第5話 ー重宅
■登場人物■
風雷⇒主人公。バンパイアであり医者でもある
沙樹⇒ヒロイン。桐生家頭首の娘
ー重⇒左肘を怪我した爺さん
~~~ 裏路地 ~~~~~~~~~~
一人の男が、密集する民家の路地裏を歩く。
周囲はその男に注目する。
上質な御召物を羽織い、木箱を背負うという
なんとも風変わりな人物だったからだ。
だが、この人物は高い教養を持つ者であることは
だれの目からも分かる。
背筋を伸ばし、毅然とした態度で歩くさまを見れば。
風雷「すまぬ。
ー重殿の家はどこか、ご存じか?」
風雷がある娘に声を掛けたことで周囲に
人だかりができる。
娘 「カズジイ?目の前の家だよ。」
娘は住む家を指差す。
風雷「かたじけない。」
娘 「お兄さん?お兄さんはお役人さん?」
風雷「私は医者だ。」
周囲「おおー。」
周囲は驚く、こんな場所に医者が来たのは
初めてのことだったから。
医者と名乗ったのは失敗だったのかも知れない。
噂をかぎつけ、ー重の家の前は人混みが出来、
騒ぎとなる。
~~~ ー重宅 ~~~~~~~~~~
風雷「爺さん、邪魔するぞ。」
ー重「待ちくたびれたわい。」
ー重の家に到着した。
間取りは、4畳一間で仕事の道具以外に物がない。
だた寝るだけの家だ。
まぁ、この辺りでは一般的な家である。
ー重「おい、お前ら見んじゃね。
さったと、どっか行け!」
近所の人たちが20人ほど集まり、
身を乗り出して堂々と覗き見をする。
よほど医者が珍しいのだろう。
背中の木箱を畳の上へ置き。部屋へ上がる。
ー重は、痛い肘を何も巻かずにさらけ出し
あぐらをかいて風雷が来るのを待っとった。
風雷「かなり腫れてるな。見せてみろ。」
ー重は、左肘を風雷の前に突き出す。
だが痛いらしく、まっすぐは伸ばせない。
風雷「ここは痛むか?」
ー重「いや。」
腫れている肘の至る所を風雷は指で押し、
どこで痛みを感じるか確かめる。
そして、腕を伸ばす。
ー重「痛たた。」( >_<)
風雷「なるほど。」
風雷(調べるまでもない。
関節が外れてるだけだ。
診察代として食事させてもらおう。)
風雷「腕を噛むぞ。」
ー重「何だいきなり?」
風雷「私の診察方法だ。」
ー重「そんなの聞いたことないぞ。」
風雷「すべこべ言うな。黙ってろ!」
風雷は怪我してない右腕をとり、
大きな口を開けて噛む。
風雷(筋肉質の血はいまいちだな。
死人よりかはましだが。)
300mlほど血液を飲み干す。
風雷は険しい顔をする。
風雷「うーーん。」(-_-;)
ー重「どうなんじゃ?
筋を伸ばしただけじゃないのか?」(;‥)
風雷「もう治らんな。次第に動かなくなる。」
ー重「・・・」
野次馬「えーー。」
・・・
風雷「冗談だ。」(^_^ )
ー重「お主。心臓が止まったぞ。
ワシを殺す気か!」( >_<)
風雷「どうした?医者の言葉など信じないじゃ
なかったのか?」
ー重「そんなこと一言も言っとらんじゃろ。」
風雷「怪我は関節が外れてるだけだ。
あと、炎症して腫れているぞ。」
ー重「ほぉ!」
野次馬「・・・」
風雷「ちょっと痛いが我慢しろ。」
ー重「あーー。」( >o<)
風雷は肘をゆっくり伸ばしながら、ひねる。
ー重「あれ?治った!もう痛くない。」(‥?)
