第2話 再会?
風雷:主人公でありバンパイア
~~~ とある街道 ~~~~~~~~~~
時は明統32年。
風雷「お嬢さん?どこか痛むのか?」
日が沈みかけている夕方。
旅人である風雷は、砂利道の隅で
うずくまっている女性を見つけ、声を掛けた。
女性「大丈夫です。
お気になさらないでください。
少し休めば楽になますので。
ん-ーん。」(>_< )
お腹に手を当てている。腹痛なのだろうか。
女性は下を向いてるが顔色が悪いのは伝わる。
とでも大丈夫とは言えない状況だ。
風雷「私は医者だ。よければ診て差し上げるが。」
女性「んーーん。」(^o^ )
女性は顔を上げ、こん身の笑顔で首を左右に振る。
断ったのだ。
だが、彼女の顔をまじまじと見て背筋に電気が走る。
風雷「優紀乃さん。
優紀乃さんですよね?
風雷だ。
音夜師範の弟子の風雷だ。
覚えていないか?」("o_o)
女性「えーっと、どうか落ち着いてください。」(^^ )
見つけた。ついに見つけたのだ。
彼女を探すため、何十年もの旅を続けて来たのである。
その優紀乃にやっと再会できた。手が震える。
だが、嬉しさの余韻に浸っている場合ではない。
一刻も早く治療をしなければと、思考が切り替わる。
風雷「勝手に診察するぞ。
ちょっとチックとするが我慢してくれ。」
風雷は、半ば強制的に少女の左腕を持ち上げ
口元に運ぶ。
大きな口を開けると、普通の人よりも鋭く長い
下の犬歯が際立つっているのが目に付く。
剣歯と表現した方がいいだろう。
歯形がつかぬよう女性の前腕を優しく噛む。
彼の2つの剣歯が彼女のやわらかい皮膚を貫通し
体内へと突き進んだ。
風雷(この子は優紀乃ではない。
くっそ、やっと再会できたと思ったのに。)
彼は彼女の血液を吸い。
同種族でないことを把握する。
風雷(うまい。
久しぶりに生きた女性の血は絶品だ。)
味わいながらゆっくりと彼女の血液を
100mlほど飲み干す。
風雷は人の血を吸って生きるバンパイアだ。
風雷(ダメだ。こんな少量では満足できん。
ん?)(o_o")
口元から女性の腕を放す。
剣歯が当たってた部分が、赤い斑点として
残っている。出血はしていない。
風雷「あなた!ザザの実を口にしましね。」
女性「ザザ?なんですかそれ。」
風雷「とくかく解毒しましょう。」
風雷は背にしょっている木製の薬箱を下ろす。
引き出しが40個あるうちの1カ所を開け、
漆黒色した種のようなものを1つつまむ。
風雷「薬だ。楽になるから飲みなさい。」
女性「はぁ、はぁ。」(>_<)
女性は、無言で首を縦に振る。
風雷「苦いから一気に飲んむんぞ。」
言われるがまま、薬が口の中へと放り込まれて
目をつむって一気に飲み込む。
風雷「言っとくが、薬を飲んでも
すぐには良くならんならな。
徐々に回復するから、しばらくは
ここでじっとすることだ。」
そして、彼は本当に医者でもあった。
血液から身体の健康状態を分析できる能力を
持っているのだ。
ウイルスに感染しているだとか、体のどこに異常が
あるだとか、血液から知ることができる。
彼はバンパイアであることを隠し、医師として
人々の生活に溶け込んでいたのである。
女性「良くなりました。
ありがとうございます。」m(_ _)m
風雷「そんなバカな。
いくらなんでも早すぎる。
むちゃするな!」( --)
女性「まだ、吐き気があって気持ち悪いですが、
痛みは我慢できるほどまで和らぎました。
本当です。ありがとうございます。
あなたは、命の恩人です。」
風雷「私は医者として当然のことをしたまでだ。
連れはいないのか?」
上質な着物をまとっている。
明らかに良いところの出の人だ。
付き添いが居てもおかしくない。
女性「先ほどまで付き添いがおりましたが、
私が具合を悪くしたのを見て、
慌ててお医者様を呼びに町の方へ。」
風雷「そうか。余計まねだったな。」
女性「そんなことはありません。
逆にどうお礼をしたらいいか。」
女性「診察料はおいくらになりますか?」
風雷「今日は特別だ。ただでいい。」
女性「それは困ります。お薬も頂きましたので。」
風雷「気にするな。
その気持ちだけ受け取っとく。」
突然、2人を見下ろす形で仁王立ちする。
マッチョな大男が現れた。
利玄「沙樹様。こちらの殿方は?」(#--)
かなり不機嫌である。
