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美人に転生って言ったよね!  作者: バーチ君
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初めて歩く異世界の街

 デリーの街の教会で、不思議なことがいろいろと起こった。しかも、僕の属性を調べるための水晶は、僕が手を置くと粉々に割れてしまった。これでは、僕の属性が分からない。魔法が使えるかどうかも不明なのだ。帰りの馬車の中で、父様も母様も何もしゃべらなかった。でも、姉様だけは違う。姉様は僕を気遣っていろいろと話しかけてきてくれた。



「ルカ! 気にしなくていいよ。もし、ルカが魔法を使えなくても、このエリス姉様が守ってあげる! それより、街を見て!」



 僕は馬車の中から街を見た。教会に行くときは緊張のあまり街を見る余裕なんかなかった。僕にとっては初めてみる異世界の街だ。街並みはやはり西洋風だが、世界史の資料集で見た中世ヨーロッパに似ている。なかなかにオシャレな店もある。通りにテラス席のあるレストランもあった。広場のような場所には屋台もあった。何を売っているんだろう? なんか僕の沈んだ心がワクワクしてきた。



「父様。母様。ルカも5歳になったのですから、一度街を見学させたらどうでしょうか?」


「そうだな。ならば、明日にでもセバスに連れて行ってもらうことにしよう。」


「父様。私も一緒に行っていいですよね?」


「まぁ、エリスちゃんったらそれが目的ね。」


「だって、しばらく街に行ってなかったんだもん。」



 翌日、僕はセバスに連れられて姉様と一緒に街に行った。馬車から見たのと同じ風景が目の前に広がっていた。僕は人々と建物に見とれてしまった。



“異世界だ! 本当に異世界なんだ~! あの耳ってもしかしてエルフ? あれ、あっちの人は尻尾がある。もしかして獣人?”



「姉様。あの人達って何?」



 すると、セバスが説明してくれた。



「ルカ様。あちらの方はエルフ族の方ですよ。この国には様々な種族の方が暮らしているのですよ。」


「そうなんだ~。」



 今度は背が低いのに髭を生やした男の人が歩いていた。僕が見ていると向こうもこっちを見てお辞儀をしてきた。



「ルカ様。あちらの方はドワーフ族の方です。彼らは鍛冶が得意な種族なんです。」


「へ~。」


「ねえ! ルカ! あの店に行くわよ!」



 姉様がいきなり僕の手を引っ張った。姉様に連れていかれた店は服を売っている店だ。店の中に入るといろんな服が飾ってあった。なんか地球を思い出す。僕が無意識にいろんな服を手に取ってみていると、姉様が揶揄ってきた。



「ルカって女の子の服に興味があるんだ~!」


「えっ?!」



 僕が手に取って見ていた服は全部女の子用の服だった。



“しまった! つい女の子だった時の習慣が出てしまった! 気を付けないと!”



「どう? ルカ! この服似合う?」


「うん。姉様! すごく可愛い!」



 エリス姉様は僕の姉のはずなのに、高校生だった僕にとってはなんか妹ができた気分だ。



「セバス! 私、この服が欲しい!」


「はい。では、エリス様はこの服にしましょう。今、お金を支払ってきます。その間に、ルカ様も決めておいてください。」


「私がルカの服を決めてあげるわ。男の子の服はあっちよ。おいで、ルカ!」



 僕は姉様に連れられて男の子用の服売り場に来た。でも、どれも可愛くない。まるっきり興味がない。



「どうしたの? 欲しい服がないの?」


「うん。」


「じゃあ、ルカも私と同じ服にする?」



 さすがにスカートはまずい。でも、ズボンならいいかもしれない。そんなことを考えていると、姉様が僕の手を引っ張った。再び女の子の服売り場に行った。やっぱりこっちの方が可愛い。結局、僕も女の子用の服を購入してもらった。