風雷「治ってなどおらん。
湿布を張る。
今日1日は動かすな。」
ー重「驚いた。あんた名医だよ!」
野次馬「おおぉぉ。」
風雷「バカ言うな。脱臼してただけだ。
この程度ならどの医者でも治せる。」
ー重「いやいや、それはないぞ。
医者に治療を受けて悪化した奴がいる。
こんな一瞬で治せるとはな。」
ー重「もう、いいじゃろう。お前らどこか行け!」
ー重は野次馬どもに声を掛ける。
一通りは見たことだし、野次馬どものは
言われるが散らばった。
そして、だれも居なくなったの確認して。
ー重「ところで。」( ..)
風雷「どうした?言ってみろ。」
ー重「金1両で足りるか?
再来月には必ず払う。」 (;>_<)
風雷「金など受け取れん。
沙樹殿に叱られる。」
ー重「薬を使ったぞ。タダとはいかんだろう。」
風雷「この薬は道端の草を拾ってすっただけだ。
タダみたいなものだ。気にするな!」
ー重「なら、次会ったらワシにメシを
奢らせてくれ。それくらいはいいだろう?」
風雷「ふっ、好きにしろ。」
風雷「ところで、先ほど店に来た。
荒くれどもをご存じか?」
ー重「あぁ。奴らは初めて見る顔じゃが、
鮫坂組の連中じゃ。間違いない。
小指に蛇の入れ墨があったからのう。」
風雷「ほう。小指に蛇の入れ墨。」
ー重「連中を簡単にいうと、
金貰って騒ぎを起こす馬鹿どもだ。
毎日、この辺りで騒ぎを起こしておる。」
風雷「それはまた、なぜゆえに?」
ー重「さぁ。連中というよりも金を払ってる
やつが何考えとるんじゃか。」
風雷「鮫坂組とやらに乗り込んで聞いてみるか?」
ー重「止めとけ!しらばっくれるし。
1人で行ったら殺されんぞ。」
沙樹「ごめん下さい。はぁはぁはぁはぁ。」
ー重「お嬢さん。どうされた?」
沙樹「お2人がここに居ると伺って。
参りました。」
ー重「そんな急いでこんでも。」
沙樹「お2人が居るうちにと思って。
先ほどは取り乱しまして、
大変お恥ずかしい姿を見せました。」m(_ _)m
風雷「謝るのは私の方だ。
沙樹殿には刺激が強すぎた。」
沙樹「桐生家頭首の娘として
毅然とした態度を取るべきでした。
一歩間違えれば、お2人に怪我を
させてたかも知れません。
わたくしの責任です。」
ー重「気持ちは受け取った。だからもう忘れろ。」
風雷「同感だ。」
風雷「あのような荒くれどもが頻繁に現れると
言うではないか。
我々が側にいるときは頼よれ!」
ー重「確かに。お前いいこと言うな。」
沙樹「分かりました。」(^^ )
風雷(沙樹殿は笑顔が似合う。)
風雷「ー重殿。俺は出て行くが何かあるか?」
ー重「この薬(湿布)はいつ剥がせばいい?」
風雷「明日の朝までは付けておけ。
剥がして、まだ腫れてるようなら
私のところに来い。」
ー重「わかった。あんがとうな。」
ー重は沙樹へ振り向き小声で話す。
ー重「お嬢さんも、ありんとうな。
こんな名医を紹介してくれて。」
沙樹「わたくしも一爺も運が良かったです。
きっと風雷様は天使様なのですよ。」
ー重「かもな。でなきゃこんな偶然あり得ねぇ。」
小声で話しているつもりでも風雷には筒抜けである。
風雷「バカな連中だな。」
風雷は薬箱を手に取り立ちあがる。
沙樹「風雷様お待ちください。
沙樹も一緒に参ります。」
風雷「勝手にしろ。」
風雷がー重の家を出ると、ここぞとばかりに
人が押し寄せ囲まれる。
沙樹「このお兄さん凄い人なんですよ。」(^^ )
子供「聞いた!病気、治せるんでしょ。」( ‥)
沙樹「どんな病気でもね。」(^o^ )
周囲「すごーい。」
風雷「沙樹殿。子供に変な事たらし込むな。
信じまうだろう。」
沙樹「あら。本当の事でしょ。」(^o^ )
風雷「行くぞ!」
沙樹「では、長屋の皆さん。失礼します。」m(_ _)m