この男が先ほど話していた付き人なのだろう。
更に籠を前後で担いでいる2人組も側にいる。
沙樹「利玄。彼は医者です。
体調の優れない私に気づき診て頂きました。」
利玄はなめるようにしてその男を
確認するも、みすぼらしい身なりで、
とても医者とは思えなかった。
この時代の医者と言えば金持ちしか相手にしないため
高級な羽織物を着ているのが一般的だ。
利玄「沙樹様。またですか。
このような素性も分からん
輩の言動を信じるとは。
何かあってからでは遅いのですぞ。」
利玄「殿方はどこの薬院の者だ?」
風雷「どこもにも所属などしておらん。
病気が特定でき、対処できるのだから
医者と名乗った次第だ。」
沙樹「利玄!失礼ですよ。私を見てください。
このように元気です。」 (--#)
利玄「いや、沙樹様。
それは時間が経ったからなのでは?」(..;)
沙樹「お医者様、無礼な言動お許しください。」m(_ _)m
風雷「構わん。
それより動かず安静にしてろ。」
風雷は利玄に目を向ける。
風雷「別に信じなくとも結構。」(--#)
利玄「では聞くが。病気は何だったのだ?」
風雷「ザザの実を口にして腹痛になったようだな。
少量だからこれで済んものの、
普通なら死ぬぞ。
近所に実があるなら、さっさと根元から
切って灰にすることをお勧めする。」
利玄「大問題だ。どこにそんな実が。
ところで身体は大丈夫なのだろうか?」
風雷「解毒剤を飲ませた。
明日の朝には治ってるはずだ。」
利玄は、沙樹の様子を見る。
確かに回復には向かっているようにも見える。
ただ、それが薬のせいなのか、
時間が経ったからなのか判断できない。
利玄は腹をくくる。そして土下座をした。
利玄「殿方には大変ご無礼な発言をした。
この通り、許してい頂けないだろうか?」m(_ _)m
沙樹「私からもお願います。」m(_ _)m
風雷「顔を上げてくれ。
別に怒ってなどおらん。
誤解が解けたのであればそれでいい。
念のため明日診てしんぜよう。」
利玄「かたじけない。
お許しして頂いた上に、
明日も診察していただけるとは。
なんと心の広いお方なのじゃ。」
この件に関し、もう診察など不要だ。
実績もあるのだから。
風雷は、彼女の血をもう一度味わいたい一心で
正当な理由を作ったのである。
利玄「病気の件。詳しくお聞きしたいのだが、
そろそろ暗くなります。
自宅へ急ぎましょう。
医者が見つからず。
代わりに籠屋を連れて参ったので。」
沙樹「そうですね。」
利玄「さっ、これに乗ってくだされ。」
沙樹は利玄の手を借りて、ゆっくりと籠に乗る。
風雷「籠屋。彼女は病人だ。走るなよ。
あと、出来るだけ籠を揺らさないように。
身体に差支えるんでな。」
風雷は籠屋へ指示を出す。
利玄「私からも頼む。金は3倍出す。
彼の指示に従ってくれ。」
金さえ貰えれのであれば何の問題もない。
籠屋は言わるがまま、慎重に歩き出す。
網戸の窓を開け沙樹は話し掛ける。
沙樹「お医者様?」
風雷が呼ばれ、沙樹の真横へと並び、並走して歩く。
風雷「名を風雷と申す。」
沙樹「そうでした。風雷様。」( ‥)
風雷「様はいらん。」(^^ )
沙樹「今日は、どちらに向かわれる
ご予定だったのですか?」
風雷「あてなき旅を続けてる者だ。
今日は、次の町で適当に宿を見つける
つもりでいた。」
沙樹「では我が屋敷へ泊まりください。
助けて頂いたお礼をしたいです。」
風雷「いや、流石にそれは!」(‥;)
利玄「私からも是非ともお願いしたい。」
風雷「私の身なりを見てくれ。
そなたの家に上がれるような
人柄ではない。
ありがたいが、断らせていただく。
約束通り、明日は診察に参るので。」
沙樹「もし、不快に思われないのであれば、
御召物をご用意させていただきます。」
利玄「毒の事もお聞きしたい。
是非とも来ていただけないだろうか?
旦那様もあなたのような人は好まれるでしょう。」
風雷「んーん。」(.. )
沙樹「お願いします。」m(_ _)m
風雷「分かった。そこまで言うのであれば、
厚意に甘えよう。」
ということで、半ば強引に風雷は桐生の
屋敷へと同行することとなった。
作品「わたし死んでもいいんです」も同時連載中。
こちらはJKが主人公のタイムスリップのものです。興味がありましたら読んで頂けると嬉しいです。