんだけど。」


「ルカちゃん。もう大丈夫なの?」


「うん。お腹空いた~!」


「はいはい。すぐに用意するわね。」


「僕も手伝うよ。」


「ありがとう。」



 僕はキッチンで母様とターシャと一緒に料理を始めた。母様は生活魔法として火魔法を使っている。僕はそれを横に見ながら、自分にできることをした。すると、姉様もキッチンにやってきた。



「ルカ! もういいの?」


「うん。」


「私も手伝うわ。」



 エリス姉様も一緒になって料理をする。



「ルカって何か女の子みたいね。」


「どうしてさ。」


「だって、服を選ぶ時もそうだけど料理が好きなんて、男の子じゃないみたいだもん。」


「いいじゃない。エリスちゃんもルカちゃんも料理が好きなんて、母様は嬉しいわ。」



 食事の用意ができたので、父様も呼んでみんなで一緒にご飯を食べた。それから数日が過ぎた頃、父様に書斎に呼ばれた。



「明後日、王都のおじい様のところに行くことになった。お前に会いたいそうだ。失礼のないようにしなさい。」


「はい。」



 そして、いよいよ王都のおじい様の屋敷に行く日になった。馬車で2日ほどかかる。以前のように御者はセバスだ。馬車の中に僕と父様、母様、姉様がいる。護衛は特にいない。父様は貴族と言っても男爵だ。護衛を頼むほどのお金はない。それに、いざという時は、元Aランク冒険者の父様と母様の方が普通の冒険者達よりはるかに強いからだ。



「ルカ! 窓からの景色が最高よ。見てみなさいよ。」


「うん。」



 姉様に言われた通り窓から景色を見てみると、はるか遠くに大きな山がそびえたち、一面が黄色の草原地帯だ。そこには、なんか日本にいた時の北海道のような雄大さがあった。



「あらあら、2人とも何が見えるのかしらね。」


「母様。あの高い山は何て言うんですか?」


「あの山はベレスト山っていうのよ。昔からの伝説でドラゴンが住んでいると言われているわね。」



“この世界にはドラゴン伝説があるんだ~!”



 すると、父様から注意を受けた。



「ルカ! いいかい。おじい様の屋敷には私の兄のマイケル伯爵とその妻のセリカさんがいる。そして、その息子のアンドリと娘のリーナがいるから仲良くするんだぞ。」


「父様。アンドリ君とリーナさんはおいくつなんですか?」


「7歳と5歳だ。」


「なら、エリス姉様と僕と一緒なんですね。」


「ああ、そうだ。」



 すると、姉様が言ってきた。



「ルカ! あなたは記憶がないから知らないと思うけど、アンドリには気を付けなさい。以前、あなたはあいつに散々いじめられたんだからね。でも、リーナちゃんはすごく可愛いわよ。それに、リーナちゃんはあなたのことが大好きみたいだからね。」



 僕は親戚の子ども達に会うのがすごく楽しみになってきた。それと同時に、おじい様に会うのがとても不安だ。僕は未だに魔法が使えないのだ。



「今日はこの街に泊まるか。」



 1日目は王都の手前の街ナトリに宿泊することにした。ナトリにはダンジョンがあるため、大勢の冒険者達が集まってきていた。宿で食事をしながら母様が言った。



「この街に来るといつも思うのよ。チャーリーとまたあのダンジョンに行きたいわ~。魔物を倒してお宝をたくさん手に入れたのよ~。」


「そうだな。結局37階層までで終わってしまったからな。」



“やっぱり異世界だ! ダンジョンもあるなんて。37階層まで行ったって言ったけど、何階層まであるんだろう?” 



「何階層まであるの?」


「それはわからないさ。まだ踏破されていないんだから。50なのか100なのか未知だな。だから冒険者達は挑戦しているんだよ。みんな未知の世界を見てみたいのさ。」



“未知のことを知りたい。その気持ち僕にもわかるな~。僕も地球にいた時は宇宙がどれくらい広いのか知りたかったもんな~。”



 その日は夕食を食べてお風呂に入ってゆっくりと寝た。そして、翌日再び馬車に乗って王都に向かった。僕達が王都に着いたのはお昼過ぎだった。王都ビザンツは、僕達が住んでいる街デリーよりもはるかに大きかった。人も大勢いてとても活気がある。少し行くと目の前に大きな建物が2つ見えてきた。一つは王城だ。そして、もう一つは大聖堂のようだ。馬車は大通りを王城に向かって進んで行く。だんだん静かになってきた。どうやら貴族の住む区画に入ったようだ。大きな屋敷が立ち並んでいる。庭もものすごく広い。一際大きな屋敷の前で馬車が泊まった。



「着いたようだ。」



 以前、僕も来たことがあるようだが記憶のない僕は覚えていない。僕達の馬車が敷地内に入ると、執事のような男性とメイド達が大勢出てきた。



「チャーリー男爵様。お待ちしておりました。侯爵様と伯爵様は応接室でお待ちです。」


「ありがとう。シャルル。」



 僕達は執事のシャルルさんに連れられて応接室に行った。僕の姿を見て、メイドさん達がひそひそ話をしている。



“もしかして、あの方がルカ様じゃない? すごく可愛いなられたわね。”


“本当に可愛いわ。男爵様の奥様が羨ましいわ。”


“エリスお嬢様もおきれいになったわ! 本当に美形一家よね。”



 僕達が応接室に入ると中は物凄く広い。入口から女の子、その隣に男の子、さらに隣に伯爵夫人、そして伯爵様が座っている。その先の中央の席には白いひげを生やした侯爵様がいた。



「父上。只今戻りました。兄上、姉上、只今戻りました。」


「よく来たな。チャーリー。まあ、挨拶はそのぐらいにして座れ!」


「はい。」



 どうやら、おじい様も伯爵様も厳格な人のようだ。僕の席の正面に座っている女の子がニコニコと僕を見ている。母様と姉様が挨拶した後、僕も挨拶をした。



「おじい様、お久しぶりです。伯父様、伯母様、お久しぶりです。」


「おお、ルカか。高熱を出したと聞いていたが具合はいいのか?」


「はい。」



 すると、父様が僕の代わりに説明した。



「ルカは高熱で3日ほど意識を失っていましたが、奇跡的に一命をとりとめました。ですが、記憶を失ってしまいました。」


「そうか。なら、わしのことも覚えていないのか?」


「はい。ごめんなさい。」


「謝る必要はない。命が助かっただけでもありがたい話だ。それよりも、デリーの教会の司教から届いた手紙にルカのことが書いてあったが、事実なのか?」


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