飼い主ガチャだね
おかしい‥‥‥うちのインコの様子がさ。
ここ数日食欲不振の上、しょっちゅうくちばしをパクパクさせている。
「どうしたんだよぉ~‥‥‥どっか悪いのか?」 ヾ(´・ω・`)
餌の減りが少ないし、いつも怒って威張ってんのにおとなしいし、俺はとっても気がかりだ。
そこまで具合が悪そうな顔つきでも無いんだけど‥‥‥
──暑がってる?
いんや、ちげーぞ。細くなってないし、ハァハァしてる感じじゃない。
原因は何だッ!
こういう急な変化の時はどっちかっていうと、病気というより外的要因が疑われる。
俺はダイニングリビングを見渡す。
──ん? そういえば。
怪しい物がチェストの上に。二日ほど前からなぜかここに置いてあった。
これは俺の家の一人、がさつな人、『がさつ』の持ち物である。
まさか、これをインコのいるこの部屋で使ったのだろうか?
おいおい、小鳥はデリケートなんだぞ!
昔は毒ガス検知装置代わりに炭坑に連れて行かれた、なんて伝説まであるくらいに。
置いてあったのは爪に塗るベースコート。めちゃ臭いし、これってめっちゃ毒性の揮発性物質入りだろ!
俺はがさつを問い詰めた所、なんと夜な夜なリビングで使っていたらしい。
『換気扇つければさ、大丈夫だと思った~』
『バカッ、がさつのせいでインコが中毒になってんじゃんか!』
『インコちゃん、ごめーん』
ったくさー、がさつはつい最近、有機溶剤作業主任者の資格を取りに行ったばっかりだった。(2日間で取れるらしい)
大学の研究でも有機溶剤は何かと使用するらしい。なら、その毒性くらいよーく知ってんだろーが!
いくらキッチンの換気扇つけたって窓閉め切ってたらダメだって。
ってか、インコいる部屋で使うな、バカ!
そして、そのダメージがまだ癒えてないってのに、またしてもインコさんに受難が訪れたのだった。
Gが出没した。
インコが住むリビングと壁1枚で隔てられている洗面所に。(洗濯機のホースの排水口が怪しいと思う)
それが第二の受難の始まりだった。
きっと、俺だったら風呂の泡洗剤でちゃっちゃと始末出来た。しかし、他の奴が対応したため、手際が悪かった。というか悪過ぎた。
そいつらは、たった お一人様のGを殺るために、新品殺虫剤スプレーを1本と、使いかけ1本を消費していたのだ。
この割合で殺虫スプレーが消費されるとしたら、環境破壊も甚だしい。しかもコスト高過ぎない?
まさか、階下でそんな事になっているとはつゆしらず、俺は布団でゴロゴロしながら小説を書いていた。
あいつら、こんな狭い家ん中で何考えてんだろね。
朝になって空スプレー2本並んでたのにはマジ驚いた。
朝起きたら、インコますます中毒になってんじゃんか! くちパクパク増えてる。
あれから3週間くらいたったのかな。
インコさん、食欲も戻って、いつものように威張って鳥籠からビービー文句言ってる。
ちなみに、
『そこの世話係ども! オレ様をここから出せ! つまんねーよ、イラつくぜッ』
と 常日頃同じことを言っていると思われる。
うっさいけど、これでいいよ。
あー、俺んち、バカばっかでごめんねー (´Д`)
インコさん、こんな家で飼われて災難だよな。これは飼い主ガチャってやつなのか。でも、キミは なんかんだもう8才。ここまで来たら諦めろ。
動物さんたちも飼い主選べなくて可哀想 ( ゜ε゜;)
可愛がっちゃいるけど、俺のペットじゃない _φ(゜Д゜ )
ん? 数えたら8才じゃなくて今9才だった。セキセイインコさん。