「姉様。あのお店は何を売ってるの?」


「あそこは甘いお菓子を売ってるのよ。」



 僕は屋台から出ている甘い匂いに誘われて、屋台の前で立ち止まった。



「いらっしゃい。お嬢ちゃん達、甘くて美味しいよ。1本どうだい?」


「セバス。ルカにこれ食べさせてあげたい。ダメ?」


「畏まりました。」



 セバスが2本買って、僕と姉様に1本ずつ手渡してくれた。見た目は白くて飴のようなものが棒状になっている。一口舐めてみると物凄く甘い。やはり飴だ。



「美味しいね。姉様。」


「そうね。」



 それから通りを歩いていると、同じぐらいの歳の子達がいた。僕達を見ると駆け寄ってきた。



「お前達どこのもんだ?」


「あっちよ。」


「まあ、いい。一緒に遊ぶか?」


「何して遊ぶの?」


「鬼ごっこだ!」


「いいわよ!」


「エリスお嬢様! お待ちください!」


「いいじゃない。セバス。この広場から出ないから。」


「畏まりました。なら、絶対に広場から出ないでくださいね。」


「わかったわよ。ルカ! 行くわよ。」


「うん。」



 僕は姉様と一緒に街の子ども達と一緒に遊ぶことになった。あの懐かしい遊び、鬼ごっこだ。でも、僕が一番身体が小さい。



「私はエリスよ。こっちは弟のルカ!」


「え———! お前は男なのか? まあいいや。俺はエルビン、こっちはジョージとサリナだ。最初は俺が鬼でいいよな。10数えたら追いかけるからな。」


「わかったわ。ルカ! おいで!」



 僕は姉様に手を引かれてエルビンから離れた。すぐに、エルビンが追いかけてくる。ここで意外なことが起こった。僕の足が速かったのだ。エルビンは一番小さな僕を捕まえようと必死に追いかけるが、僕の足が速くて捕まえられない。すると、途中であきらめて他の子を捕まえに行った。しばらくして、鬼ごっこも終わりにすることになった。



「お前、小さいのに足が速いな。」


「うん。姉様といつも遊んでるからね。」


「そうか。でも、驚いたぞ! 俺が本気で走っても追いつかないなんてな。」



 僕達5人が集まって話をしていると、悪人面の男達が2人でやってきた。



「おお。エルビンじゃねぇか。遊んでる暇があるのか? 今日の稼ぎはどうしたんだ?」


「もう稼いださ。ほら、これ。」



 エルビンは懐から財布をいくつも取り出して、人相の悪い男に渡していた。どうやら、エルビン達はスリをしたようだ。



「エルビン。その財布は?」


「これが俺達の仕事なんだよ。お前達のような金持ちの子と鬼ごっこをしていれば、通行人に怪しまれないからな。」


「なら、私達を利用したの?」


「仕方ねぇだろ!」


「ダメよ。エルビン。その財布は返さなくっちゃ!」



 すると人相の悪い男達が僕と姉様に怒鳴ってきた。



「どこの金持ちかは知らねぇがな。こいつらは俺達の子分なんだよ。ごちゃごちゃ言ってるんじゃねぇよ。」



 男2人が姉様に手をあげようとした時、僕達の前にセバスが現れた。



「エリス様。ルカ様。お下がりください。この者達は悪人です。捕まえて衛兵に突き出しますので。」


「なんだよ。じじいが怪我したくなかったらすっこんでろ!」



 男達がセバスに殴りかかった。でも、セバスは素早い動きで男達の腹に拳をめり込ませていく。



「グホッ」



 男達は一瞬で地面に倒れた。姉様も僕もそしてエルビン達も驚いてみていた。すると、エルビン達が一斉に逃げ出そうとしたが動けない。



「そこの子ども達。待ちなさい。あなた達も同罪です。一緒に詰め所まで来てもらいますよ。」



 僕は何がどうなっているのか理解できない。僕と姉様はセバスについて一緒に番所まで行った。当然、男達2人とエルビン達も一緒だ。その後、僕達は屋敷に帰った。


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